見出し画像

「継承可能性」、に込めた意図

 SDGsサステイナブルの名詞形であるサステイナビリティを「継承可能性」と訳すことの意図を述べます。

「継承可能性」としてのサステイナビリティ

 サステイナビリティを、「持続可能性」と訳す場合、それは規範的かつ普遍的な印象があります。こうすべき、的なニュアンスがあるし、何となく他人事な印象をもちます。

 もともと、未来に理想の世界があり、そこからバックキャスティングで現在の在り方を模索する線形の世界観がもとになっています。そして、その原動力は、西洋の一神教のもとで培われてきた倫理と社会規範にある点が、多くの日本人にとっての分かりづらさにつながるように思います。

 建前として理解できたとしても、目の前の行動を変えるほどの腑に落ちた深い理解には届きづらいんです。SDGsのロゴの訳を英語の直訳ではなく、自分事にするように工夫したとの逸話がありますが、大いに賛同する。

 そこで、どこか他人事の持続可能性を自分に引き付けるために、訳語として「継承可能性」を持ち出してはどうか。継承という言葉は、誰かが、誰かに、何かを引き継ぐ、ことを意味します。

 すなわち、自分が主語で、愛する人と大切なものを述語に置くことができる言葉です。それにより、自身を通じて解釈することを促せる可能性があります。

 また、持続可能性の要求する果てなき時間軸、例えば「1000年続く」等、へも区切りをつけたいとの思いがあります。私たちにできることは、せいぜい祖父母,両親たちの世代の蓄積を基盤に,子供,孫のために今を積み重ねだと思うので。そんな人の顔の見える訳語で再構築していくことで、行動を促していこうというのが、今の私のスタンスです。

 もちろん、これは二項対立でとらえているのではないんです。お互い補完することが望ましいです。そして、曖昧に使い分けられるのが日本人のよいところです。

 その際に、その2つの訳語をつなぎとめる考え方の整理が大切になると考えます。SDGsが創られた背景を西洋と東洋、そして国際社会の文脈から紐解いていく。そして、工学者として具体的な解決策を提示し、共創的に社会をよりよく引き継いでいくための言葉を紡ぐ、これがこの『note』で解説していきます。

画像3

思いの詰まった図ですが、まだどこにも公表していません。
授業、講演では、受けが良いですよ。

イーロン・マスクと中村朱美、そして、継承可能性

 ここで一度、「サステイナビリティ」の実践を見直すために、対照的な二人に登場いただきます。持続可能性と継承可能性の違いを説明したい、という意図です。
 一人は、イーロン・マスク。電気自動車のテスラ、PVのソーラーシティ、火星開発のスペースXのCEO、会長として、彼は「人類の救済が必要」との信念のもと、持続可能なエネルギーシステムと別の惑星での文明をつくることに身を捧げ、自家用ジェットで文字通り世界の持続可能性を高めるスーパーマンです。掲げた目標の達成のためなら、何でもする強靭な知識欲と行動力をもちあわせています。
 もう一人は、中村朱美。株式会社minittsの代表取締として「売り上げを、減らそう。」を掲げた佰食屋を経営し、継承可能な働き方を実現。「業績至上主義が身近な人を幸せにしていない」、というまっとうな発想が起点です。ビジネスプランを構想し、専門家にけなされつつも、実現し、継続する行動力も見事です。そして、その発想を洗練させたのが、子どもの存在であった。ささやかな行動力が、しなやかに伝播していき、社会を少しずつ変化させていく、そんな強さを予感させます。

画像4

サステイナビリティを体現する、あまりに対照的なお二人。
どちらも、すごいですよね!!

画像2

©pixita
次世代を創造するのは、巨大資本のテクノロジー有する巨大資本か?

画像1

©pixita 
注;写真はイメージで、中村朱美さんおよび佰食屋とは何も関係ない
それとも、身近な人間を笑顔にするビジネスモデルか?

 イーロン・マスクが、巨大資本で人類の持続可能性を高めるころ、中村朱美が推奨するような人間らしい生き方が世界に広がり継承されていることを願っています。
 サステイナビリティに向けた行動は、地球スケールでの持続可能性と身近なスケールでの継承可能性を追求するものだと、ここでは整理します。

 前者は、SDGsやパリ協定の枠組み否応なく対応が迫られる。後者は、自分を含め、身近な人、コミュニティ、景観の変貌への危機感から、より良い選択肢を創りだします。この両者をつなぎとめる具体的な方策を粘り強く検討していきたい、と一研究者として考えている。

 その一端を段階を踏んで解説していきます。

 なお、この内容は、以前に勤めていた環境NPOの会報誌「環境と文明」の投稿内容の一部を基にしています。

 まだまだ初心者なので、読んでくださるだかで、心から嬉しいです!!!
 ありがとうございます!!!
 よろしければ、「スキ」♡とフォローで応援してくださると嬉しいです。
 応援してくださった皆さんのnoteは、必ずチェックします!

サステイナビリティ私観 (5)


「世界を変えるお金の使い方(Think the Earth Project編)」に基づいて100円単位~数万円単位でできること、50項目を実行し、その報告を記事にします。 「毎日使う100円玉にも世界を変える底力があります(P11)」 応援、ありがとうございます!!!!