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マネージャーがコロナウイルスの危機を乗り越えてチームを牽引するための10の秘訣

By Kristina A Nardi(Translated by 鈴木良和、元記事はこちら

急速に広がるパンデミックの中、在宅作業およびリモートワークは日常となりつつあり、マネージャーは自宅から効果的にチームを管理しなければならなくなりました。

ナレッジワーカーのマネージャーであるあなたとあなたのチームは、コロナウイルスによりこれまで対処したことがない状況に陥る可能性があります。通常、あなたのチームはオフィスで近くに座り、定期的に会議をし、また時にはデスクに立ち寄って質問などをします。しかし、自宅待機や在宅勤務の影響から、それらの対面的コミュニケーションは長文のメールやビデオ会議に置き換えられ、あなたとあなたのチームが慣れているコラボレーションやチームワークの形は刻一刻と変化しています。

総合コンサルティング企業のスラロームは、コロナウイルスが流行する以前からリモートワークが日常生活の一部となっています。なぜなら、弊社の8000名以上の従業員は、日頃から様々な国、地域、クライアントのオフィスに分散して活動しており、「毎日みんなが出勤するオフィス」という概念がないからです。それでも私たちは強いつながりと社内文化を持ち続けることができ、今年は5年連続でフォーチュン社の「働きがいのある会社」にランキングされました。

コロナウイルスが拡大し始めてからは在宅作業が義務付けられ、情報共有体制がさらに強化されました。従業員向けの社内ソーシャルチャネルを利用してコロナウイルスに関する最新の情報を共有し、経営陣などのトップリーダーシップは、従業員に対してパンデミック中の経営体制やポリシーに関する情報を頻繁に発信しています。さらに、従業員は社内イントラに新たに設けられたコロナウイルスの「情報ハブ」にアクセスし、FAQ、保険、健康に関する様々な情報を入手できます。

ここでは、リモートワークと在宅作業が日常となっている私達の体験や失敗から得られた、ナレッジワーカーのマネージャーとして困難な状況下において日々チームをリードするための10の秘訣をシェアします。

1)チームみんなで、リモートワークに関するルールやエクスペクテーションを設定する

チーム全体のディスカッションを通じて、リモート環境で働く上での決まりごと、ポリシー、エクスペクテーションなどを設定してください。

チームとして決定する主な事項は次のとおりです。

・チームメンバー全員ができるだけ共有するコアな就業時間
・会議NGの「集中作業時間帯」
・メールや会議の枠を超えたコミュニケーション方法とツールの設定(仮想チャットルーム、メッセンジャーなど)
・就業時間内外の電話やSNS利用に関する規範

上記ついての個々のチームメンバーの立場や譲れない一線について事前に考える時間を与え、チームに対して自分の視点も客観的に明確にすることが大切です。

この議題についてのミーティングの招待は余裕を持って事前にチームに送信し、その中にアジェンダとして達成したいこと、その理由、およびチームにまとめてほしい事項を明示しましょう。また、テンプレ的ではない個人的なメッセージを添えることも重要です。当然、あなた自身もこれらの事項について事前に検討することが必要です。

ミーティング中は仮想ホワイトボード、投票ツール、共有ドキュメントを使用して、チームがブレストする議題とアイデアを示しながら、各チームメンバーからの意見を求め、相反する見解を紐解きながら各事項を決定します。会議後はチームの決定事項を送信し、実行へのマインドセットを醸成します。

2)積極的にチームとのタッチポイントを増やす

普段から気軽にデスクに立ち寄ったり、共有スペースであなたと会話をすることに慣れているチームメンバーは、メール、チャット、SNS、メッセンジャーなどの方法であなたと連絡を取るのに戸惑いを感じます。ですが、マネージャーであるあなたとのコミュニケーションや接点が減ると、作業に関するプライオリティの認識にズレが生まれたり、アイデアの共有が妨げられたり、チームメンバーが必要な指示やコーチングが十分に伝わらなくなる可能性があります。これらすべては、チームメンバーにとって大きなストレスポイントとなります。

