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【vision】アフターコロナの建築

数年後、数十年後には

『ビフォーコロナ(B/C)、アフターコロナ(A/C)』

と称されるだろう程の歴史的転換期を迎えようとしている

コロナによって我々人間は新たな時代に突入しようとしていると言っても過言ではないはずだ

テレワークはますます発達し、今まで仕事をしているかどうかを監視する為の出社はなくなり好きなところで好きな時間で仕事をする事が出来る様になるのは間違いない

さらにAIが更に勢力を伸ばし、遠く無い未来には殆どの仕事はAIによってなされることになるだろう


そんな中アフターコロナ(A/C)の建築についての議論も至るところで始まっていることだろう

ハウスメーカーなどの住宅では、テレワーク用に取ってつけたような小さな隔離部屋が設けられていたり、庭先に小さなコンテナハウスを設けたり、帰ってきたら手洗いうがいができるような動線計画を売りにしているものもあるが、それは根本的なアイデアではなく、応急処置的な対応でしかないように思われる


働き方の変化、働くことへの考え方が根本的に変わるはずだ
暮らしと働くことの線引きがグッと薄くなっていくだろう

また『会社』という存在のあり方が変わっていくのではないだろうか…

もはや『会社』という概念はなくなり、個人それぞれが『会社』的な存在になり、個人同士が仕事(プロジェクト)ごとにチームをつくり、成果を上げる仕組みが一般的になるかもしれない

すると現在都市に大量にあるオフィスは不要の産物になってしまう
その再利用方法も今後の建築の課題になり得るかもしれない


満員電車の中でクタクタになりながら1時間以上かけて通勤する事がなくなった場合、一日あたり3時間から4時間くらいは新たに時間が生まれるだろう

くだらない会議や日報を書く時間などを省けばもっと時間は生まれるかもしれない

その新たに生まれた時間をどのように使うかがアフターコロナ(A/C)の建築を考える上で大切になるのではないだろうか

家族との向き合い方も変わるだろう
今までの家族像は子どもが大きくなるに連れてそれぞれが独立した暮らしをしていくようになり徐々に一緒に過ごす時間が減っていく傾向があるように感じる

大人たちは家庭より仕事を優先し、
高校生は土日には家にいるより部活やアルバイトなどで、外で過ごすことの方が多いはずだ

日々の生活にゆとりが出来たならば家族の時間をもっと大切にする事ができるのではないだろうか

また家族の中でもあらゆる世代の関わる時間ができるかもしれないし、
家族間の交流が生まれる可能性も高い

ヨガやジムなどの施設ではクラブ活動のような地域のコミュニティがもっと出来ると良いだろう

自宅を基本的な職場として考えるようになれば、必然的に地域のコミュニティを形成しやすくなるからだ
今までは隣の人がどんな人かも分からないと言う事はよくある事だったが、これからは地域のコミュニティをつくることだって可能になるはずだ

すると住宅は地域に開き、地域と繋がりを求められるようになるかもしれない

万年カーテンを締め切った掃き出し窓は本当に意味をなしているのかと思ってきたが、もっと有効に地域に開けると良いと思う

具体的にどう変わるのかはこれから議論される事であり、人々の現実的なニーズによって変化していくのだろうが、数年後の建築のあり方を模索するのが『建築家』に求められる役割だろう



それにしても、これだけ未曾有の災害があろうと、緊急事態宣言が出されようと日々のニュースでは毎朝多くの人で溢れる品川駅や渋谷駅が報道されている

日本人は特に今までの慣例を覆す事に柔軟さの欠けた人種のようにも思われる

東日本大震災があろうと、日本各地で災害があろうと、すぐに出勤したがる勤勉さは素晴らしいのかもしれないが、もっと柔軟に有効的な働き方を取り入れるべきではないだろうか

フィンランドなどの北欧の国々では、極寒の地で昼間の時間が短いこともあり、効率的に働いて、新しく生まれた時間を家族と過ごしたり自己投資に当てたりと人間らしい暮らしを日々追求しようとしている

その為には、便利な家電も惜しげもなく活用すればいいし、古い体質に固執することなく、新しい暮らしを取り入れていく姿勢が求められる
(日本では、古い慣習を善として一向に変わらない癖があるように思われる)

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