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企画書の作り方が分からない……【企画書を書く前に】

 ついに、この項目まで来てしまった……。
 学生時代に色々と企画書の書き方本を探したが、一切参考になる情報無かった。それが「企画書の作り方」
 この項目を書くということは、自分のプランナーとしての力量をさらすも同然なので、非常に恥ずかしいし、恐ろしい……。

 が、やはりプランナーとしては避けて通れない話でもあるのだ。

 僕が思う企画書の要点は3つあり、実はそれぞれ求められる能力が違うと思っている。
 それじゃ書き出してみよう。

 ①企画立案:企画自体の内容。企画立案能力が求められる。
 ②内容構成:企画書の内容構成。構成/プレゼン能力が求められる。
 ③書面レイアウト:企画書の書面構成。レイアウト/デザイン能力が求められる。

 こんな感じだ。
 一言で企画書と言っても、そこで求められる能力というのは、割と範囲が広いもんなのである。
 なおゲーム業界以外の企画書は、恐らくまた違う能力が求められると思う。
 
 さて……羨ましいことに、ネットで検索すると、現役プランナーの企画書の書き方っては、結構みつかる時代になった。

 しかしゲームの企画書というのは「私は、この書き方で成功したぞ!」という個人的な体験に基づくもので、ある程度抑えておくポイントはあれど、絶対的な正解ってのは存在しないと個人的には思っている。
 なんていうのかな、ウナギ屋の秘伝のタレみたいなものだ。

 だから、ここに書いてあるのは、あくまで僕個人の知見に基づく内容だ。
 他のプランナーと違うことを書いている部分もあるだろうし、矛盾する部分もあるだろう。合わないと感じる部分も、きっと。
 その辺りは上手く取捨選択して、君のスタイルを見つけてくれたらいいと思う。

 さて、こんな感じで企画書について語る前に、事前に理解しておいてもらいたい事を、ダラダラと書いていたら結構なボリュームになりそうな予感だ。
 なので本当は【①企画立案】について書こうと思ったけれど、今回は事前準備だけにしておこう。


■企画書の種類

 今はネットで企画書の書き方は色々見つかると書いたけれど、そういったものを見ていつも思うことがある。
 「これは、どのタイプ企画書の想定なんだろうか……?」

 僕の知る限り、ゲームプランナーとして書く企画書は4タイプに分けられると思っている。
 もしかしたら、もっと違うものもあるかもしれないが、今回は僕の経験で語ることしかできないでの、そこは許してほしい。

 <タイプα:プロデューサー系>
 主にプロデューサー職の人が出資先を探す時や、会社所属のプロデューサーが会社から予算を獲得する時に書く企画書だ。
 この企画書のゴールは「事業としてゲーム開発をスタートさせる」ことだ。
 だから「これくらいの予算で、こういうものを作って、こういう宣伝したら、こんくらい儲かります」ってことを書いていくことになる。

 ゲームの細かい内容よりも、
「ビジネスとして成功するうえで、なんでこれを作るのか? 成功させるために何をしないといけないのか?」
 ってことを中心に書かないといけない。

 まあ正直、未経験からこれを作るというのは、なかなかにハードルが高い代物だ。
 ゲームのアイディアよりも、ゲーム開発に関する諸々にどれくらいお金がかかるのか、とか。世の中では今何が売れるのか、って嗅覚が必要になってくる。


 <タイプβ:ディレクター系>
 タイプαでプロジェクトを始動したが、ゲーム内容が決まってない場合に、開発会社のディレクターが作ることになる企画書だ。
 この企画書のゴールは「作るゲームの内容を確定させること」だ。

 タイプαの企画書をプロデューサーが作った段階で、どういうユーザーに向けて、どんなゲームを作るのか? ってのは大体決定している。
 それを、具体的なゲームデザインとしてどうするのか? って形にまとめる必要が出てくる。
 また場合によっては「ウチの会社でこれを作るなら、だいたいこれ位のお値段になります」という見積もりも込みになったりする。
 この辺りは、提出先のプロデューサー次第である。

 いずれにしても「ゲームプランナーが書く企画書」といって、みんなが思い浮かべるのは、大体このタイプだ。
 どんなゲーム作るか? ってことばっかり書いた企画書だからね。

