SDGsの科学的裏付け#4 クリエイティビティとのつながり。
科学の示す境界線は、私たちの生活を制約するものではなく、むしろ境界があるからクリエイティビティを発揮できる、というお話です。
科学者が示すように、プラネットバウンダリー・地球の境界線が危機に脅かされているのは、間違いありません。そして、それは数値としても示されます。同時に、写真や映像など芸術を通じて、地球の置かれた悲惨な状況を目の当たりにするかもしれません。でも、課題は山済みだ、と悲観してしまっては社会は前進しませんよね。
対して、公衆衛生に携わってきた医師ハンス・ロスリング氏とそのご家族が著した『FUCT FULNESS(2019,日経BP)』が明らかにしているように、個人レベルでは社会は大きく改善している側面もあります。どちらもファクトです。また、地球の美しさ、人間の素晴らしい側面もまた、芸術を通じて、日々、感じているはずです。
一体、どっちが本当なんだ?
二つの世界の見方に対し、私たちは、現実を直視し、未来を切り開く力をもちあわせています。それは、ヴィジョンです。ノア・ハラリ氏は「虚構」と表現しました。
歴史を紐解くと、境界の中で、個人個人がクリエイティビティを発揮する、というのは人類の生存戦略なのだと思います。ただ、今回の境界は、自然でも、資源でも、軍事でもなく、科学が定義したものです。自分たちの活動に対して、自分たちで境界を設ける、というのは、一見すると受け入れられがたいことです。自由を奪われることと表裏一体なので。
でも、境界というのは、クリエイティビティを刺激する格好の状況でもあります。#1で紹介した『地球の大きな世界 プラネタリー・バウンダリーと持続可能な開発(2018,丸善書店)』の「あとがき」に素晴らしいたとえが載っているので、ご紹介したいと思います。
「持続可能性は、つまるところ何ら制約的なものではない。
それは、たとえば、サッカー場を画するラインが、リオネル・メッシの素晴らしいプレイを可能にするのと同じように、革新を促進するからだ。」
プラネットバウンダリー・地球の境界線が喚起させるネガティブな側面を、鮮やかにポジティブな表現へと換えています。
つまり、地球という目線では、際限なく人間の活動が拡張してきている。そして、その境界を超えようとしている。でも、個人個人は可能性を秘めている。科学に基づきライン引きとルールを創り、チームワークを強化することが重要になってきます。SDGsは、その境界内で、個人、そして組織、自治体、国のヴィジョンを明確にし、各々のクリエイティビティを高める役割を担うこと、が期待されています。
例えば、日本では脱炭素がようやく紙面をにぎわせています。今後、明確にラインとルールが変わることになります。それは、パリ協定とSDGsを読めば、書いてあるわけです。どう受け入れ、どう準備するか、ビジョンをもって過ごせば、ワクワクするような未来が待っています。
©PIXTA
Twitterの創始者ジャック・ドロシーは、制約がクリエイティビティを刺激すると信じ、140字の制約をつけましたね。
そんなわけで、「皆がプラネットバウンダリー・地球の範囲内で、SDGsが掲げる理想と現実の状況を踏まえてビジョンをもち、鍛錬して、チームワークを強化し、応援しあうことで、クリエイティブな活動をしていく」っていうのが、今の潮流だと思って記事にしました。
次回#5では、バックキャスティングという考え方を書きます。
『note』というプラットフォームが提供する境界は、クリエイティビティを高めていますよね。
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これまでの文章は、『サステイナビリティ私観』をご覧ください。
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「世界を変えるお金の使い方(Think the Earth Project編)」に基づいて100円単位~数万円単位でできること、50項目を実行し、その報告を記事にします。 「毎日使う100円玉にも世界を変える底力があります(P11)」 応援、ありがとうございます!!!!