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葛藤

話にもならないし
自分の出向いた意味が分からなくなり立ち上がった。

外の空気を吸いたい。


夫婦喧嘩を聞きに来たのか、元嫁の愚痴を聞きに来たのか。

イライラした。

玄関へ向かって行くと
「これ。何かあったら連絡してきて!あの人には言わなくていいから。」

メモの端くれを隠すように手渡された。

くしゃくしゃになった紙切れを開くと
元嫁の電話番号が書かれていた。

なんのために?

捨てようと思ったがくしゃくしゃにしてカバンの中に閉まった。


彼が追いかけてくる。
「大丈夫?何か言われなかった?送っていくから話をしよう?」

車に乗りこみ私の家に向かう。

帰りたい。
誰とも喋りたくない。
彼の顔も見たくない。
苦しい。

「大丈夫じゃない。私だけじゃなかったの?他はどうでもいい、元嫁を求めてたの?キモイよ。」

一方的に感情むき出しで彼に吐き出した。

「何これ?バカみたい。」
「なにしてんの」

彼は困った顔をして
「ごめん、すかいと付き合い出した当初は元嫁を求めた事あったけど今は全くないし好きとかの感情では無い、何言っても信じてくれないと思うけど俺が愛しているのは、すかいだけ!それは変わらない!」と言い切った。


この日は時間が止まったかのように、何も進まなかった。

「しばらく会わない。考えさせて。疲れた。」

本音から出る言葉に自分自身、楽になった。

「本当に巻き込んでごめんね。もう迷惑かけないから。別れるなんて言わないでね?」

彼は私が別れを切り出す事に恐れていた。

何度も別れるのは嫌だよ。と繰り返した。


初めて一人の夜を過ごした。
蘇るのは元嫁の言葉と彼に愛されていた瞬間。

どうすればいいのか分からなかった。

でも愛していたから。

私も彼に愛されていたから。


張り詰めていた気持ちが涙になって溢れていく。


彼じゃないと無理。確信に変わった時、彼に電話をした。

「戦う。だけど今回真実聞いた時しんどかった。もう傷つけないで。」

「うん、分かった。俺は、これからもすかいと一緒だよ。愛してる。」


引き返す事を選びたくなかったから。
彼を私だけのものにしたかった。


当時、こんな重い恋愛をしたのは初めてだったから引き際が分からなかった。
だけど、今となって想う事は変わらず
彼が愛してくれた事に嘘は無かった。という事。

でも、これで良かったのかな。とも感じる。


翌朝、インターフォンが鳴り目覚める。

時計を見ると朝の6時半。
こんな早朝に誰だろうと思いながら玄関へ向かう。

もちろん寝起き。


ドアを開けると同時に息を飲んだ。


「おはよー!!」






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