見出し画像

星空案内所*wishes(1)

第1章 天文台の階段


辿り着くと白い熱い日差しが四角い建物をギラッと照らした。
見上げた私は目をつむった。

前面ガラス張りの出入り口のドアに、少し汗ばみ、堅い表情をした自分が映った。

緊張しているのに気づいて、一呼吸置いてからドアを押した。


中に入ると、静かな冷房がふわっと肌に感じた。
平日なこともあってか、人はあまりいない様子で、より自分の呼吸が目立った。

周りを伺いながら、受付のカウンターへと歩みを進めた。

「あの、こんにちは。…松さんという方にお会いしたいんですけど…」
「はい、あの…どちら様でしょうか」
「松さんのお知り合いの、藤川さんから紹介を受けた、田本です」
「あ…館長ですか!只今こちらに戻られると思うので、よかったらそちらの椅子でお待ちいただけますか」

勧められた受付手前にあった、3人掛けくらいの長椅子に私は腰掛け、松さんを待った。


さっきまでの緊張はやっと少し解け、中の様子を見渡すことに余裕が出てきた。

冷房の温度が広々とした空間をより広くさせるようだった。
平日でもいつも外から聞こえてきていた、子供達の声もここはない。

広さと静けさが妙に落ち着かなかった。


スキやフォロー、コメントありがとうございます。見て下さっただけでも十分嬉しいですが、もしサポートして頂けたなら、創作活動に使用させて頂きたいと思います!