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53億円の絵画とは?

 めちゃくちゃ頑張ったのに生きている間に報われない。なんて事はザラにある。
 小説「山月記」は国語の教科書にも取り上げられる名作だが、著者の中島敦は33歳で没し生前では評価も低かったらしい(昨日テレビでやってた)

 140年前に統合失調症の末自死したヴィンセントヴァンゴッホは37歳で没したが、その絵画には53億円以上の値がつけられている(何と1枚にだ)。

 じゃあ、教科書にのるくらい認知された中島敦もヴァンゴッホも幸せだったのだろうか?

 消し去れない自尊心を書いた山月記も、苦悩の中に書かれた自画像も、それら書いていた間は自己を擦りつけるように作品を仕上げていただろうがそれらの人生が幸福なのかは分からない。

 ヴァンゴッホに至っては、その苦悩と地獄に満ちた人生(自ら両の耳を削ぎ落とし、拳銃で自殺する様な)の一端を、安全な額縁の外側から眺める事が出来る価格がたったの53億円とすると味気ないではないか。

 まぁ、大半の人生なんて見向きもされないものだから、死後に評価されれば万々歳で、生前に評価されるなんてのは宝くじで100億円当たるようなものなのだろう。

 庶民が這いずる思いで作り上げた作品を貴族が高嶺で取り上げていくのだ。
 芸術は庶民から生まれて、資本家が安値で買い取り、高値をつけて投げつけ合う遊びにも見える。

 この世は全て空なのに。時間も空間も空なのに。
 人は数字が好きだから価値を付帯したがるのだろう。

(お金という概念も空だから交換してもいいんじゃない?)
(この世を楽しむ為の概念だものね。そう思うと便利な概念だよ)
(恋も子供も空なのかしら?)

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