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【過去録】イギリス人男性W①~彼との出会い~

それは私が27歳の頃だった。

当時外資系の会社でマーケティングをしており、出張でスリランカに行くことになったのだ。当時アメリカやヨーロッパ関連の仕事が多くスリランカとは何の縁もゆかりもない仕事をしていたのだが、ひょんな流れで未開の地に行くことになり非常にわくわくしたのを覚えている。

出張当日、当時白金エリアに住んでいた私は、シェラトン都ホテルから成田行きのシャトルバスに乗って成田に向かうのが恒例になっていた。

いつもの慣れたルートなので、特に何も考えずにバスに乗り、揺られること1時間半程度で成田に到着。スリランカ航空のチェックインカウンターへ行った。

すると目が飛び出るかと思った。とんでもない数のスリランカ団体客が帰国のために長蛇の列をなしている。残念なことに若造だった私は当然エコノミーのチケットだったため、この長蛇の列に並ぶしかなかったのだ。でも、これにどうしても並ぶ気になれなかった私は、イチかバチかでシレっとすました顔をしてビジネスクラスのレーンに進んでみた。

(運よく通してくれないだろうか。。。お願いだ!)

と思って突撃してみたが、やはりカウンターに行く前の段階でスタッフに止められてしまった。

「お客様はエコノミーですので、あちらの列に並んでください」

ああ、やっぱりダメだったかーーーーーと思って仕方なく引き返そうとした瞬間だった。

" Oh, she's with me. Please let her in together.(あ、彼女僕と一緒なんだ。通してあげて)"

長身の外国人男性が空港スタッフにそう話しかけ、私は彼の横でなぜかチェックインすることになった。横目でチラチラ見ながら、私この人知り合いだっけか?と思いながらチェックイン終了。ついでにビジネスクラスのラウンジに入れるチケットまでもらった。

" Well, thank you for saving me. Do I know you by the way?(助けてくれてありがとう。ところで前に会ったことあったっけ?)"

と言うと、彼はこう答えた。

" Actually we were on the same bus. I saw you when you got in the bus but you didn't see me. I kept looking at you though.(実は同じバスに乗っていたんだよ。君が乗った時に見ていたんだけど、気づいてなかったよね。その後もずっと見てたんだけど)"

彼はこれからスリランカ経由でインドのバンガロールに行くのだそうだ。一緒にラウンジに行ってお茶しようと言われたが、上司と合流する予定だったのでそれは断った。そして、日本には仕事でよく来るからまた会おうと言い残し、名刺を渡して去って行った。

名刺を見ると、フランスのカンヌのとある会社のCEOだった。航空機にまつわる事業をしており、日本の防衛省とも共同で仕事をしているのだそうだ。

なんだかとんでもない人と出会ってしまったなと思いつつ、スリランカの出張中にメールを送ってみた。

翌日すぐに返事があり、来月日本に来る際に一緒に食事をすることになったのだ。


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