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キッズキッチンレター3月号

年度末がやってまいりました!本年度のキッズキッチンも、あと1回となりました。今年度は料理法や調味料などに焦点を当て、探ってきました。次年度は食材そのものを深く探る予定です。

さて、2月は巻き寿司をしました。関西の太巻き寿司です。今でこそ「生ものを酸っぱいご飯の上に載せたもの」がイメージされるスシですが、もともとは肉や魚の保存のための発酵食品でした。塩漬けにした後、炊いたご飯と一緒につけて1年ほどかけて作られるなれずしと呼ばれるもので、今も琵琶湖のふなずし、鮎ずしが有名です。日本固有のものとして語られることが多いのですが、中国の雲南省の南の方やミヤンマーあたりでも、いまだに食べられています。魚の他、豚肉や牛肉をつけたりすることもあります。違うのは、日本はなれずしもそのまま切って食べますが、他の国では基本的に火を通して食べるということです。なれずしは“発酵して酸っぱい味“が特徴です。
作るのに長い時間をかけると、お米は食べられなくなります。そこで日本では「早なれ」「生なれ」という発酵時間を短くして、ご飯も食べられるスシができました。
さらに「それでも長い!待ってられない!」と登場したのが、飯に酢をかけて作る「早ずし」です。今ではこのスシが、日本を代表する一般的な寿司になりました。“寿司“という名前で伝承されたのは「酸っぱいご飯」でした。肉や魚の保存用に使っていたのに、肉や魚は寿司を表すものではなくなった。肉魚も大事だけれど、米が大切だった、という独特の情熱を感じます。

お米を食べることに対して、昭和20年前後生まれの父母、明治・大正生まれの祖父母とは、抱く思いが全く違うと感じます。
 白いご飯は豊かさの象徴であり、「白飯を食べる」ことには礼儀や作法が存在していました。ご飯におかずを乗せて食べるのは「下品」であり、白いご飯の時には混ぜ物をしてはいけない。白いご飯はそのまま口に入れるもの。お茶碗に残してはいけないし、一粒たりとも落としてはいけない。と、そんなふうに言われたものでした。残念ながら、私には、そこまで米に対して思い入れがありません。甘いチョコレートのお粥も平気ですし、ご飯に牛乳を掛けて食べるのもそこまで拒否感がありません。
米の心配をしなくて良くなった、それだけでも幸せなこと、と祖母がよく言っていました。世界が早く平和になり、皆それぞれ食べたいものを食べられる日が来ますように。

3月もよろしくお願いします!

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