お金を出資してもらうために自分をアピールするプレゼンでは何を考えるべきか?

僕はプレゼンで、学長賞や僕の事業に対する賞など550万円を頂いてきた。過去にはスタートアップの創業に携わっていて、代表がプレゼン大会などでアピールして出資されるところまでを間近で見てきた。一方、最近は賞に応募する友人の発表スライドや原稿の作成、質疑応答の練習に付き合っていた。その過程で良いプレゼン、悪いプレゼンの違いが見えてきたので、評価されるプレゼンを作るにはどう準備すれば良いか、僕の意見をこの記事ではまとめていく。

1. 審査員は何を見ているか?

お金を誰に出資するかを決める場に於いては、その人の"期待値"が見られると強く意識すべきだ。
"期待値" = "その人が為そうとしていることの価値" × "それが成される確率"
この期待値が大きい人に投資をする。だからプレゼンでは、
1) 自分が為そうとしていることの価値が大きいこと
2) 自分はそれが成功する確率が大きいこと
この二つを審査員が感じ取らせることが目標だ。

ここで重要なのは、過去の自分が何を成したかをアピールすることは2)の根拠でしかないということだ。自分の実績をやたら書きたがる人はここがわかっていない。投資というのは結果に対してではなく、未来の可能性に対して行われるものだと意識しておきたい。

2. 為そうとしてることの価値はどう計られるか?

ここからは先程挙げた2項目をそれぞれを大きく見せる方法を考えていく。まだ行われていないことの価値を如何にして伝えたら良いのだろうか?人によって何に価値を感じるかというのは様々だが、賞などでの投資対象を選ぶ場に於いては以下のことに価値が認められることが多い。
1) それを為すことで、現在困っている人の課題が解決できること
2) その困っている度合いが大きいこと
3) 為そうとしていることが一般に達成困難であること

自分の目標を伝える時にはこれらを相手に感じ取ってもらうための構成、表現を選ぶべきだ。

3. 自分は為せる確率が高いことを如何に伝えるか?

プレゼンが苦手な人はここが上手く伝えられない。
今まで成されなかったことをするということは、他の人にはできなかったことをなぜ自分は為せるのかを審査に伝える必要がある。発表者に可能性見出してもらうには以下のことを感じ取ってもらえるプレゼンにしよう。
1) 発表者には目標を達成するための専門的な能力がある
2) 発表者は目標を達成するために正しい手段をとれる
3) 発表者にはその目標を絶対に成し遂げようとするモチベーションがある


1)をアピールするために伝えるべきことは?
・その専門的な能力があったからこそ為されたという実績
・その専門的な能力が備えることができたと感じれる経験。

2)をアピールするために伝えるべきことは?
・ 現状を正しく把握できていること
例)課題の程度を裏付けるデータ、課題の起こっている原因や解決できない理由の分析や仮説が正しいと感じれること
・ その課題を為すためにこうするという行動計画がずれていないこと(課題の起こっている原因や解決できない理由の分析の正しいanswerになっていること、それぞれの行動に適切な目的があること)

3)をアピールするに伝えるべきことは?
・ 発表者自身がその課題に困っていたり困ったことがあったり、困っている人が身近にいること
・ その課題が解決されないと許せないと発表者思っていることを感じ取れること
・ 上二つのどちらも満たさない場合は、その課題を解決する過程に発表者は価値を見出し、熱中していること

全ての要素を満たす必要はなく、どこに重きを置くかは発表者ごとに違うだろうし、個性はそういうところに出る。

4. 実際に本番までにどのような手順で準備するか?


これは人それぞれだと思うが、僕が日頃どのように準備しているかを紹介する。
1) "自分の為そうとしていることの価値が大きいこと"、"自分はそれが成功する確率が大きいこと"を伝えるには何を伝えるべきかを決める。(これがアピールポイントとなる)
2) 伝えるべきことをどのような順で並べたら、先程決めたアピールポイントがより強く感じ取ってもらえるか、構成を考える。
3) 伝える順番を決めたら、それをスライドに割り振る。
4) 各スライドの役割を考えながら、それを果たすためにはどうすればいいか、個々のスライドに盛り込む内容を決める。
5) ここまでできたら、見栄えはてきとうでいいので、ざっとスライドを作る
6) 各スライドで何をいうか、原稿を作って練習。スマホのカメラで自分の発表を録画して、見直す。
7) 自分の録画を見ると、各スライドで言いたいことが伝わっているか、説明が少なかったり、冗長な部分はないか、スライドの内容は適切かをチェックできる。そこを修正していき、また練習、これを繰り返す。
8) 発表原稿が確定したら、スライドのレイアウト整える。

5. 発表についてその他意識すること

ここからは特に人それぞれのやり方があって良いかもしれないが、僕が自分の発表で気をつけていることを書いていく。
1) 1スライドで伝えたいことは1つに絞る
1スライドで多くのことを伝えようとすると印象がぼやける。2つあるなら分ければいいだけだし。
2) そのスライドで伝えたいことを伝えるための根拠となっていないものは書かない
無駄なことを書いたり、言ったりすると、却ってその人は現状の分析を正しく行えない人だという印象を与えてしまう。
3) スライドの中身より原稿にこだわる
極端に言えば、スライドが良くても発表がダメならそれは失敗だが、スライドなくても発表が良ければそれで良い。プレゼンの準備にも原稿の作成と発表の練習に時間をかけよう。
4) 優れるな異なれ
他の人よりもこの要素では優ってるという伝え方をするよりも、自分は根本的に他の人とは違うんだぞって言う方が楽だし、特殊な能力を持っているように見える。個人的にこっちの方がかっこよくて好き。

6. おまけ: 質疑応答で意識すべきこと

ここではおまけとして書くが、むしろ質疑応答の方が重要な場合も多々ある。何を分析するときは、ただ対象の佇まいを観察するだけでなく、対象に何らかの作用を加えて、反応をみるというのは科学の基本的なスタンスにもなっているし、人を評価するときにもそれは有効だろう。
質疑応答の対策は難しいが、まず意識するべきことは"質問者との対話を成立させること"だと思う。
質疑応答が苦手な人は、質問に対し何かベストアンサーがあるように錯覚し、それを探そうとして、でもそれがわからなくて困惑する、って人が多い。別に、現時点で最高な答えを出す必要はなく、ここでは"発表者は周りの人からの意見を理解する能力があるか"が問われていると思って良い。何かを為そうとする上で間違った選択をしそうになることは、誰でも起こりうる。そう言うときに、周りの人からの意見を汲み取り、その上で自分の考えを修正することができるか、そういう能力を見てもらえれば十分だ。
だから、議論に勝とうとかそんなことを考えず、まずしっかり相手の質問の意図を理解する。質問の意図がわかんなかったら、詳しく説明し直してくれと頼んでもいいし、自分がこれまで考えたことない視点を指摘されたら、そのことを正直に言っても良いし、その上で、直感的に感じた感想を述べても良い。正しい解答を追い求めるより、ただ質問者とのキャッチボールを楽しめればそれで良いのだ。




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