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作りたてやきとり弁当。コンビニの、豚串の(北海道旅編3)

「店でやきとりを注文したら豚肉が出てきました」(?????)

ということがフツーに起こるのが道南。どうも、北海道編3回目です。距離ガバして札幌から日帰り函館してきました。

とりあえず始発の特別急行「北斗」号に乗り(※片道3時間30分)函館駅へ。函館では青函連絡船摩周丸を利用した博物館船を見学。

青函連絡船が何か簡単に説明すると、北海道新幹線はおろか在来線の青函トンネルも存在しなかった時代に青森駅前の港から函館駅前の港まで運行された鉄道連絡船で、この本州北海道間を移動したい客と鉄道貨物(貨車ごと)を載せて青森から函館まで運航していました。青函トンネル開通後には摩周丸が函館に、八甲田丸が青森側に置かれ、それぞれ博物館に改造されて青函連絡船の時代の話を後世に伝えています。

とまあこんな感じですが青函連絡船の話はとりあえずここではどうでもいいのです。

見学後に「ハセガワストア」という店へ。函館駅前にあります。コンビニです。ええ、コンビニエンスストアです。
函館駅前の店舗はかな~りこじんまりとしているお店。品揃えはぶっちゃけ貧相で、駅ナカにある7の足元にすら及びません。その代わりか何故かオープンキッチンがあります。で、見渡すと机と何らかの注文用紙。「やきとり弁当」とそのラインナップが。

画像引用:『ハセストメニュー | ハセガワストア』https://www.hasesuto.co.jp/menu.html

なんとこのハセガワストアなるコンビニエンスストア、目の前でやきとりを焼いて弁当を作ってくれます。味も選べて、タレ・塩・塩ダレ・うま辛・みそだれのなかからひとつ選べます。なんかメニューに豚串とか怪しい文字が書いてありますがとりあえずさっさと注文用紙にやりとり弁当(小)(塩)と書いて会計。注文するとオープンキッチンの方に控えたスタッフが手早く冷凍?の串肉を取り出して焼きはじめてくれます。

オープンキッチンでは専用のコンロで手早くクル、クルと回しながら焼いてくれます。そこで焼かれてる肉は……

どう見ても豚肉です本当にありがとうございました。

やきとりなのに豚肉。あまりにも意味不明ですが、これは道南だと割とおかしなことではないそうで。何故やきとりなのに豚肉か?というのはハセガワストアのHPに書いてくれてます。

北海道の道南エリアでは、一般的に「やきとり」というと豚肉のことを指します。
道南地区は養豚場も多く、鶏より豚が安価に手に入りやすかったことが、その一番の理由といえるかもしれまん。
また、自然の厳しい北海道の地で働く人たちには豚肉の栄養やスタミナ満点であることがエネルギー源として好まれたのではないでしょうか。

函館では「やきとり」を注文すると普通に「豚精肉」がでてきますし、それを町の人は普通のことと思っています。鶏のやきとりが欲しい時は「やきとり 鶏肉で」と注文するのが何の疑問もない普通のことなのです。

決して函館の豚に羽根が生えているわけではありません。ハセストのやきとり弁当のふたに「ぶたちゃん」が描かれているのは、それを説明する意味でもあります。
「やきとり屋さん」の雰囲気を味わいながら、エネルギー源としてより有効な豚肉を食べる。そんな習慣が道南エリアで広がっていったと言われています。

『やきとりなのに豚⁉ | ハセガワストア』https://www.hasesuto.co.jp/yakiben-story.html

ちなみにやきとりに関してこんな話

函館市出身のバンド「GLAY」のお陰で全国区にまでなった
函館はじめ道南ではやきとりといったら「豚精肉」これは映画「居酒屋兆治」で高倉健さん演じるところの兆治さんが焼いていたのが豚精肉だったことからも「通」の間では知られています

