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SDGs史#7 70年代 エネルギー選択の分かれ道 日本とデンマーク 1/2

 『アナと雪の女王1, 2』どちらも大好きです。最近、家具を見に行くと北欧デザインが流行っています。どちらも、日本の自然観、感性にあっていると思っています。

    SDGs史では、北欧が舞台となったお堅い話をしています。先端をいく北欧に親和性を持ちつつ、顕著に学ぼうを基本姿勢に記事にしています。

 さて、1970年代のエネルギー選択が、国のその後大きく左右していた、というお話です。ストックホルム人間環境会議のわずか1年後、第一次オイルショックが起きました。この二つの出来事は、SDGsとパリ協定の点から見直すと、歴史的な分岐点

 会議では、エネルギー問題はそれほど大きなトピックではありませんでした。産業公害途上国の開発が主で、エネルギーは資源問題の一つとの認識でした。しかし、その二つの課題とエネルギーの問題は、密接にかかわりあっています。そのことは、1980年代に、地球温暖化の懸念が報告され始め、それは決定的となります。

   「ローマの道は一日にしてならず」

 今のエネルギー問題を理解するために、1970年代のエネルギーの選択の際の「思考習慣」を踏まえるのも手でしょう。見えることが多いです。

 そのために、日本SDGs先進国・デンマークを書きます。

 世界のSDGsの目標達成国ランキングでは、デンマーク1位(2019年)です。日本は17位(2019年)です。見方によっては、貢献していますね。一方、デンマークの一人当たりのCO2排出量は、日本の66%程度(2016年)です。そちらも気にすると、デンマークは、より炭素排出が少ない中でSDGsのかかげる目標を達成できている社会です。

 素直に学んでおいてよいはずです。

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Photo by Rod Long on Unsplash

 かつて、内村鑑三が「デンマルク国の話」として、日本に紹介してから100年が経ちます。その教訓は今もいきます。日本は、「大国」にあこがれる必要なんてないのですから、「身の丈」にあった戦略を考えましょう。「山椒は小粒でピリリとからい。」を目指したいものです。

 話がそれました。エネルギーの話です。

   日本とデンマークを選んだのはSDGsの他にも理由があります。それは、私のアイコンに写るマリオのような風貌のお方、エイモリ―・ロビンス氏です。彼は、1979年に私とほぼ同じ年齢で「ソフト・エネルギー・パス」を発表し、各国で話題を呼びます。日本でもかなり有名になったそうです。そのエピソードが下地にあります。
 *ちなみに、エイモリ―は、私のあこがれの実践派工学者です。

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左)エイモリ―をしるきっかけとなった「Natural Capitalism」
右)エイモリ―からの直筆メッセージ@スノーマス、コロラド

 「ソフト・エネルギー・パス」とは、今でいう再生可能エネルギーなどとともに、省エネで使う量を減らし、巨大な設備・技術に頼るのではなく、永続的なエネルギー利用を目指すです。
   「Enough is better!」の世界です。

 一方、「ハード・エネルギー・パス」とは、エネルギー需要は伸び続けることを前提に、それを補うために、原子力巨大設備エネルギー供給を目指すです。
 「More is better!」の世界です。

 エイモリ―・ロビンス氏は、ハードパスを「電気で湯を沸かすのは、チェーンソーでバターを切るようなものだ」とよく例えます。
 バターを切るには、バターナイフで十分ですし、何なら手でちぎれます。熱力学を持ち出すまでもなく、感覚で分かりますよね。

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エイモリ―は、有言実行!!
1980年代にはZEB(ゼロ・エネルギービル)を仲間たちと建設。2004年に伺った時点で、蓄電池をこれほど積んでいました。
後に、NYのエンパイヤ―ステートビルもグリーン化しちゃいました。
そこら辺は、のちのち、記事にしましょう。

 この本自体は、アメリカのエネルギー政策の検討が主たる論点でした。ですが、その序論が興味深かいんです。

 「ソフト・エネルギー・パス」を選択できそうな国として、日本デンマークを挙げています。そして、日本は省エネと太陽光でデンマークは半分を風力で賄える、との研究結果を紹介していました。ただし、エイモリ―・ロビンス氏自体の研究成果を論拠とはしていなかったです。

 それから40年が経ちました。結果、どうなったでしょうか?

 2019年の電源構成、つまりエネルギーのうちの電気を何で生産したかを表にしました。簡単に説明します。

 まずは上の三つ化石燃料では、天然ガスがもっとも省エネです。その点、日本はそちらにシフトしました。

 太陽光発電をみてます。日本は、あれだけ、山肌や農地にソーラーパネルを目にするようになっても、全体の7%です。しかも制御がうまくいかずにこれ以上増やすと困る状況です。でも、デンマークより割合は、高いです。

 風力発電は、ご覧の通り、デンマークは半分を超えています。もちろん、いくつか課題はありますが、事実としてそうなっています。日本は、今、話題になっていますね。

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IEA(国際エネルギー機関)の2021.1.11時点のデータを基に整理。
ただし、デンマークの太陽光、風力、バイオマスは、輸出入による影響を加味して按分しているので、必ずしも正確ではありません。

 ここでエイモリ―・ロビンス氏をたたえたいわけではないんです。
 この結果になったのは、1970年代からのエネルギーの選択時の「思考習慣」にあった点を振り返りたいんです。

 次回、「SDGs史#8 70年代 エネルギー選択の分かれ道 日本とデンマーク 2/2」にて、なぜそうなったかの歴史の種明かしをします。ご期待くださると嬉しいです!

 長文、お読みくださり、ありがとうございます!!!!

 これまでの文章は、『サステイナビリティ私観』をご覧ください。
 応援してくださる、と嬉しいです。!!!


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