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疑問

彼が私と一緒にいるのは決まって平日午後20時から深夜1時頃。

最初は平日は仕事があるから仕方ない、
でも週末お休みの日も夜しか会えないんだろう…。

些細な事、聞けば良い事を触れてはいけない気がして、暫く触れなかった。

いつか分かる事だから、彼から教えてくれるの待とう。

その疑問を抱えていたのは私だけじゃなかった。

初めて会った時、一緒に居た私の友達さえも彼の帰る場所を知らない事を気にしていた。

隠している。と言うよりは、そういう話題性が無かったから?かもしれない。

次会った時、聞いてみよう。

彼の全てが知りたくなった。


…。


その夜もココアを作って彼が来るのを待った。

ガチャ。

「おつかれさま。」

この瞬間が凄く好きだった。

「おかえり。」

聞かないと。疑問に思っている事全部。

「あのさ。」

私の言葉に被せて彼が言った。

「俺、引っ越したくてさアパート借りたいんだよね。一緒に探してくれない?」

あ。うん…。

頭に沢山はてなが浮かんだ。

いつも彼の突発なペースに飲み込まれていく。

結局その日は、彼の住処を聞く所か新しく引っ越す物件の話題であっという間に過ぎていった。

「じゃ、またあした。」

彼の背中を見つめながら


「毎日どこに帰っているの…?」

心の中で呟いた。


確実に、薄ら嫌な予感がしていた。


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