では肝心のハセストのやきとり弁当ですが、これについても書かれていて、

1978年のある夜半
当時のハセガワストア会長、長谷川文夫が自らレジを打っているときに、店の酔客が・・・
「お弁当ないの?」とご来店。当時、店内で作っていたおにぎりの「ごはん」と「のり」 「お酒のおつまみに」と焼き始めていた「やきとり」この3つを組み合わせてとっさに作ったのが始まりとか。
その後、材料の吟味ややきとりを焼く店舗の改良を重ねて・・・
シンプルかつ他に類をみない「やきとり弁当」が誕生、そしてお客様に育てていただき今日に至るのです。

とのことです。しかしコンビニで弁当を作って売ってるというのもなかなか斬新な話でもあります。(引用は全てハセストHPより)
それはともかくとして

クル、クルと回したやきとり。味付けはその場で行うので、塩の場合は塩らしき粉の調味料をパッパとかけてる様子が見られます。それから、霧吹きで何かしらの液をシュッシュッとやきとりにかけていました。オープンキッチンなので目の前で調理風景が見られて、匂いとともに焼けていく豚串を眺めているだけでお腹が空いてきます。(ちなみにネットに載せないかつ風景としての撮影であっても店員の顔は撮影NGです。)

作り置きはしないのでオーダーを受けてから調理開始。他に客はいましたがメニューをさっさと決めて一番乗りで会計。すぐに調理開始。商品が渡ったのは10分ほどでしたが、最速でこれくらいなので混雑時はもっと待つ可能性も。

ということでやきとり弁当(小)の塩です。ごはん200+50gです。ごはん増50g毎に30円くらい高くなります。

豚肉に葱が挟まったねぎまのスタイルの豚串で、それなりに柔らかいながら食べ応えある豚肉の塩加減はちょっと塩多め、ですがこれがご飯のかっ込みたくなるなんとも絶妙な塩加減なのです。口で串から肉と葱を抜き、噛んだそれを飲み込まないままにご飯をかっ込む。びっくりするくらいウマいです。

紅生姜の袋を付けてくださるのでこれを一緒に楽しむことも出来ます。ただ塩味の豚串と紅生姜の組合せは賛否両論かも?タレ味とかだと合うんだと思います。

実はやきとり弁当を食べるのは二回目でして。一回目は味の違いがよくわからないからと「やきとり弁当W」という豚串タレ味3本にご飯の中には塩味の豚肉が入った弁当を食べたのですが、そのご飯のなかの塩味の豚串が妙に美味しかったことを覚えていまして。今回はオール塩味でゴーしたのですが、これがビンゴでめちゃくちゃ美味しい味でした。

塩胡椒だけだと尖った味になることをなんとなく知っており、その尖った感じがしなかったので何かしらの調味料が入ってるんだろうな……と思っていましたが、これに関して解説、ありました。

やきとり弁当の圧倒的な人気の味は「タレ」味ですが、「通はシオだよね」という声も聞きます。
観光客の方が「はた」と迷うのもこの味選びのようです。実はこのシオ味、ただの塩コショーではない。
隠し味に「ガーリック」つまりニンニクを少々効かせているのです。だからといってプンプン臭うのではなくあくまでも少々。
食欲をそそる隠し味です。

画像出典および引用:『やきとりなのに豚⁉ | ハセガワストア』https://www.hasesuto.co.jp/yakiben-story.html

そりゃうまいわけだわ
食欲増進の香りとしてニンニクは最早チートの部類に入る調味料、入ってるのは気付きませんでしたがなるほどと感心しきってしまいました。

シュッシュッとかけていたものに関しても分かりました。

焼いている時に、シュッシュッと吹きかけているのは「はこだてわいん」の赤ワインです。これは味をまろやかに肉をやわらかくする「かくし味」です。もちろん、赤ワインのポリフェノールの作用で体にもおいしいやきとり作りを目指しています。

