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医学部を目指す受験生が知っておくべきだと思う30年後の未来【今を前提に将来を考えるリスク】

何度も書いていますが、未来予測は私のライフワークともいえるほどの好きなことです。

なので、1000回目の投稿もやはり未来のことについて書きたいと思い、頼まれもしないのに、いろいろ調べて書きました(笑)。
何をやってるんでしょうね(^^;

自分の仕事へのフィードバックという点で見ると、未来予測は現状からはなかなか見えてこない視点をもたらしてくれると感じています。

その一つが、加熱する一方の医学部入試です。

今年もありがたいことに、医学部の合格者が出ています。私自身、全力でサポートに当たっていますし、頑張った受験生には最大限の敬意と祝福をと思っている一方で、個人的にはちょっと冷めた視点で熱狂ともいえる医学部入試をみているのも事実です。

というのも、これまでのような医師という職業から派生する恩恵は減るだろうと思うからです。
もちろん、たとえそうであっても医師としての仕事に誇りをもって人生を送る方が大半だろうとも思っています。

ただ、人間である以上、欲の側面から医師の仕事に魅力を感じている人もいるでしょうし、それ自体は悪いことではないと思います。

ならば、未来への視点は持っておくべきだろうとも思います。

医学部を目指す若い人には30年後の視点はぜひ持ってほしいかなと思います。

まず、30年後、この国の人口は1億人を割り込むということは頭に叩き込んでおくべきことだと思います。思考の前提としてとても大事だと思います。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000273900.pdf

医師という仕事という側面でいうと、人がいないと(正確には患者さんということなのでしょうが)、商売が成り立ちません。
今後人口減少に伴って、医学部の定員は調整されるとは思いますが、状況によっては医師の過剰は当然あり得るシナリオでもあります。診療科の偏在が過剰に拍車をかける要因になりえます。

さらに、言えることは医師の仕事こそが、テクノロジーの進化と親和性が高いことです。
現在は医師という人間やっている血液検査などのデータの分析やCTやMRIの画像診断、さらに治療方針の策定などは、AIに置き換えることが「とても有益な」分野です。
職業としてのライバルとして、AIはあまりに強敵です。

さらに、現在は人しかできないと思われている問診なども、医師の経験による勘によるものよりも、要素を抽出したAIがやった方が的確で短時間で可能になるかもしれません。

なので、医療費抑制政策によって、まずはAIによるチャット問診からの投薬で様子を見るのがデフォルトとなることは十分ありえます。

そして、進化するテクノロジーによって、医療費は増大するでしょうし、相対的に人件費は下がることが予想されます。
これが医師になれば豊かな生活ができるという読み筋を脅かす要素になるのかもしれません。

また、新自由主義を推し進める人たちは、国民皆保険制度を快く思っていないことも理解しておくべきでしょう。
アメリカのように医療はサービスであるという考え方によって医療体制がリセットされるリスクもありえる。可能性としては、高くはないとは思いますが、考えの片隅に置いておくべきでしょう。

それでも医師の仕事は魅力にあふれていると思います。
そのような方はぜひ医学部に挑戦してほしいと思います。

また、たくさんお金を稼いで、豊かな生活をしたいという方はもっと視野を広げておくことがいいのではないかなと思います。
その選択肢として医学部(医師)はそこまでの魅力は持つのかという視点は大事ではないかなと思います。

加熱する医学部入試には、あまり明るくない未来への視点が欠落しているように思えてなりません。

人口減少は劇的に未来を変えるでしょう。私たちが今後、最も大きな変化を感じる出来事こそが急激な人口減少だと思います。

この点は甘く見ない方がいいと自省を込めて強く感じています。




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