リモート環境のリーダーは、より頻繁で効率的なタッチポイント設定をすることにより、これらのストレスポイントを取り除くことができます。たとえば、毎日15分間スクラム会議(スタンドアップミーティング)を設定し、その中で各チームメンバーが【昨日以降に完了したこと】、【今日実行する予定のタスク】、【ブロッカーの有無】を共有することにより、いち早くハードルや痛点を発見できる他、お互いをサポートしながら小さな成功を称える機会が増えます。

もし、すでに各チームメンバーと定期的な個別ミーティング(カジュアルなタッチベース)を設けているのであれば、あなたは素晴らしいマネージャーです。リモート環境で引き続きそれを継続してください。もしまだ個別ミーティングを設けてない場合は、すぐにでも開始してください。また、議題はあえてチームメンバーに設定してもらいます。なぜなら、これらのミーティングはあなたが指示を下ろす場ではなく、彼・彼女たちの成長の場だからです。コーチングが必要な活動やプロジェクトをアジェンダに含めるように促し、事前にアジェンダを共有してもらい、準備をしてもらいます。これは進捗報告ではなく、課題やゴールベースの成長の場です。

3)セルフケアを提唱する

不安定で不透明な環境でリーダーシップを発揮するのは、とてもストレスが溜まることです。飛行機の客室乗務員の指示と同じように、有事では他人の酸素マスクの着用を手助けする前に、まずは自分のマスクを着用する必要があります。

チームメンバーとチェックインし、彼・彼女たちが(可能な限り)外での散歩、読書、瞑想などのストレス軽減のための活動に従事していることを確認しましょう。また、ストレスはリーダーシップの妨げとなりますので、リーダーとしてあなたも同じようにセルフケアを実行してください。

4)リモートコミュニティの形成する

チームがリモートで繋がりを保つ方法は、リーダーが一人で考えるのではなく、みんなで考えるのが一番です。たとえば、チャットまたはオンラインホワイトボードツールを開き、チームメンバーにアイデアを提出するよう依頼しましょう。誕生日のお祝いなど、チームが元々もっていた習慣ををどのように続けたいかを尋ねます。そしてあなたはサポート役に徹し、アイデアを実行するための権限もチームに与えましょう。

また、新しいコミュニケーションの習慣をつけるためのスタートスモールとして、次のようなシンプルなアイデアからはじめることも可能です。

・「休暇によく行く場所」や「好きなテレビ番組」など、チームメンバーがローテーションで【本日の質問】を全体的に投稿
・毎週所定の日に、過去1週間で起きたチームまたは個人の小さな成功体験を投稿し、祝福
・毎週1冊、みんなで同じ本を数ページを読む【読書クラブ】
・毎週所定の日の朝か昼過ぎに、チーム全員が所定の時間とツールを使い、ビデオをオンにして雑談や休憩をする【バーチャルコーヒーブレイク】

5)チーム専用のコミュニケーションチャネルを作成する

組織が使用しているプラットフォーム(Microsoft Teams, Slack, Line, など)の中に、日々の進捗やプロジェクトワーク、家族や犬や猫などの少しくだけた話題、緊急連絡用のチャンネルなど、必要に応じてチーム専用のコミュニケーションチャンネルを作成しましょう。

6)透明性のあるコミュニケーションを実践する

チームとできるだけ多くの情報を共有しましょう。コミュニケーションギャップがある場合、従業員は辻褄をあわせるために自分たちの「ストーリー」を頭の中で作り出すことがあります。これは、誤解や誤情報の広がりと不安の増大につながる可能性があります。

すべての答えや情報がない場合でも、できる限りその旨をチームにを伝えましょう。リーダーが「それはまだ分かりませんが折り返します」や「詳細がわかり次第お知らせします」と言うことに何も問題はありません。

7)各チームメンバーとの個別チェックインする

1対1のミーティングなどを通じて、時間をかけて実際にチームメンバーとみつにチェックインしてください。「心配していること」、「在宅作業のいい部分、難しい部分」、「まだ共有できてない気がかりなこと」、「お互いに何ができるか」などの質問を積極的にし、チームメンバーをサポートしてください。

あなたの役割は、まず良い聞き手になることです。相手を妨げず、チームメンバーが話したことを自分の言葉に置き換えて反復して理解を確認します。そして議論に上ったことに基づいてアクションを実行することで、チームはこの間必要なサポートを得ることができます。

