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はじまり - lost baggage

*この記事は、「はじめての本 - Imperfect story of mine」という有料マガジンに掲載されている私小説のはじまりです。このストーリーを書き始めた経緯についてはこちらから。

「あれ?荷物が出てこない」

人生初の一人旅。バイトで貯めたお金で買った、一番安く目的地のグルノーブル近辺まで行ける航空券は、台北 → クアラルンプール → アブダビを経由するチューリッヒ着の便でした。

3回の乗り継ぎを経てやっと到着した目的地で、ベルトコンベアーに乗った荷物が運び出されてくるのを、今か今かと待っていた19歳の私へのWelcomeシャワーは、「ロストバゲージ」という、初心者には結構手厳しいものでした。

「このまま出てこなかったらどうしよう...今から2週間分の荷物が入ってるのに」

それまでのワクワクした気持ちが一瞬で凍りつき、一人でヨーロッパなんて来なかったらよかったかも、という後悔が頭を過ります。

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