部下のプロデュースは上司の役目
「うちの部門の〇〇さんはなかなか期待する成果を出してくれない」「✕✕さんはなかなか成長しない」など、部下についての悩みを持つ部門長の方も多いのではないかと思います。私も管理職になってから常にこの悩みは抱えています。
部門内では成績優秀者とそうでない人が固定化してしまう場合もあります。そんな時、「いろいろ指導したけれど部下が伸びないのは部下のやる気や能力のせいだ」と決めつけてしまっては、上司の役割の半分しか果たしていないことになります。この記事では、そのような悩ましい状況でどういう対策を上司として考えるかについて考察します。
部下の指揮命令、進捗管理は上司の役目の半分でしかない
日々の業務についての指揮命令、進捗管理は部下を持つ管理職にとって重要な業務です。部下に仕事を割り振ったあと、その工程、品質、期限等の進捗を管理し、進捗が良くないところはテコ入れを行います。
職種にもよりますが (軍隊など)、部下に仕事を割り振るだけでなく、上司が逐一細かい指示を出す場合もあるでしょう。外資系企業などジョブ型を導入しているところでは、パフォーマンスが期待値に達していない部下に対して PIP (Performance Improvement Plan、業績改善計画)を作成して実行する場合もあります。
管理職が身につけるべきスキルや心構えについて、この記事では詳しく書きません。色々なことや状況に対応する必要があります。長年管理職をやっていても新たな発見や学びがありとても奥深い業務です。
ただし、管理職としてのこれらの日常業務は、管理職の仕事の半分でしかありません。つまり、これらの日常業務だけをどんなにしっかりやっても、それだけで部下のパフォーマンスの最大化は行えません。
部下の評価の半分はアサインと目標設定の段階で決まる
部下の評価の半分はその人自身の頑張りで決まりますが、「(部下の評価の)もう半分は上司の采配で決まる」ということを管理職は意識する必要があります。
どういうことか説明しましょう。管理職の業務には、先に説明した「指揮命令、進捗管理」の他に3つの役割があります。
このうちの1と3、目標設定と人員配置、仕事のアサインが関係します。
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仕事は大まかに2つにわけると、「目立たないけど無くせない業務」と、部門の新たな目標としても掲げるような「キラキラした業務✨」が存在します。たとえば、マーケティング部門ではイベント実施や広告など派手な仕事ばかりのように外からは見えるかもしれませんが、仕事の9割は予算やKPIの管理、稟議作成、資料作成、コンテンツレビュー、調整準備などの地味な裏方仕事です。
上司が部門の仕事のメンバーへのアサインを考える際は、キラキラした業務✨は部門として120%達成できるように考えるために偏ったアサインになりがちです。しかし、キラキラしない業務ばかりを持っているメンバーは、与えられた業務の中で仮に150%のパフォーマンスを発揮したとしても、高い評価を得られないという現象が発生してしまいます。つまり、仕事の目標とアサインが決まった時点で、メンバーによっては、及第点は取れても高評価が取れない、という状態が発生してしまいます。
この状況を防げるかどうかはメンバーにはどうしようもなく、目標とアサインの管理を行う管理職の采配となるため、これが「(部下の評価の)もう半分は上司の采配で決まる」ということです。この状態が続くと、キラキラ業務がないメンバーはモチベーションが落ちたり、離反したりして部門全体の士気に影響することも出て来ます。
上司としては、それぞれの部下にあったキラキラ業務✨を1つ以上アサインすることでうまく部下をプロデュースする必要があります。適切なキラキラ業務✨が部門内になければ、必要に応じて他の部門から持ってくる交渉なども行うことになります。また、最高の評価を得るには、自部門だけではなく経営陣や他の部門をはじめとした組織内のキーパーソンに部下の働きをうまく伝えて認知して貰う必要もあります。これらを総合して上司の「部下プロデュース」力が試されるところです。
将来のキャリア・ディベロップメントも上司が相談に乗る
加えて、最近は管理職も上意下達の指揮命令型だけでなく、メンバーに寄り添って横や後ろに立って支援するコーチング型を行うことも増えてきたのではないでしょうか。
スポーツ選手に付くコーチのように、少なくとも四半期に一回は普段の日常業務の会話を離れて、上司はメンバーの中長期的なキャリアに関する相談や、そのために必要なスキル、受けるべきトレーニングや学ぶべき方法などを話し合う1on1を実施して、メンバーの成長をサポートします。
私が前に所属していたマイクロソフトでは10年以上前から行われていましたが、富士通でもようやく最近になってこの方法が奨励されるようになってきました。いままでは、部下は上司の言われるがままに仕事を変わったり異動したりしていて、自分のキャリアについて自分で考えることは無かったといいます。
しかし、これからは自分のキャリアは自分で考え、社内異動 (ポスティング)や転職を行っていく必要があります。上司は異動を指示するのではなく、横や後ろに立って相談に乗りながら本人の思考をサポートしていく動きになります。
また、今後キャリアを伸ばしていくべきタレントに関しては、上司としては経営陣や他の部門のキーパーソンからも良く見えるポジションに配置して接触機会を増やしていくなど、プロデュースをしていきます。
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最後までお読みいただきありがとうございました!では、また!