【新型コロナウイルス】「PCR検査数増やせば医療崩壊」は本当なのか

この数週間で爆発的に感染者数が増加している韓国・イタリア。

日本は全国へ拡大傾向は見られるものの、局地的な流行に留まっている。

この違いは感染の有無を調べる「PCR検査」数の圧倒的な差異から来ている。

韓国は20万人近くを検査、数千人の感染者が確認されている。
イタリアは3万人超を検査し、数千人の感染者が確認されている。
(イタリアは3月初旬の数字)

一方、人口1.3億人の日本は累計で1万人に満たない。

日本政府は今月中にも1日7000件の検査体制を整えるとしている。

野党議員に「現状は1日6000件の検査能力があるといいながら、実際は1000件に満たない」ことを問われた厚労省は、

「6000件というのはあくまでも最大限の検査能力。実際の検査数とは異なるのは当然である」とかわした。

加えて、国民の間では「PCR検査数を増やせば、軽症の感染者までが病院に押し寄せることになり、医療崩壊を引き起こすのでは」との懸念が広がっている。

では、本当に検査数を増やせば医療崩壊は起きるのか?

ここでは、検査数が圧倒的な韓国・イタリアの医療現場の実際が不明瞭なため、あくまでも個人的なロジックで検証する。

結論から言えば、日本がいかに冷静でいられるかで状況は大きく左右される。

仮に、検査数を韓国の水準まで増やせば以下の事象が考えられる。

1、陽性と診断される人が格段に増える。
2、陰性と診断される人が格段に増える。

と非常に単純なロジック。

そして、問題なのは次の段階で人々がどういう行動選択をするのか。

1、軽症ではあるが、心配なため入院をしようとする
2、軽症なので、絶対安静で経過を見る
3、陰性と診断されたので安心して外出
4、陰性と診断されたが、感染の可能性があるため外出を控える

1を選択する人が医療機関のキャパを超えると、
文字通り医療崩壊が起きる。

3はもはや論外。

つまり、2と4を選択する人が増えれば、医療崩壊を防ぐことが十分に可能だ。

また、検査数を増やすとともに感染者が発生した地域(区名まで)を日々公表すれば、どこがホットスポットになっているかの把握ができる。

最もコワいのが、検査が抑制され、感染がどこでどの規模で広がっているのが分からず、徒に自粛を迫られ、消費が冷え込んで経済が回らなくなることだ。

東京五輪という一大イベントを控える日本にとって、検査を抑制し、可能な限り感染者数を少なく発表したい意図はあるかもしれないが、却ってそれが国際的な不信感を招き、次々とボイコットが出て大会自体が成り立たなくなる恐れがある。

韓国やイタリアの状況を見て、日本は抑制できていると判断するのは早計。

まずは、できるだけ多く検査を行って感染拡大の状況を把握し、しかるべき期間、地域の封鎖を行い感染抑制に努めるべきではないか。

全体から抑えようとしてもモグラたたきになるだけだ。


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