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スウェーデンから学ぶ。目指せ!サステナブル・クリスマス

サステナブル・クリスマス
普段はつつましい生活を送るスウェーデンの人たちも、クリスマスはプレゼントやデコレーションや特別なお料理のための買い物で、1年中で一番消費が増える時期。

そんな時こそ自分の選択に自覚的になり、サステナブルなチョイスをしたいと思う人も近年ぐっと増えた。今年も目にすることの多い、スウェーデンのサステナブルなクリスマスのためのガイドでは、どのようなチョイスを勧めているのかを見ていこう。

ブロムベリひろみ(HIROMI BLOMBERG)
ブロガー、コラムニスト。日本での広告代理店、エンタメ企業での勤務を経て、2000年よりスウェーデン在住。現在は会社員として働く傍ら、スウェーデンの今を伝えるニュースウォッチ・ブログ「swelog(スウェログ)」を日々更新中。神戸大学卒の関西人。

プレゼント

心のこもったセカンドハンド品を

去年からぐんと増えた「プレゼントは流行りものではなく、心のこもったセカンドハンド品を」のトレンドは今年も注目を集めている。

セカンドハンドとはいっても、例えば本なら去年のベストセラーで今年は大量に中古で安く売られているような本ではなくて、トーベ・ヤンソンの初版本など、手に入りにくく、かつ大切に扱われてきたものを、相手のことを考えながら時間をかけてじっくり選ぶようなイメージだ。

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もらった人が好きなものを自分で選べる商品券やギフト券は、スウェーデンでも人気だが、今年は大手セカンドハンドチェーン店でもギフト券を販売するところがでてきた。3000円程度のギフト券でも、セカンドハンド店ではとても使い勝手のあるものになる。

「経験」を贈ろう

スウェーデンで2021年の「今年のクリスマスプレゼント」に選ばれたのは「コンサートや演劇などのイベント・チケット」。今の地球の状況を考えると、必要以上の消費は抑えるべきだし、かつ去年からのコロナ禍で苦しい状況にある音楽や演劇業界をサポートする意味もある。

今後クリスマスから年末年始にかけての新型コロナウイルスの感染状況も気になるが、このプレゼントは、地球にも、エンタメ業界も、もちろんもらった人も嬉しくなる、三方良しのクリスマスプレゼントでは?

レシート付きのプレゼント

今年に限ったことではないけれど、日本人なら誰でもきっと驚く「スウェーデンのプレゼントあるある」な習慣がこちら。「気に入らなかったら、遠慮なく返品したり交換して」と、プレゼントと一緒にそのレシートを渡されることがある。

もらったけど気に入らなくてそのままお蔵入りになるよりは、返品交換制度の整ったスウェーデンでは、レシートと一緒に渡してさっさと自分の好きなものと交換してもらえるようにという、この国ならではの、もったいないの防止策。

アップサイクルなラッピングで

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家族や親しい友人にいくつもいくつもプレゼントを買うと、包装紙やリボンなどのラッピング用品の消費量も支出もバカにならない。家にあるテキスタイルや包装紙や新聞紙などを使った、自分ならではのラッピングを施すと、今年の顔のクリスマス・プレゼントになること受け合い。

デコレーション

ツリーはオーガニック認定のもみの木を

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プラスティックのクリスマスツリーは何度も繰り返し使えるから環境にやさしい? この問題に関してはスウェーデンでは多くの調査研究が行われてきたが、スウェーデン自然保護協会は、プラスティックでできたクリスマスツリーは去年買った新品でない限り、捨ててしまうことをすすめている。


製造時や輸送時の環境への負荷、そして廃棄燃焼時に排出される有害化学物質などを考慮すると、プラスティックのクリスマスツリーは一番お薦めできないチョイスとなる。最近はもみの木もオーガニック認定されたものを選ぶことができるので、可能であればこれを選ぼう。今年のあなたの選択が、来年市場に出回る商品の品揃えを決める。

“Rent a Christmas”

