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ユーミン's セルフカバー・コレクション


 松任谷由実さんといえば、自身だけでなく、他の方に提供した曲(呉田軽穂名義を含む)にも、たくさんの名曲がありますね。
 2003年の『Yuming Compositions: FACES』は、それまでの提供曲の中からユーミン選曲によるセルフカバーアルバムになっていました。


 以前はセルフカバーしないと言われていた、呉田軽穂名義の松田聖子さんの「瞳はダイアモンド」や薬師丸ひろ子さんの「Woman "Wの悲劇"より」も入ってたりして、けっこう楽しいセルフカバー集だと思いました。

 ただ、多くの提供曲がある松任谷由実さんですから、それまでのアルバムの中にも、セルフカバーした曲がけっこうあったりするんですよね。(私の記事で紹介させてもらった曲もあります。)
 今回は、この『Yuming Compositions: FACES』以外で、これまでユーミンがセルフカバーした曲の原曲について ”note" していきたいと思います。





 80年代を中高生で過ごした自分にとって、松任谷由実さんのセルフカバーといえば、原田知世さんや麗美さんの曲を思い浮かべちゃうのですが、今となってはユーミンのセルフカバーの方しか聴いたことがないという人も多いかも知れません。

 80年代の提供曲でもそうなんで、70年代の提供曲になるとなお更だと思うんですよね。かく言う自分自身も原曲はあまり聴いてません。
 どうしても松任谷正隆さんアレンジのセルフカバーの方が聴き馴染みがあるんで、原曲を聴くと違和感があったりするのですが、その違いを楽しんでもらえればと思います。

 通常のセルフカバー曲に加えて、提供先とのリリース時期が近接していて、ほとんど ”競作” っぽい感じの曲もあります。
 また、提供曲を大幅に作り直しているものや、タイトル自体変更されたものも含んでいます。
 キャプションには編曲者及び、ユーミンのセルフカバーが収録されているアルバム名を併記しています。


◆ ◆ ◆ 70年代の提供曲 ◆ ◆ ◆


「卒業写真」1975.2

 歌:ハイ・ファイ・セット
 編曲:服部克久
 ※セルフカバーは『COBALT HOUR』収録

 服部克久先生のアレンジでは、ホルンから始まるイントロが印象的ですね。なんかブラバンぽくて、学校をイメージさせたのかな…
 この「卒業写真」は卒業ソングの定番ですが、自分がユーミンを聴き始めた頃には、まだ、ハイ・ファイ・セットのイメージの方が強かった印象があります。
 ハイ・ファイ・セットには「卒業写真」以外にも「朝陽の中で微笑んで」や「最後の春休み」のように、ユーミンが提供し後でセルフカバーした曲もあれば、「海を見ていた午後」みたいに、ユーミンの曲をカバーすることもあって、けっこう近しい関係だった印象を持ってました。


「冷たい雨」1975.8

 歌:バンバン
 編曲:瀬尾一三
 ※セルフカバーは『OLIVE』収録

 「冷たい雨」は、ハイ・ファイ・セットへの提供曲だろうと思っていたら、実は「いちご白書をもう一度」のB面として、バンバンに提供された曲なんですよね。(ハイ・ファイ・セットは、そのカバーなんです。)軽快な感じで、けっこう違う印象なのが面白いのです。


「グッド・ラック・アンド・グッドバイ」1976.4

 歌:岡崎友紀
 編曲:萩田光雄
 ※セルフカバーは『14番目の月』収録

 岡崎友紀さんという方は、ドラマ『おくさまは18歳』で大人気だった女優さんです。正直、自分はあまり記憶できてないのですが、『紅白歌のベストテン』に出てたな~ってぐらいです。
 ユーミンのセルフカバーでは、チェンバロ?のマジカルな響きが印象的な曲なんですが、この原曲の方では、オーソドックスなアレンジながら、途中で”語り”が入ってくるのが特徴的ですね。


「甘い予感」1977.8

 歌:アン・ルイス
 編曲:松任谷正隆
 ※セルフカバーは『OLIVE』収録

 アン・ルイスさんへの提供曲「甘い予感」は、同じ松任谷正隆さんアレンジなんで、あまり印象は変わらないですね。


「水の影」1978.6

 歌:シモンズ
 編曲:後藤次利
 ※セルフカバーは『時のないホテル』収録

    シモンズの名前はわからんです〜
    でも、きれいな歌声ですよね。
    後藤次利さんによるアレンジも透明感があって、こちらの方が好きな感じなのです!  


「サマー・ブリーズ」1978.

 歌:川崎龍介
 編曲:戸塚修
 ※セルフカバーは『SURF&SNOW』収録

 今回、記事を書いていて、もっとも衝撃的だったのがこの曲でした!
 こんなタイトルの曲あったっけ? と思う方もいるかもしれませんが、実は、ユーミンのセルフカバーではタイトルも違うし、歌詞も全然変わっています。
 でも、曲を聴いたら、すぐに分かるはずです。はい。
 ちなみに、歌ってる川崎龍介さんって方は、『太陽戦隊サンバルカン』でバルイーグルとかやってた人みたいです。(これも驚き!)



