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ザ・ストーリーテラー(宮部みゆきが語る現代ミステリー)
The Storyteller "Miyabe Miyuki"
ストーリーテラー(storyteller)
筋立てのおもしろさで読者をひきつける小説を書く作家。
ストーリーテラーという呼び名が相応しい国内作家さんといえば、私が真っ先に思い浮かべるのは ”宮部みゆき” さんなのです。
宮部みゆきさんは、多分、現時点で80作品(上下巻は1冊でカウント)ぐらいあって、さらに物語のジャンルもなかなかな多彩なのです。
宮部さんの作品は、大きく現代物と時代物、ファンタジー物に分けられるのですが、その中に、ミステリー、サスペンス、ホラー、超能力、人情ものなどの要素が絡んだりするので、ほんとに幅広いのです。
どのジャンルも面白いのですが、今回は、一番、作品数の多い ”現代物の中のミステリー” 系について ”note” していきたいと思います。
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宮部みゆきさんの現代ミステリーの代表作といえば、ひとつが『模倣犯』、もう一つが『ソロモンの偽証』だと思います。
『模倣犯』
公園で若い女性の右腕とハンドバッグが発見された。やがてバッグの持主は、三ヵ月前に失踪した古川鞠子と判明するが、「犯人」は「右腕は鞠子のものじゃない」という電話をテレビ局にかけたうえ、鞠子の祖父・有馬義男にも接触をはかった。ほどなく鞠子は白骨死体となって見つかった――。未曾有の連続誘拐殺人事件を重層的に描いた現代ミステリの金字塔
悪意に満ちた連続誘拐殺人事件を軸に、様々な人間模様が錯綜する本書は、読み始めると、なかなか手を止められない作品なんですが、文庫本で言うと5巻もあるので、ちょっと手が出しづらい作品です。
『ソロモンの偽証』
クリスマス未明、一人の中学生が転落死した。殺人か、自殺か。謎の死への疑念が広がる中、“同級生の犯行"を告発する手紙が関係者に届く。さらに、過剰報道によって学校、保護者の混乱は極まり、犯人捜しが公然と始まった――。ひとつの死をきっかけに膨れ上がる人々の悪意。それに抗し、真実を求める生徒たちを描いた、現代ミステリーの最高峰。
こちらは、さらに長くなって、文庫本6巻分、おそらく、宮部みゆきさんの作品の中でも最長です!でも、読み始めたら気になってページをめくる手が止まらない作品なのです。
間違いなく、この2作品が現代ミステリーでは代表作となるのですが、とにかく超大作なのです。
『模倣犯』が文庫本5巻(計2535ページ)、『ソロモンの偽証』が文庫本6巻(計3199ページ)..... ちょっと怯みますよね。
大作好きの人なら、すかさず手に取ってもらいたいところですが、慣れてない方は、慌てずに、この2作を最終目標としながら、少し短めの作品から始めるのが良いと思います。
初めに読むなら短編集や短めの長編
宮部さんは短編集もたくさんあるので、まずは軽くという方なら、短編集から入るのがベターです。
「短編集」なら、比較的初期のものが読みやすいし、その後の宮部ワールドを感じさせるものもあるので、中でも、『返事はいらない』、『とり残されて』、『淋しい狩人』あたりがお薦めですね。
短編集ではなく短めの長編を読みたい方は、デビュー作である『パーフェクト・ブルー』や、『スナーク狩り 』なんかどうでしょう。
※『パーフェクト・ブルー』を読んだ方は、後日談の短編集『心とろかすような (マサの事件簿)』も合わせてどうぞ!
『スナーク狩り 』というタイトルからではイメージできませんが、自分を裏切った男性に復讐しようとする女性を描いたサスペンスです。
宮部さんらしい「人間の悪意」が描かれているので、この作品が苦手な人は、今後の宮部作品について路線を変えた方がいいかもしれませんね。
慣れてきたら長めの長編へ
ある程度、慣れてきたら、ちょっと長めの長編に取り組んでみましょう。ストーリーテラーたる宮部みゆきさんの物語を味わうには、やはり長い方が良いのです。
『レベル7』、『龍は眠る』、『火車』など、キャリア前半の傑作から読んでいくのをお薦めします。(500~600ページぐらいの長さです。)
レベル7まで行ったら戻れない―― 謎の言葉を残して失踪した女子高生。記憶を全て失って目覚めた若い男女の腕に浮かび上がった「Level7」の文字。
「レベル7」という謎の言葉から、謎が謎を呼ぶ展開のサスペンスです。このあらすじ紹介だけで、話に引き込まれませんか?
嵐の晩に車で東京に向かう道すがら、道端で立ち往生していた少年を拾ったことが始まりだった。その少年は「僕は超常能力者なんだ」と、ある事故のことを語り始めた......。
こちらも冒頭から引き込まれる展開なのですが、やっぱり、上手いんですよね〜、導入部分のつかみが!
休職中の刑事が、頼まれてある女性の行方を捜すことに...。彼女は自らの意思で失踪、しかも徹底的に足取りを消していた。―なぜ、そこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか?いったい彼女は何者なのか?
こちらは、頼まれた調査を進めるうちに、次々と謎が浮かび上がってくる展開で、読めば読むほどはまっていくのです。
決して軽い物語ではないのですが、当時、リアルな現代社会の歪みを描いて、宮部みゆきさんの新境地と呼ばれた傑作で、この作品がなければ、後の直木賞作品『理由』や、代表作の『模倣犯』と『ソロモンの偽証』も生まれなかったと思われる重要な作品なので、ぜひ一読を!
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宮部みゆきさんの作品は、ミステリーといっても、探偵が謎を解き明かす本格推理ものではなく、どちらかというと、スリラーやサスペンス系統のミステリーなのです。
だからこそ、そのストーリーテリングが光るわけなのですが、本格までとはいかなくても、探偵役が主役のシリーズもあって、それが ”杉村三郎シリーズ” になります。
現在、長編三作に短編集が二作発表されていて、こちらも人気シリーズなのですが、主人公をめぐるドラマもあって、できるだけ発表順に読むことが必要になるので注意してください。
『誰か Somebody』(第1長編)
『名もなき毒』(第2長編)
『ペテロの葬列』(第3長編)
『希望荘』(短編集)
『昨日がなければ明日もない』(短編集)
特に第2長編の『名もなき毒』というタイトルが印象的なのですが、そのタイトルが表しているもこそが、このシリーズのテーマだったりするのです。
たくさん作品があるので、読む作品が無くなる心配がないのがいいところなんですが、やっぱり、何から読めばいいのか悩むんですよね。
今回は、そんな宮部さんの「現代ミステリー」を中心に紹介してみました。いずれは「SF・ファンタジー」や「時代もの」も紹介していければと思います。
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