今年ストックホルムやパリ、ロンドンなどのH&Mの旗艦店で始まったのが、”Rent a Christmas"。クリスマスの飾り付け用品をレンタルできる。例えばストックホルムのお店ではクリスマス用テキスタイルや飾り付け用品が詰まったボックスを10週間499クローナ(約6500円)でレンタル可能。ものを増やしたくないクリスマス好きにぴったり。


手作りヴィーガンキャンドル

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スウェーデンの冬の夜には欠かせない、キャンドル、サフランのパン、ホットワインとナッツにみかん。

スカンジナビアの冬にろうそくの灯りは欠かせない。日本でもアロマキャンドルの人気が高まっているが、ろうそくの原料に何が使われているか知ってる? 安価な原材料のパラフィンは石油原油から製造されており、二酸化炭素排出のことも考えると使用を控えたい。

パラフィンについては、燃える時のすすの健康への影響を指摘する研究結果もあるが、スウェーデンの環境マーク認証団体Miljömärkering Sverigeは、異なった研究結果があることも指摘し、影響があるとは一概には言えないと説明する。ただし、スウェーデンでは環境マークのついたろうそくも簡単に手に入るので、そこから選ぶと安心だ。

例えば「白鳥マーク(Svanemärk)」のついたろうそくは、90%以上の再生可能な原料からできていて、食肉産業から廃棄される動物性の油脂を使う伝統的なアップサイクル手法で作られたものが主流。

年間46,000トンのろうそくが消費されるスウェーデンで、その多くを販売するイケアは現時点ではパラフィンも使用しているが、今後は再生可能な植物由来かアップサイクルの原材料に切り替えて、2030年までにはすべてパラフィンを含まないろうそくにすることを目標としている。

ろうそくは伝統的に家庭でも作られてきたが、最新のトレンドは手作りのヴィーガンキャンドル。菜種やココナッツ、また大豆からできたワックスを使って家で簡単に作ることができる。

クリスマス料理

すべてをオーガニック食材で揃えて豪華に

クリスマス用のハムなど年に1度の買い物も含めて、すべてをオーガニック食材か地産のものを選んでみよう。それだけでクリスマスの特別感が盛り上がる。スウェーデン産が選べないクリスマスコーヒーや冬に人気の柑橘類などは、オーガニックを選ぶことで生産国の農家の人たちのサステイナビリティにも貢献できる。

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去年はコロナで集まることができなかっただけに今年のクリスマスへの期待はますます高まる

進化するプラントベース食材で、みんな一緒のクリスマス

伝統的なクリスマス料理と言えばクリスマスのハム、サーモン、ニシンの酢漬け、ウナギ、ミートボールにソーセージや、牛乳入りのライスプディングなど動物由来の食材が中心だった。プラントベースのベジタリアン、ヴィーガン向け食材が進化を続ける今、お料理の準備にも少し変化がでてきた。

ベジ用ミートというとこれまでは大豆ミートが主流だったが、今は北欧産のオート麦や豆類を使った製品が市場に並ぶ。味も半端なくおいしいものが増えた。これからはヴィーガンの人だけが違うものを食べるのではなく、基本はプラントベースで、肉や魚を食べたい人は追加アレンジするというクリスマスディナーも増えていきそう。

トムテ

北欧のサステナブルなクリスマスというと「トムテ」に触れないわけにはいかない。

トムテは農家の納屋や作業場などにこっそり住んでいて、夜の間に働いてくれたり、困った時には助けてくれたりする妖精で、小さな体に大きな赤い帽子を被っている。

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サンタクロースが大きなお腹を赤い服でまとい、袋からあふれんばかりのプレゼントを子どもたちに渡していく豊かなイメージに満ちているのと異なり、トムテは控えめで慎ましく物質的な豊かさとは距離を置く。雪に覆われた静かな冬の北欧をやさしく見守る温かい存在で、これからの未来を一緒に歩いていくには心強い相棒だ。

2年前のクリスマス明けに新聞に掲載されたこちらのリサイクル推進のための広告でも、クリスマスで私たちが出したペットボトル(よくサンタが広告している清涼飲料などだ!)をリサイクルするために、黙々と働いているのがトムテ。

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私たちも目指せ、クリスマスのゼロ・ウェイスト!


引用元:


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