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Swallow/スワロウを観た話。

※ネタバレあり

私はどうやら、どうにも苦しくなった時や辛くなった時にこの映画を観たくなるようだ。
初めて観たのは日本での公開が始まった2021年の1月。YouTubeか何かで予告を見て、コロナ渦ではあったもののこれは映画館で観なければならないと思い数少ない上映館へ行って観てきた。

上映中、一時も目を離せなかった。本当に引き込まれるようにしてスクリーンを見つめていた。どういったところがそんなに良かったのか、正直今でも言葉にするのは難しい。私は主人公のハンターにどこか共感に近い何かを覚え、自立へと歩を進める姿に胸がギュッとなった。
壮絶な生い立ちを抱え、形ばかりの理解を押し付けてくる夫や義理の両親からのプレッシャーに押しつぶされるハンターに共感なんて、勘違いも甚だしいのだが……。

ただ、「恵まれているはずなのに心はいつも満たされない。なぜこの幸せを受け止めることができないのか。何が正解なのか。自分は間違った存在なのか」そう葛藤する姿に、自分を重ねながら観てしまう人は私以外にも多くいるんじゃないかと思った。

私の個人的な話になるのだが、つい先日上司との面談があり、自分の至らなさや未熟さを改めて痛感させられた。向こうも社会経験が浅いと分かっている人間を雇った以上まずはそこから指導するつもりではあるようだが、やはり面と向かって言われると辛いものがある。自分なりには頑張っているつもりでも、全然足りていない。もっと頑張らないと……。
しかし、そう思いながらもなぜ自分を殺してまで社会の役に立たなければならないのだろう。という屁理屈が首をもたげる。こんな何の意味も持たない考えなんて抱きたくないのに、つくづく社会不適合者なのだと実感する。

話は反れたが……最終的にハンターは夫や実の家族とも決別し、子どもを堕胎して"自分"を取り戻していく。これから彼女がどのように生きていくかまでは描かれていないが、きっと彼女は大丈夫。自己を確立させるという大きな一歩を踏み出すことができたのだから。

状況は全然違うが、私も"自分"を手に入れるためには前に進まないといけないのだとこの映画を観る度に思わされる。
今と変わらぬ人生を続けるのが嫌ならば、自分の手で稼いで生活する術を見つけるほかない。この先も自分を社会不適合だと、出来損ないだと責めながら生きていくなんて嫌だ。お荷物だと涙を流しながら生活を続けるなんて嫌だ。だったら、私も変わらないと。今構想しているもので果たして成功するかは分からない。でも、やってみないと成功か失敗かすら分からない。
前に進むしか道はないのだ。

Cause all that we want is to give our love away
(私たちは愛を与えたいだけ)
There are times in this life we are willing to change
(私たちが変わる時がきた)
We will ask for the world
(世界を手に入れよう)
And we'll try and we'll try and again
(何度も繰り返し挑戦して)
We'll just keeps on singing
(歌い続けよう)

            (Alana Yorke-Anthem Swallow/スワロウより)

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