8)遠慮を取り払う

チームに対し、サポートが必要な場合いつでもあなたを尋ねても大丈夫であることを明確に知らせましょう。また、個々の状況が異なることを認識していることを伝え、一人ひとりと協力して彼・彼女の状況に適したサポートを一緒に模索する意思を示しましょう。「リーダーやマネージャーに迷惑をかけるかもしれない」という思考は従業員に多大なストレスを与え、ただでさえ意思疎通が難しいリモート作業にさらなる重圧を加えます。このような会話をチームと持つことは、ストレスを軽減するのに大いに役立ちます。

また、チームの遠慮を取り払うためには、まずあなたが率先してリーダーとして自分の状況についてにオープンになることが大切です。そして、それは毎回真剣でなくてもよく、おもしろおかしなことでも構いません。たとえば、ビデオ会議の開始時に、背後でペットの鳴き声や子供の声が聞こえてしまう可能性があることをチームに知らせたり、あなたのお気に入りのコーヒーマグとそのエピソードを共有しましょう。そしてチームにもなにか個人的で気楽な話題を共有するように促してください。あなたのこのようなジェスチャーは、チームが完全にコントロールできない在宅・リモート環境での作業を心理的に円滑にする大きな手助けになります。

9)共感とワークライフバランスのロールモデルになる

あなたの行動や反応は、チームの行動と反応に直接影響を及ぼします。在宅ビデオ会議中にあなたのチームメンバーの子供が突然何かを必要としてチームメンバーが離席しなければならないとき、あなたが顔をしかめればチームメンバーも同じように反応します。あなたが午前7:00時から午後21:00時までずっとオンライン状態で夜中にもメールを送信する場合、あなたのチームは必要のない重圧を感じてしまうでしょう。また、ビデオ会議中にビデオをオフにすれば、あなたのチームも同じようにします。

チームは自宅という新しい環境で作業方法、責務、日常業務の変化に対応しているため、自ずとストレスレベルは高くなります。インタラクションやコミュニケーションの際には、次のことを覚えておいてください。

チームメンバーが突然会議を離席しなければならない場合 ⇒ 「大丈夫。今はみんな大変な状況ですよね。後でまた話しましょう。」

一日の作業終了時 ⇒ 社内のチャットツールからサインオフし、その日の作業を終えたことをチームと共有しましょう。頭と体の健康のために散歩や運動をし、チームメンバーがどうやってアクティブな状態を維持するしているかをシェアするように促しましょう。

ビデオ会議 ⇒ 自身がビデオを使用する予定であることをチームに事前に知らせ、可能であればチームにビデオを使用するよう促しましょう。

10)ポジティブシンキングを実践する

あなたの行動と同じように、あなたの考え方もチームに影響を与えます。前例のないような状況下、すべての問題や課題を虱潰しに解決するのではなく、それらが示す機会やオポチュニティーに注目しましょう。

・この状況からの得られるポジティブな結果とは。
・リモート環境を逆手に取り、チームがお互いをよりよく知り、より効果的なコラボレーションをする方法を学ぶ機会とは。
・効率性、コミュニケーションの向上、および団結につながる作業方法・ツールとは?

困難に直面したときこそ被害者のメンタリティを持つのではなく、チームとして一緒にお互いをサポートし、つながりとコラボレーションを拡大するロールモデルになりましょう。

あなたのチームは、マネージャーのあなたから様々なヒントや影響をうけます。在宅環境やリモートワークの急速な普及は、チームのコラボレーションと生産性を維持しつつ、マネージャーとして必要なサポートを提供するための行動や考え方をモデル化する素晴らしい機会です。

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スラローム・コンサルティングについて

スラロームは、戦略・アジャイル・クラウド・イノベーションに特化した、ハイペースで先進的な総合コンサルティングファームです。

私達の活動は、33ヶ所のオフィス、7つのビルドセンター、世界規模のコラボレーション文化と、トップテクノロジープロバイダーとのパートナーシップによって支えられています。

2001年に設立され、シアトルに本社を置くスラロームは、8,000人以上のコンサルタントと1,200社を超えるクライアントを抱える企業に成長しました。フォーチュン社の「働きがいのある企業ベスト100」などのランキングにも毎年名を連ねる、多様でインクルーシブな企業文化のあるコンサルティングファームです。

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