 とはいっても、タイプαにてどういうユーザーに向けて、どんなゲームを作るかの大方針は決まっている。
 そこを無視するようなことは出来ないぞ。


 <タイプγ:デベロッパー持ち込み系>
 これはデベロッパーが、パブリッシャーのプロデューサーに新規プロジェクトの持ち込みを行う際に作る企画書だ。
 持ち込む相手との信頼関係や距離感などにもよるけれど、基本的にαとβのハイブリッドだと思ったほうがいい。
 この企画書のゴールはタイプαと同じく、「事業としてゲーム開発をスタートさせる」ことだ。
 加えて開発会社として、プロジェクトに参加することでもある。

 内容はαに近く、「どのユーザーに向けて」「どんなゲームを作るのか?」というのを主軸にしながらゲーム内容を具体的にまとめつつ、実際に開発するとしたらこれ位の開発費がかかりますよーって感じで、お値段なんかも書いていく。

 αと違うのは、開発以外の部分については、深掘りせずにプロデューサーの反応を見つつ相談になる場合が多いこと。
 開発以外の宣伝や、声優業界や芸能事務所へのコネ。
 提出先のプロデューサーの持つ人脈などで、個々に得意な戦略が全然違ったりするからだ。


<タイプΔ:ゲーム運営企画系>
 これは運営型ゲームにおいて、運営ディレクター(運営プランナー)がプロデューサーに施策の提案を行う際に作る企画書だ。
 この企画書のゴールは「運営中のゲームが抱えている課題への具体的な解決策を決定すること」だ。

 運営型のゲームは、常に様々な課題を抱えている。
 課金率や課金額が足りない。新規ユーザーが少ない。ユーザーの継続率が……。上げていけばキリがない。
 ゲーム内情報は日々数値化され、KPIと呼ばれる一覧表/グラフの形で運営スタッフに提示される。
 ※ゲーム業界外の人すると「KPIって単語をそういう意味で使ってるの?」と思われるケースもあると思うけれど、まあ……そういう文化なのです。

 KPIデータを見ると、現状のゲームが抱えている課題が色々と見えてくる。
 その全てを一度に改善することは難しい。だから優先度の高い課題を選んで、それを解決する方法を考えるわけだ。

 「この問題の原因は何?」
 「その原因を解消するための方法は?」
 「そしてそれを実際にやるとどれ位のコスト(人件費)がかかるのか?」
これらをまとめて、お金の管理をしているプロデューサーから、機能改修やゲーム内イベント開発にGOサインを貰うために、この企画書はある。



 
 とまあ、4種類の企画書について、ダラダラと語ってみたわけだけど。

 企画書について語る記事はネット上に色々あるけれど、どのタイプの企画書について語っているのか、というのは内容を見れば何となく分かるはず。

 なので、その企画書が自分の立場にあったものなのか? ってのは、よく確認したうえで、参考にするべき所を判断したほうがいいと、僕は思うわけだ。


■今回題材にする企画書のタイプは?

 さて、ここまで書いたら、次の話題は当然これだ。
 今回の「企画書の書き方」では、どのタイプの企画書についてまとめていくのか?

 率直に言って、僕にはプロデューサー経験が無い。
 なので実際に書いたことがあるのは、タイプβ、タイプγ、タイプΔの3つだ。

 今回の一連のnoteは自分が就活する前までに知っておきたかった情報を整理するというコンセプトで書き始めている。

 その観点で考えると、就活時点で重要だと思うのは
 「ゲーム開発はビジネスである、という意識を持っているか?」
 「ユーザー像をイメージして、そのユーザーに向けて企画を考えているか?」
という部分だ。
 実際、僕自身も採用面接など何度か行っているが、新人であれば常にこの点の意識をチェックさせてもらっている。

 僕の知識の中で、上のポイントを抑えた企画書というと<タイプγ:デベロッパー持ち込み系>になる。
 なので、これからまとめていく企画書の書き方は<タイプγ>の内容になるという前提で目を通して欲しい。

 逆にいえば、プロデューサー志望だったりすると、僕の企画書の書き方というのは、情報不足になるかもね……。
 その点はもっと適切な情報を提供してくれる方がいるだろうし、そっちを見てもらえばいんじゃないかなー。

 さて、それでは次回から改めて、【①企画立案】についてまとめてみようと思う。



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