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雲煙

椅子にもたれ掛かって今日は意味もなく苦しいなって、煙草を吸いながら消えていく煙を見ていた。
ゆらゆらしながらゆっくり消えていく煙を見ていると、何故か心が重くなっていった。

親戚の葬儀に行った時、人間が骨になるときの不気味な匂いが辺りを漂っていた。何人かはその場を申し訳無さそうに離れ、私もその例に漏れず少し離れた。

一体幾つの死を見届けたのだろう。
そしてこれから一体幾つの死を見届けるのだろう。

眠たいのに寝たくないし、寝たいのに眠くなくて。
キーボードを打つのも少し重く感じる。
何をするにも面倒なのに、何故これを書いているんだろう。

何年か前に吊った人がいた。その人は自分の人生を1から振り返っていた。
それらをまとめたページを読み尽くした頃、音声があることを知った。
何故関係のない人の、それこそ精神的にダメージを受けるものを聞こうと思ったのか。
現実を知りたかったのか、好奇心だったのか、怖いと思ったのに聞いてしまった。
『あの音』は恐怖と悲しみや色々な負の感情を残すには十分すぎる程で、思い出すと今でも耳に残っている。

その人は少なくとも私には覚えられている。
私が『あの音』を出す側になった時、誰か覚えていてくれるだろうか。

忘れられる事を恐れながら、消えていく煙を見ていた。

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