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Stop on a dime = 急に止まる、から見える英語の距離感[物語のある英語 Vol. 30]

直訳すると、「ダイムの上に止まる」となるこの表現。ダイムとはアメリカの10円玉のことだが、急に止まることと10円玉にどのような関係があるのだろうか?

1.最小単位のお金だから

アメリカのお金の中で、ダイム硬貨は最少額のものでもあり、それゆえサイズも一番小さい。直径で言うなら17.91 mmだ。このことから、短い距離を指すようになったのだ。

止まろうと思ってから、2cmも進まないうちに止まることができる、と考えが発展し、stop on a dime は「すぐに止まれる」という意味になったのだ。

Cars can’t just stop on a dime.
(車はすぐに止まれない)
He runs up the field and stops on a dime to catch the ball.
(彼は運動場を走っていたが、ボールを取るために急に止まった)

ここで疑問が生まれる。なぜ2cmと言わずに、わざわざダイム硬貨を表現に組み込んだのか?SLOVARが思うに、ダイム硬貨のほうが身近だからだ。2cmと言うより、ダイム硬貨の大きさくらいという方がピンとくるのだ。それに、最少額のコインなので貧困層ですら知っている。アメリカ全土に同じ規格の大きさで流通していて、なおかつほぼ全国民が分かるもの、としてダイム硬貨が選ばれたのだろう


2.石を投げれる範囲=近い

身近なもの&距離シリーズでもう1つ紹介しておきたい表現がある。

Within a stone's throw (石の投げられる距離)

初めて見た時、素直な表現だなって思った。どこからどこまでを近いと言うか?石を投げて届く距離までだ、と説明したら誰でも分かる。

The station is within a stone's throw of our house.
(駅は私達の家からとても近い)

単に、nearとかcloseなどと言うより、よっぽど小洒落ていて味があると思う。


3.「距離は美を作る」とは

水墨画を描く技術から生まれた中国の諺がある。

距离产生美
(距離は美を作る)

なんと容量を得た言葉なんだ!と思う。これは「時間的距離」「空間的距離」「心理的距離」全てに当てはまる。

あれ。。これ英語のブログだから中国語が登場しては場違いなのでは?と思う方もいるかも知れないが、英語と中国語の間にはそれほど隔たりは無いと思っている。それどころか、英語と他の言語の間にも隔たりは無いと思っている。なぜなら、どんな言語も結局は人間の心の動きであり、心理学であるからだ。人間の心は美しい。ゆえに、どんな言語も美というもので繋がっている。私はそう考えている。

ということで、軽く3つの距離について紹介していきたいと思う。

3.1「時間的距離」

時間が経てば経つほど、美は増すという。遺跡を訪れたら分かる。時間が経って古くなったからこそ滲み出る美というものがあるということが。

3.2「空間的距離」

近すぎれば全体像が見えず、結果全体美を捉えられない。かといって、遠すぎると詳細の繊細さが見えず、結果そのものが持つ美を100%味わえない。

だから遠すぎず、近すぎず、という距離が物事の美を楽しむ最適の距離だということをこの諺は教えてくれる。


3.3「心理的距離」

これは分かりやすい例だと思う。どんなに仲が良くても、近すぎる(Within a stone's throw)と居心地が悪くなるものだ。喧嘩も起きる。石の投げ合いも起きるかもしれない!かといって、遠すぎると「去る者は日々に疎し」状態になる。人間関係においても、近すぎず遠すぎずの距離がちょうどよい。


まとめ:人間関係も近すぎないほうが良い。Within a stone's throwからちょっと出たくらいが丁度よい。






いつも記事を読んでいただきありがとうございます。英語学習に苦しんでいる方、つまらなそうに嫌々語学を学んでいる方が周りに居ましたら、シェアしていただければと思います。楽しく、深く、語学に取り組める人が1人でも増えたら幸いです。