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晩秋のドライブで見た光景

紅葉のなかのドライブは、この時期の休日、大きな楽しみのひとつ。
先週日曜の昼下り、赤茶に染まる並木道を軽快に走行していました。
カーコンボで流す音楽はJAZZ、
テナーサックスのハリー・アレン。
深まる秋の至福のひととき、
ハンドルを心地よく捌き、アクセルを踏み込みます。

やがて赤信号で停止。
そこで何気なく見た景色。
箒と塵取りを持ったご年配の男性がひとり、
歩道の落ち葉を黙々と掃除しています。

きっと地域のボランティアの方ではと。
日に日にコロナ禍が深刻化しているさなかです。

こうした掃除はご年配の方の役目、人にはそれぞれ役割があるなどと、僕は勝手に決めつけていないか。

信号待ちの間に、そんな自問自答が始まります。ガツンとやられた感覚。自分に大切な何かが欠落しているのを僕は覚えたのでした。

四季によって彩り豊かな愛すべき国。
春の桜道や冬の雪道でも
季節の風物詩を堪能するほどに、
誰かが汗を流してくださっている。 
果たして感謝の念を抱いてきただろうか。

やがて信号は青に変わり、緩やかにアクセルを踏み込みます。過ぎゆく赤茶の並木の光景と共に、これまでの恥ずかしい自分が頭をよぎっていきます。
僕が職場の仲間に声高に論じている場面。
「僕らの地球は僕らが守り、
次代にその美しさを保っていかねばならない」
なんともたいそう偉そうに。

そしてハンドルを握りつつ、ふと考えます。
拙宅に箒と塵取りは常備してあるだろうか……。 
今更ながらもう何年も雑巾含め掃除道具にさほど触れていないことに気付くのでした。
さしずめ偽善者。ほとほと、情けない。

自ずとアクセルを緩めて減速し、僕は家路を辿りました。

SDGsが大切だと言葉にするのは大切ですが、まずは環境に尽くす何かをなしたい。この晩秋のドライブがあったからこそ、認識できたことです。多謝深謝。

「枯れ葉掃くマスク姿を見る車窓」弥七

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