自己紹介的な ストーリー
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私には会えない娘が居る。
確か、11歳。
私の中の彼女は、6歳のまま。
時は止まり、
思い出も増えないまま。
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時に夢を見る。
「ただいまー。」と娘が部屋に入って来る。
寝ていた私は
「帰って来るならご飯作っておいたのに!」と、
胸を弾ませ飛び起きる。
そして、
ゆっくり覚醒し
それが
夢だったことに私は絶望する。
重たい空気に纏わりつかれ
ようようベッドに腰をかけ、
ひとつため息をつく。
鼓動が静まった頃、
重い足取りでゆっくりと窓へむかい
カーテンを開ける。
これは、この夢を見た時のルーティン。
光が射し込んできた窓際で、
泣き崩れそうになるのを精一杯の自尊心で止め、
キッチンへ行きコーヒーを淹れる。
円錐形のドリッパーからぽとりぽとりと
落ちるコーヒーの雫を、
ただ、ぼんやりと見つめながら。
そしてまた、
いつもと変わらない一日がはじまる。
「シャンとしよう。」
身体の奥で宣誓をする。
また長い1日が始まる。
slow bird 𓅪𓂃◌𓈒
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読んでいただけたことに感謝申し上げます。 最後まで見ていただき、本当にありがとうございます。