哲学者からの問い(ベイビーズ)
あなたが赤ちゃんだった時を想像してみてください。それも、産まれたての赤ちゃん。
あなたは羊水で身体濡れていて母親の血で少し身体が汚れているかもしれない。帝王切開でも無痛分娩でも何でも良いが母親からの祝福と助産師さんの笑顔があなたに向けられている。
初めての呼吸で、喜びか驚きか不安かはわからないが、あなたは泣いている。
くぐもった音が耳を通してあなたの体内に響いているかもしれない。
想像できただろうか?
おめでとう。
あなたは何億円を投じたとしても現代で再現することが難しい成長する肉体を獲得したのだ。
それに、貴方が日本人なら世界第3位の国民の国籍が与えられた。日本人国籍にはボーナスとして、明治革命から100年以上のたゆまぬ外交の末に獲得した。世界中のほぼどんな所でも旅する事のできるパスポートを得ることができるだろう。
それと、父親と母親の相続権があなたには付与される。
あらためておめでとう。
では、あなたはこの世界に何のために産まれてきたのだろうか?
もう一度赤ん坊の自分の事を想像してみよう。
今のあなたが18歳以上なら常識というなの偏見をコレクションしているだろう(アインシュタイン曰く常識とは18歳までに獲得する偏見のことらしい)
でも、想像なので、それらの偏見のコレクションの事は一度忘れてみてほしい。
子供は親の家業を継ぐものだ。とか、
同性を愛するなんて変だ。とか、
太っている身体は醜い。とか、
韓国と仲良くするなんて無理。とか、
夜は寝ないとダメだ。とか、
タバコは身体に悪い。とか、
ゲームを長く遊んでいると馬鹿になる。とか、
学校には毎日遅刻せずに通わないといけない。とか、
税金を納めていない奴は生きる価値がない。とか、
人殺しは死刑。とか、
お金は大切に使わないとダメだ。とか、
3歳までにピアノを始めた方がいい。とか、
面接はスーツでくるものだ。とか、
大学は出たほうがいい。とか、
豚肉は食べてはダメだが売ってもいい。とか、
あなたが18歳以上の大人なら無限にルールがあるだろう。それらを全部忘れて見てほしい。そして、自分はまだ何も知らない産まれたての赤ん坊なんだと。想像するのだ。
目を瞑って、横になって、手を柔らかく握って、優しく呼吸をしてみて欲しい。
そんなに難しい事ではない。
ただ産まれたての何も知らない赤ん坊に戻る想像をするのだ。言葉も知らない。発話も出来ない。でも、胎内にいた時に母親の目や自分の耳を通して外の様子を少しは学習はしているかも知れない。
きっと、今、あなたは多分分娩室にいるだろう。(あるいは乗り物や家のどこかかも知れない)あなたは助産師に運ばれて泣き疲れて清潔なタオルに包まれて横になっている。
目はまだボンヤリと光をうつしているので、音が頼りだ。
すこし不安になってるかもしれないあなたは、胎内で響いていた聴きなれた母親の声にすがるかも知れない。
想像できただろうか?
では、あなたはこの世界に何のために産まれてきたのだろうか?
(…これに答えなんてあるの?)
(無数にあるとも思えるし、一つも無いとも思えるね)
(ヒントは肉体にあるのかしら?)
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