画像出典および引用:同上

赤ワインですか……なるほど……
単純でシンプルな味ながら工夫されまくってて、確かにこれは脱帽としか言い様がないですわ。

ちなみに、私はちっとも使いませんでしたがこんな工夫も

やき弁容器には「ミゾ」がある。
これは、ふたをしたまま、串だけを外に出し、クリクリっとまわして、串を抜くという食べ方のために付いております。
是非お試し下さい。

画像出典および引用:同上

ちなみにこのやきとり、移動販売があるらしくごく稀に札幌に出張するんだとかで。


さてさて、ここまで書き散らしてきたので加筆も加えてざっくりまとめ。
・ハセガワストアは北海道函館のローカルチェーンコンビニである(セイコーマート系列)
・店内ではオーダー式かつその場調理の「やきとり弁当」を売ってくれる
・やりとりは道南において豚肉を指し、やきとり弁当に使われる肉も豚肉
・ラインナップは豊富、自分で選ぶ
・豚精肉串の味はタレ、塩、塩だれ、うま辛、みそだれの5種類
・店内に注文用紙があり、そこに買いたい弁当と豚精肉の味、それから足したい串の種類を選んで書く
・注文用紙をレジに渡して会計、引換券を貰って完成するまで待つ。弁当が出来たら引換券と交換で受けとる
・早くても10分、混雑時には20分以上かかる可能性もある。
・やきとり弁当移動販売車「やきとり弁当カー」が存在し、ごく稀に札幌などにも出張する(冬以外)。


おおよそ「ホントにコンビニか?」と思いたくなるコンビニですが、それはそうとしてやきとり弁当は本当に美味しいです。函館といえば天然の良港を持つ海鮮のたいへん美味しい町でいいとこのホテルとか朝市とかこれでもかというくらい海鮮をドンドン出してきますが、いくら美味しくとも毎日毎食だと食傷気味になりましょう……その合間の食事としてやきとり弁当はたいへんオススメ出来ます。所謂内地では食べられないローカルフードですので、函館に来た際は是非お召し上がりくださいませ。




おまけ
やきとり弁当食べた後は大沼公園へ行きました。雪が積もっていましたが、北海道駒ケ岳が目の前に見える絶景でした!

その後は市内に戻って「谷地頭温泉」に入浴。鉄がたくさん含まれてるであろう塩温泉は茶色そのもので、しかも湯量が豊富なのか事実上のかけ流し。熱め、ふつう、ぬるめの湯があり好きな温度の湯に浸かれる湯でした。たいへんいい湯でした。

北海道の短い日がなお沈むか沈まないかの時間帯ですが札幌行の北斗号に乗ってしまい、これをもって距離ガバ函館日帰りは終了。早すぎる気はしなくもなかったものの、函館夜景、八幡坂、赤レンガ倉庫、湯の川温泉などの観光地は前回の訪問で訪れてしまっており、未訪問であった摩周丸と谷地頭温泉は今回訪れてしまったので行きたかったところはコンプリートしてしまいました。そんなわけで楽しい観光地ではありますが当面は函館に再訪することはないと思います。次に函館に行けるのは果たして何年後になるんでしょうかねぇ……?


おまけ2
札幌から函館は飛ばしまくる特急列車でも3時間30分はかかります(スマホいじって微睡んで駅弁食べて車窓見てなお暇を持て余すレベルの時間です)。停車駅を徹底的に削りまくって狂ったように飛ばして営業列車リアルタイムアタックやってた時代ですらギリギリ3時間切りが限界でしたので、いかに函館と札幌が遠いかは察していただけることでしょう。「函館で夜景見てからレンタカーで札幌に行ってジンギスカン食べる」なんて計画立てたら地獄見ますよ!
そんなでっかいどう舐めすぎ旅程ですが、北海道新幹線が札幌まで全通すれば札幌駅~函館駅が在来線乗継を考慮しても2時間以内に収まるようになり、マジで実現可能な旅程になります。ので10年と言わず今すぐにでも新幹線開通させてくださいほんとマジで

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