◆ ◆ ◆ 80年代以降の提供曲 ◆ ◆ ◆


 さて、80年代に入ると、呉田軽穂名義の曲も含めて、アイドル達への提供曲が増えるのですが、その中で、セルカバーもした曲というと、やっぱ原田知世さんや麗美さんへの提供曲ですよね。

「時をかける少女」1983.4

 歌:原田知世
 編曲:松任谷正隆
 ※セルフカバーは『VOYAGER』収録

 「時をかける少女」については、詞を生かしながら違う曲を付けた「時のカンツォーネ」(アルバム『スユアの波』収録)という、ちょっと変わった派生曲もあったりするのです。

「残暑」1984.9

 歌:麗美
 編曲:松任谷正隆
 ※セルフカバーは『天国のドア』収録

(麗美さんについての関係note)


 やっぱり、この二人が印象的だったのですが、他にも作曲で参加した森下恵理さんという方の「トワイライト」という曲について、詞を書き直して「3-Dのクリスマスカード」というタイトルでカバーしています。

「トワイライト」1985.10

 歌:森下恵理
 作詞:鈴木博文/編曲:国吉良一
 ※セルフカバーでは「3-Dのクリスマスカード」として『ALARM à la mode』収録

 聴いてると、ん?って感じなんですよね。
 そして、サビになると、あ、聴いたことある!と気が付くのです。


「時はかげろう」1990.6

 歌:カルロス・トシキ&オメガトライブ
 編曲:新川博
 ※ユーミンのセルフカバーは『天国のドア』収録

 少しずつユーミンのアルバムを聴かなくなっていってた時期の曲なんで、今ひとつ印象が薄いのですが、タイトルといい、曲調といい、オメガトライブっぽくない印象だった曲なんです。


 90年代以降は、あの「まちぶせ」の20年振りのセルフカバーはありましたが、数自体は減っていった感じです。
 年1作だったアルバムリリースのペースが変わって来たことも影響があるのかもしれませんね。

 2000年代はセルフカバー自体少なくなっているのですが、最後は芦田愛菜さんに提供したあの曲を(これも10年ほど前ですが…)紹介しておきます。


「雨に願いを」2012.8

 歌:芦田愛菜
 編曲:松任谷正隆
 ※ユーミンのセルフカバーは『POP CLASSICO』収録

 実は、ユーミンのセルフカバーより、原曲の方が好きなことは秘密です..






 競作みたいな感じの曲や、タイトルも変わった曲も含めて、ユーミンがアルバムの中でセルフカバーしている曲は、下記一覧の31曲(個人調べ)がありました。
 今回は、そのうち11曲の原曲を紹介しましたが、ユーミンのセルフカバー版については、プレイリストを作ってみましたので、収録アルバム等は、リストの方で確認してもらえればと思います。

(セルフカバーリスト一覧)
 ※タイトルに変更があったものは、原曲のタイトルも併記しています。

「卒業写真」(ハイ・ファイ・セット)
「朝陽の中で微笑んで」(ハイ・ファイ・セット)
「グッド・ラック・アンド・グッドバイ」(岡崎友紀)
「静かなまぼろし」(沢田研二)
「最後の春休み」(ハイ・ファイ・セット)
「甘い予感」(アン・ルイス)
「冷たい雨」(バンバン)
「水の影」(シモンズ)
「シーズン・オフの心には」(藤真利子)
「サーフ天国、スキー天国」(川崎龍介「サマー・ブリーズ」)
「雪だより」(藤真利子「山の雪だより」)
「夕闇をひとり」(宮崎美子)
「昔の彼に会うのなら」(ポニーテール)
「川景色」(石川セリ)
「ダンデライオン〜遅咲きのたんぽぽ」(原田知世)
「時をかける少女」(原田知世)
「ノーサイド」(麗美)
「青春のリグレット」(麗美)
「3-Dのクリスマスカード」(森下恵理「トワイライト」)
「時はかげろう」(カルロス・トシキ&オメガトライブ)
「残暑」(麗美)
「Happy Birthday to You〜ヴィーナスの誕生」(小林麻美「遠くからHAPPY BIRTHDAY」)
「瞳はどしゃ降り」(A.S.A.P.「Teardrops In The Rain」)
「恋の一時間は孤独の千年」(麗美)
「まちぶせ」(三木聖子)
「時のカンツォーネ」(原田知世「時をかける少女」)
「Lundi」(大地真央「失恋」)
「太陽と黒いバラ」(オルケスタ・デ・ラ・ルス)
「雨に願いを」(芦田愛菜)
「GREY」(小林麻美)
「散りてなお」(手嶌葵)

(プレイリスト)



(関係note)

それでいて夜はやさしい(There is a Song)
昔、気づかなかったリフレインのこと(There is a Song)