個人年金保険、損してでも解約すべき?
おはようございます!
先日、お金の相談に乗っていた方で個人年金保険に加入している方がいました。
個人年金保険とは、生命保険の一種で私的に契約することで将来年金として受け取ることができる保険のことです。
毎月の積立額は約15,000円。
支払いは60歳までの39年で約700万円。
満期になると年金として10年間毎年90万円ずつ、総額900万円受け取れるという契約内容です。
現在、9年目で今までに170万円ほど積み立ててきており、今解約すると返ってくるお金は160万円ほどです。
さて、あなたならこの契約を続けますか?
考えるべきポイントは利率と機会費用。
「700万円が900万円になる」という部分だけ見ると「結構増える!」と思うかもしれませんが期間も考慮すべきです。
利率は計算したら分かりますが、年利1.0%ちょいちょい。
これを高いとみるか低いとみるか。
大体、保険の営業マンは比較対象として銀行金利を出します。
「銀行金利の0.001%に比べたら1000倍ですよ!!」
とか言って契約を促します。
しかし、「預金」と「運用」を比較する時点で的外れ。
「運用」と「運用」を比較するなら分かります。
他の運用と比較した場合、どう言うんでしょうね・・・
まぁ他の運用に比べると利率は低いですよね。
今流行りの積立NISAでも年利5%前後狙える可能性はあります。
わざわざ低い金利で、なおかつ保険会社の手数料まで負担して個人年金に入る必要はないでしょう。
そして、個人年金は収益に転じるタイミングも重要です。
個人年金やその他積立型の保険は早期に解約すると解約返戻金(解約したときに返ってくるお金のこと)が減って返ってきます。
この方だと10万円減ってますね。
満期が近づけば減る額も小さくなります。
満期になり毎年90万円ずつ受け取るのですが、支払った700万円を超えるタイミングは8年目(90万×8年=720万)となります。
つまり、この個人年金という運用が収益に転じるのは契約から47年後(67歳)となります。
めちゃくちゃ先じゃないですか?
トータルすると49年かけてたった200万円増えるだけです。
このことをどう受け取るかですね。
「期間長いわりに全然増えへんやん!」と思うのであれば解約したらいいでしょう。
しかし、そうなると別の問題が発生します。
それは、解約すると10万円損するということです。
人は損や失敗を嫌う生き物です。
感情的に考えると10万円損するので辛いでしょう。
ただ合理的に考えるとこの契約を続ける意味が全くありません!
なぜなら、自分で運用すればもっと増えるから。
目先だけ考えると10万円損します。
しかし、『長期的な損』を防ぐことができます。
どういうことか説明します。
仮に、このまま運用を続けると今から38年後に900万になるわけですね。
一方、今解約して返ってきた160万円は一旦無視して、毎月の積立額15,000円を積立NISAで年利3%で38年運用できたとしましょう。
そうすると38年後、1,282万円になります。
解約返戻金の160万円を無視しているにもかかわらず!です。
どうですか。
短期的にみると、解約したその瞬間は損します。
ただ、長期的にみると他の選択肢を取った方が遥にお金は増えますね。
この例だと1,282-900=382万円の差が生まれます。
これを『機会費用』と言います。
機会費用とは、ある一方を選んだことによって、他方から得られたであろう利益の最大のものとの差のことです。
(機会費用について、こちらの記事でも詳しく書いてます)
以上のことを踏まえると、多少損してでも別の選択肢を取った方が合理的なわけです。
「それでもなぁ・・・」
と思う方は、自分が感情に引っ張られすぎていることを自覚すべきです。
そして、そういう方に投資は不向きです。
投資は感情が入った時点で負けます。
それでも投資がしたい!という方は、今の内から合理的な判断ができるよう訓練していくことをおススメします。
では!
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