放課後の冒険

『放課後の冒険』

僕らの冒険の合図は

学校の終了のチャイムだった

友と待ち合わせの場所と時間を決めて

家まで走って帰る

「ただいまっ!」

ランドセルを玄関に投げ捨てて

「いってきます!」

チャリに跨がって

必死にペダルを踏んだ


みんな集まると

誰かが切り出す

「今日はあの森へ行こうぜ」

誰もが隊長気分

アスファルトから

森の小径(こみち)に入る

木の根を越えながら

チャリは一列になって進む

目の前に現れた

急な下り坂

ブレーキをかけると逆に転ぶ事は

痛いほど

経験から知っていた

「よし!俺から行く!」

チャリは一気に駆け下りる

チョー気持ちいい!!

次々と下る

みんな下りきってから

「お前ビビってたろ(笑)」

「ビビってねぇよ」

「お前こそビビってたじゃん(笑)」

お互いにからかい合った

今だから言えるのは

正直少しビビってた


こうして

冒険を重ねて

少しずつ

僕らの世界は

広がっていった気がする


あの頃の

あいつらの笑顔は

今もなお

眩しく残っている





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