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ガッカリしない。簡単に喜び過ぎもしないということ。

 北海道十勝から、児童養護施設・少年院出身の青年たちの自立をサポートするNPO法人スマイルリングで活動しています。毎日感じるあれこれを😊✨


 思春期真っ盛りの彼らの感情、心は、毎日ジェットコースターのように激しく揺れ動く🎢✨

 嬉しくも悲しくも、怒るも不安も落ち着くも、それはまたつかの間の、一瞬一瞬の感情であり、

 今日嬉しくてはしゃいでいても、明日には溜め息…。そんな、『自分でも理解不能』な感情に振り回されて一番疲れるのは彼ら自身である。

 

 昔、大失敗したことがある。

 当時17歳の少女が居た。

 彼女は物心つく頃より、父親から壮絶な虐待を受けて育った。家族と離れ、高校も行かず、働かず、一人暮らしをしていたが、毎月親から貰えるお金は一万円で、“生きる為”に万引きをして暮らしていた頃に知り合った。

 彼女はいつも笑っていたが、全く楽しそうでも幸せそうにも見えなかった。

 ただただ、寂しかったのだろう。毎日一緒にいたがり、私も彼女が心配で、毎日一緒に過ごして、ご飯を食べさせていた。

 すると少しずつだが、彼女は時々、本当に嬉しそうに笑ったり、泣いたりするようになった。

 私は嬉しかった。彼女が可愛いくて、彼女が早く幸せになれるようにと思うあまり、

 『あれもダメ、これもダメ…』と、彼女の“やらかすこと”にダメ出ししたり、明るい方へ、正しい方(私が思う正義)へと引っ張っていこうとした。

 彼女は私のことが“好き”なので、頑張ってそれに応えようとするのだが、それがなかなか上手くいかなかった。

 いつも『何でそんなことしちゃうの⁈』と、頭を抱えるようなことを、次から次へとやらかしては、それでも私の“忠告”を守ろうとして、その度に私は一喜一憂する事になった。

 今考えても、彼女は苦しかっただろうな。

 本当に可哀想なことをしてしまったと思う。

 そんな関係は、私自身もとても疲弊してしまった。今思い返しても、やっぱり大失敗だった。『良いところも悪いところもある、ありのままの彼女』を大切にしてあげれば良かったのに。

 ただ、まだ25歳だった私が、本当に悩みながら体当たりで接した彼女への気持だけは何とか伝わってくれて、嫌われずに済んだ。そんな彼女には今でも凄く感謝している。


 スマイルリングで活動するようになってから、いろんな青年たちと出会った。


 “言ったことと違う”とか、“約束を守れない”とか、“嘘や誤魔化しをしてしまう”とか、そんなの当たり前。何回もすっぽかされたりした時には、

 『いやいや〜参った参った〜!』なんて、口にしてしまう時もあるのだが、心の中では本当は大して参ってもいない。

 それにも意味があるのだ。

 反対に、嬉しいことを言ってくれたり報告をしてくれたりすることも沢山ある。

 それだって、『もうこの子は大丈夫だ!!』なんて安心して、手放しで喜び過ぎてもいけない気がする。

 彼らが笑い、喜ぶと、私も凄く嬉しい。

 ただ、彼らは本当に記憶があるか無いかぐらいの頃からとても苦労していて、心には凄く沢山の、細かいのから大きいのから、傷がまだまだ残っているのだ。

 幸せになろうとすると、何故かその傷口から血が流れてくることがあって、

 『今は幸せなはずなのに、何故だか不安で怖くて、苦しくて仕方がない』という思いに囚われてしまうことがある。

 そこをしっかり見守っていかないと、彼らも私に本当の自分を出せなくなってしまうと思う。暗くてもため息でも何でも吐けばいい。それが今日の君なのだ。

 

 私は君が今日、どんな顔でどんな声をしていようと、やっぱり君のことが大好きだ。ガッカリなんてしないし、君が笑えば私もついつい笑っちゃう。


そんな君と過ごせる毎日が、私は嬉しいんだよね。

私もそんなんだったなぁ…と、彼らと話すと思い出します☺️✨
NPO法人 スマイルリング
理事 ののむら ちあき😁

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