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新規事業に向く資質① 「知覚」が特異で、ものごとの捉え方が特有

「新規事業に向く資質」の特徴1つ目は、「知覚」が特有であり、ものごとの捉え方が人と違っていることです。
大きく言えば、世界の捉え方がほとんどの人と異なり、その人固有のレンズで世界を捉えていること。

「知覚」とは、ある状況や情報に対して「どこに目を向けて、何を読み取るのか?」「感じ取った情報を、どう解釈するのか?」という情報取得・処理プロセスです。あらゆる知的活動の最初のプロセスが「知覚」であり、「知覚」が特有なことは、新規事業に向く資質の1つです。
「知覚」が特有で人と違うことにより、多くの人が気に留めない情報に対しても何らかの兆しを見出したり、ごく当たり前の何でもない状況の中でも違和感を覚えたりします。「知覚」が特有で、大半の人と異なる風に状況を解釈するため、知覚の次の知的活動プロセスの「思考」のアウトプットがユニークなものになります。

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新規事業では「常識を疑う」、「問題解決よりも問題発見が重要だ」などと聞いたことはあるでしょう。実は、これらは全て「知覚」に依存することです。

「知覚」が特有な人は、世の大半の人が常識だと思うことについても、「それはおかしいのではないか、こういうのもあり得るのではないか」と、つい思ってしまいます。
「知覚」が特異な人が、その人なりに普通に考えた結果は、多くの人からみると「世の常識と異なる見方・考え方」となります。別に、一生懸命に「世の常識を疑おう」としているのではありません。自分では普通に考えているつもりなのに、結果として「世の常識と異なる見方・考え方」になってしまうのです。

「課題発見」も同様です。「問題発見が重要だ」と言われたから、問題を一生懸命に探すのではありません。とある状況や情報に直面すると、ほとんどの人は業界・社内常識に囚われた解釈を無意識のうちに行います。「ゼロベースでフラットに」考えることは、ほとんどの人にとっては不可能です。
しかし、特有の「知覚」を有する人は、状況や情報を社内常識と異なるレンズを通して解釈するため、「それはおかしいのではないか」という課題に気づきやすいのです。

このように「常識を疑う」「問題発見」の前処理プロセスにあるのが「知覚」です。「知覚」が特異で人と違うことにより、世の中が人とは違う風に情報や状況を解釈でき、ほとんどの人が気にも留めない中に、問題や機会を見出すことができます。
「知覚」が特異な人は、意図的に物事を疑うわけでも、世の常識と違う風にものごとを捉えたいわけでもないのに、幼少期や思春期の家庭環境や人生経験を通じて、本人も知らぬうちに、特異な「知覚」になっています。

ある状況において、実は水面下で不満や不都合、違和感や不条理があったとしても、ほとんどの人はそれが「当たり前」だと受け止めます。和を以て貴しとなす日本人は、その傾向が特に顕著です。
例えばレンタルビデオ屋では、返却期限を過ぎたら延滞金が発生します。このことを、ほとんどのユーザーは、ルールだからと渋々受け入れますし、レンタルビデオ屋にとっては大事な収入源ですしね。

しかし、ある日アメリカで、リード・ヘイスティングスさんはこう思いました。「なぜ延滞料金なんてあるのだろう、延滞料金がないとすればどうだろう?」
「延滞料金」について、レンタルビデオ屋の常識と真っ向対決する捉え方をし、そこに問題と機会を見出したリード・ヘイスティングスさん。その後ネットフリックスを起業し、同社は世界最大の動画配信サービスになりました。


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