「影のないボクと灰色の猫」02-A10 第十章 私
この物語は、Twitterで自然発生的に生まれたリレー小説です。
aya(ふえふき)さんと一緒に、マガジンにまとめています。
詳細はこちら → はじめに
前回のお話(第九章)
第十章 私
自転車は、風を切る。
最初は怖かったけれど、私は次第に心地良さを感じ始めた。運転は体に任せておけばいい。どうせ、私の思い通りにはならないのだから。
但し、ブレーキをかけるタイミングを間違えてはいけない。
それは確信だった。私がブレーキをかけるタイミングを間違えたら、全てが終わる。
でも、間違えない。
それも確信だった。
自転車は、風を切り、曲がり角を幾つか曲がり。
そして。その時が来た。
今だ!
渾身の力を込めて、ブレーキを握った。
甲高く鋭い嫌な音がした。全身の毛穴から汗が吹き出した。
それでも私は、ブレーキを握る手を緩めなかった。
Twitterリレー小説「影のないボクと灰色の猫」
02-A10 第十章 僕
書き手:清水はこべ(note、nana)
★続きはこちら(第十一章)
お目に掛かれて嬉しいです。またご縁がありますように。