君は素晴らしい子なの
こんにちは！北海道の十勝で、児童養護施設出身、少年院出身の青年達の自立をサポートする団体、NPO法人スマイルリングでの青年たちとの日常をnoteしています☺️
“もう、
死んじゃったほうが、
いいのかな、と思って”
泣きじゃくりながら電話をかけてくる君。
辛い記憶が甦り、
眠れ無くなって、
不安で寂しくて、仕方がないのだ。
“分かった。
今すぐ行くから、少し話そうか。”
小さな頃
児童養護施設に預けられた。
“何故そうなったのか”
“どうして家に居られなくなったのか”
訳が分からない。
だから、
ただただ泣いて暴れ回り、
施設の職員を困らせた。
月日が経ってもそれは収まらず、
君はもっともっと荒れ狂い、
知らない大人たちの言うことなんか、
聞けなかったんだよね。
そうして
“問題児”という、
君を追い詰めるレッテルが
どんどんと貼られていった。
４年生の時、
学校にバットを持って行って
校長先生や教頭先生に向かって
めちゃくちゃに振り回した。
理由なんて分からない。
その衝動を止められ無かった。
施設に居られなくなり、
君は児童相談所へと連れて行かれた。
“自分はどうなるの？”
益々訳が分からなくなった。
泣いて、怒って、暴れたら、
毎日毎日怒られた。
叩かれたり、怒鳴られたり、
一人だけ、オヤツを減らされたり…。
君の心は傷ついた。
こんな所から
早く出て行きたかった。
別の施設へ入園することになり、
“ここから出られる！”と思ったのも束の間、
もっと酷いことになってしまったね。
その日からイジメられた。
年上の先輩達から
恐ろしい暴力を受けるようになった。
殴ったり蹴ったりされるのは怖かった。
痛くて苦しくて悲しくて。
言葉ではもっと酷く傷付けられた。
陰湿なイジメは、
君の心をコテンパンに打ちのめした。
でも君が一番悲しかったことは何だったか。
それは、
『誰も助けてくれなかった』ことだ。
先生も、友達も、
“キミにも悪いところがある。”
そう言って、
皆んなが見て見ぬフリをした。
中学生になると
身体も大きくなり、
君の中の何かが変わった。
心が“怒り”でいっぱいになったのだ。
親に、先生に、友達に……。
『殺してやる！』
そんな殺意を抱くようになった。
君の世界は真っ暗で、
こんな目に合わせた
まず大人が許せなかった。
学校で、施設で、
少しのことでもキレて暴れて
先生達を殴った。
親からは時々手紙が届いた。
嬉しくは無かった。
“イジメにもあっているのに
ずーっと寂しくて辛くてたまらないのに
どうして家に居られないんだよ”
だから手紙なんて
嬉しく無かった。
高校生の時
一時帰宅で久しぶりに実家に帰った時に、
君は包丁を持って
家の中で立ち尽くしていた。
その時お兄ちゃんが
外へ連れ出してくれなかったら
君は今頃………。
君の苦しかった子供時代、
少年時代の話を私は聴いた。
かけがえの無い、
もう二度と戻る事が出来ない、
無邪気な子供時代を過ごせなかった、
そんな君の話を私は聴いたよ。
時々その“怖いお化け”みたいな思い出が
今でも君を苦しめる。
何にも君は悪くないのに……。
君は静かに泣いた後、
ゆっくりゆっくり
今度は私の話しを聴いてくれた。
そして、
とても優しい目をして
私にこう言ってくれたんだ。
“ちあきさんの事は、僕が一生支えます。
何処にも行かないで此処に居て、
僕がちあきさんを守ります。”
こうしてみると
まるでプロポーズのようだが。
君の倍以上生きている私が
近い将来おばあちゃんになって、
足腰が弱くなっても
“支えます”と言うのだ。
そして、スマイルリングの活動を
自分も支える一人になる。
そう言ってくれたのだ。
“イジメられてばっかりだったから、
人を支える経験は
生まれて初めてのことなんです。
だから戸惑うし、どうしていいのか
分から無いんですけど。
でも、支えるって決めたんです。”
君と出会ってから
私は君と
何度も何度も話をして
決意したことがあるんだよ。
君がこれからの長い人生を
心から安心して生きていけるよう、
私は毎日君の幸せを祈る。
そして君がいつか、
今も何処かで君のような目にあっていて、
苦しんでいる、君のような子供達や
青年達の最大の味方となって、
その人のことを、一緒に守って欲しいのだ。
何度も頷きながら
『僕はやります。』
そう呟いてくれたね。
君は本当に素晴らしい青年だ。
君が生まれてきた意味を
君が苦しみに耐えて生きている意味を
私は深く考えるよ。
NPO法人スマイルリング💫
理事 ののむら ちあきこの記事が気に入ったらサポートをしてみませんか？