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社内広報のミッションについて考えたこと

[なんの記事]
社内広報担当者が考える自らのミッション

会社にとって「社内広報」はどんな存在であるべきか?

社内広報の仕事はどれも楽しい。素敵なデザインの広報物は手に取るだけで心躍るし、イベントでは新しい人との出会いや発見もたくさん生まれる。
「広報から会社の話を聞くと、会社が好きになるよね!」そんな声に勇気づけられたこともたくさんある。

だが、広報のゴールは「わくわくさせること」ではない。

社内広報は管理部門の中で、社員と経営者との境目にたつ存在だ。社員が会社をどう思っているか、生の声の最前線に立っている。
経営の声を社員に伝えるだけでなく、そのメッセージへのフィードバックとして社員の声を経営に届けていくこともできる。

それを踏まえて、社内広報が達成すべきミッションはどういったものがありうるか。
個人的には以下3点に大別できると考えている。

社内広報が達成すべきミッションとは?

1. Manage
2. Engage
3. Empower

 1. Manage

まず先頭にくるのは、会社から社員に向けたメッセージを、素早く・正確に・効果的に発信し、社員が腹落ち・納得するための浸透施策を打っていくこと、そしてそうすることで、会社の事業遂行が円滑に進むようにすることだと考える。

素早く
会社のニュースは単なる事実にすぎない。そのため、社員向けの周知の際は、ただプレスリリースのリンクを共有するのではなく、「会社にとってどんな意味があるのか」という文脈に載せてメッセージとして社員に届けていくことが、社内広報の役割から生み出せる価値の一つである。

しかし、ニュースには賞味期限がある。タイムリーな情報発信をしていかなければ、ニュースそのものに対する社員の興味関心も薄れてしまうだろう。

正確に
発信した内容については、「意図した通りに受け止められているか」という点に留意する必要がある。受け手の状況に応じて同じメッセージでも全く異なる受け止められ方をされる場合もある。受け手側のストーリーに想いを馳せ、狙った伝わり方を作り上げる必要がある。

効果的に
情報は発信して終わりではない。メッセージの裏側には「社員にどう行動してほしいか」が必ず含まれている。
コンテンツとして認知を広げていくことだけでなく、メッセージを受け取り、共感した/鼓舞された社員が行動の変化を起こしやすい環境づくりが必要になってくる。

メッセージを受け止めた瞬間が、行動変容のモチベーションが一番高い状態である。ハードルの低い行動を喚起するきっかけも一緒に提供することで、メッセージを体現させていくためにはどうすればいいかを考えていく必要がある。

共通して必要になるのは準備

素早い発信のためには、会社が社員に何を感じ取ってほしいのか、
正確な発信のためには、社員が会社に何を期待しているのか、
効果的な発信のためには、情報が届いた次のステップをどこに置くのか、
常に考え、状況に応じてアップデートしていく必要がある。

そのためには、会社の考え、社員の思い、社内広報としての学びに対して日々アンテナを立て、インプットを自分のものとしておく営みを日々続け、ニュースが生まれた瞬間に備えていくことが力になるだろう。

社内広報もコーポレートスタッフの一員である以上、自社に何かしらの価値を生み出していく必要がある。単純に「楽しい」広報はただの自己満足なってしまう。 

 2. engage

2つ目は、社員の会社へのロイヤリティを高めていくことだ。人材市場の流動化が加速し、タレントの奪い合いが進んでいる中、特に優秀な人材については、「会社と個人が対等になるコミュニケーション」を求める傾向がある。

コミュニケーションの双方性の担保
社員が会社にどういったメッセージの発信を期待しているかに対して感度を高める必要がある。ネガティブなニュースを発する状況になってしまったときも「未来に期待できる」要素を盛り込めないか検討を欠かさない。

会社と社員との間で「誠実な」コミュニケーションを実現するための最低ラインは「経営は現場の声に耳を傾けている」「現場の課題感は経営にも届いている」と感じてもらうことだろう。そして理想としては「現場を先回りして経営は次の一手を考えている」という印象をどう与えていくかまで、意図をもったメッセージ設計ができている必要がある。

 3. empower

最後のひとつ、そして社内広報が会社への価値創出の面で最も貢献できるミッションは、組織のナレッジを組織全体に流通させることだ。
縦割りで事業部が分かれていても、組織が大きいほど「同じ課題で悩んでいる」それまで出会わなかった人同士が結びつくことで「新たなイノベーションが生まれる」機会を生み出すことができる。

giverになる

そうした社内における情報流通・連携の仕組みの起点となるためには、情報のgiverであろうとする意志だと思う。
情報のハブではなく、銀行になる。たくさん情報を預けてもらい、利子をつけて返すことを意識する。
全く新規の情報でなくても、聞いた話をまとめた議事録にする、図にまとめて認識があっているかを確認する。どこかでニュースとして形にする、など行動によってgiveは作れる。
そうした行動を一つ一つ積み重ねることで、少しずつ「広報の人と話すといいことがあるかも」というイメージが広がる。そして、自然と社員から「こういうニュースもあるんだけど」と話を持ちこまれる存在になるのが一つのゴールとなるだろう。
受け取った情報をまた誰かにまたつなぐことを繰り返すことで、情報の循環を生み出し、加速していく営みを常に実行していきたい。


さいごに 社内広報として大事にしたいこと

コロナでリモートとなり、新たな人との出会いが少なく、リアルタイムの情報キャッチアップがしにくくなっている広報パーソンはとても多いと思う。

けれども、情報の集約点である広報ですらそうなのだから、他メンバーはもっと深刻な状況になっている。そして、情報発信・浸透・人同士の媒介を役割として背負う広報にとって、まさにこうした状況を打開していくことが求められる。

組織と組織みんなに想いを馳せること。これが社内広報の大事な役割だと信じている。


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