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テック全盛期、工学の歴史を学んでほしい

今年も学部1年生に「哲学」の講義が始まりました。
150人も受講してくれて、嬉しい反面、レポート採点の大変さが頭をよぎります。
それでも、全7回の講義を通じて、学生自らが自身の考えを明らかにしていくプロセスは、プロの方々とのお付き合いでは得られない喜びもあります。

先週は第2回でテーマは、その名も

「工学の環境史観」

でした。

西ヨーロッパのルネッサンス期から、科学が生まれ、工学が生まれていきます。それ以前の世界的な動きが重要です。

「極東と西ヨーロッパのように遠隔地に住む人々が直接交流するためには、試行錯誤を経た知識の蓄積や、異国から得た科学技術の進歩が必要であった。」

「技術の千年史」 A.パーシー, 2001年

ルネッサンスは、「ギリシャの科学哲学がアラビアを経由してヨーロッパに逆輸入したもの 」を翻訳することから始まった。

「科学哲学への招待」野家啓一, 2015年

などなど。

ダ・ビンチ、ベーコン、ニュートンといった特殊な方々が、ある種、工学や近代の技術の礎を切り開いていきます。
そして、工学が大学といった場所で一般的に学ばれるようになるのが18世紀。フランスのエコール・ポリテクニークが代表例です。

「国家が大学という開かれた組織を媒体として技術の伝播をはかる、という明確な意図 」をもつようになっていきます。

工学の歴史と技術の倫理」, 村上陽一郎, 2006年

そして、日本は、大政奉還、文明開化を迎える時期にその影響を受けます。帝国大学の工学寮は、先進の取り組みだったんですね。

 「総合大学のなかで、独立の部局として「工学部」という組織を備えたものは、この段階ではまだ世界に存在しなかったと言ってよい。」

「工学の歴史と技術の倫理」, 村上陽一郎, 2006年

その後の日本の産業化にも大きく関係してきます。

さらには、WW2での工学の拡大。原子力とコンピューターをうみだしたわけです。オッペンハイマー、そしてマンハッタン計画。

ルーズベルトは原爆開発の重要な政策決定をするため、少人数の最高政策グループを設置した。(中略)こうして政治的・軍事的・科学的な観点が密接に統合された意思決定が可能な体制が作られた。

「科学技術の現代史」、佐藤靖、2019年

最後は、Googleのラリー・ペイジ、Amazonのジェフ・ベゾス、そしてイーロン・マスクの核心的な言葉で締めました。

そのうえで、私の考える「サステイナブル工学」の私案を提示しました。

レポートからは、モチベーションあふれる言葉たちで、相変わらず先生冥利です。

社会人向けに書籍化しないとな!、と忙しい中、背中を押された気がします。

もっと書こう文章を、noteで粘って、いよいよ本気を出すか。

「世界を変えるお金の使い方(Think the Earth Project編)」に基づいて100円単位~数万円単位でできること、50項目を実行し、その報告を記事にします。 「毎日使う100円玉にも世界を変える底力があります(P11)」 応援、ありがとうございます!!!!