【企業インタビュー】パン製造会社が新たにBtoCビジネスに挑戦開始！副業人材の活用が強力な推進力に。

2024年3月25日 16:34

岐阜県御嵩町に拠点を置き、素材と製法にこだわったパン作りを続けている株式会社トーノー・ブレッド。これまで製造や卸売りが中心でしたが、直接消費者に商品の魅力を届けたいとの思いから、直営店舗のオープンを決断しました。商品ラインナップの目玉は急速冷凍機で凍らせた「冷凍パン」です。新たな取り組みなだけに店舗のプロモーションや冷凍パンの販路拡大について、豊富な知見を持つスキル人材のサポートを必要としていました。同社代表の三代修士さんに詳しく伺いました。

ー会社の事業内容について教えてください。

学校給食用のパン製造を中心に、地元のスーパーやドラッグストアへの卸売りをしています。私自身は異業種出身で、前の経営者から引き継ぎ10年程になります。

ーSkill Shiftを使って副業人材を採用した経緯を教えてください。

国の事業再構築補助金の支援を受けて、私たちは冷凍パンの開発を決めました。風味やおいしさを損なわず長期保存も可能な商品です。これまで外部の方に意見を求めたり助言を取り入れたりという経験はありませんでしたが、私自身はパンを作る技術職の人間で、商品を市場にどのように展開し、ヒット商品になるまでどう成長させていくかについて営業的な視点やノウハウが不足していました。そこで新商品を開発した際にどのようにプロデュースし、市場に打ち出すべきかについて、営業活動で豊富な経験を持つ専門家からのアドバイスを求めることに決めたのです。

ー選考はどのように行われましたか。

19人もの方から応募があり、書類選考で絞り込んだ上で２人と面接を実施しました。一人は大手製パンメーカーで営業部長を務めた経験豊富な方、もう一人は食品とは関係ない業界の方でしたが、おいしいと思えば他県の店まで買いに行くような、パンに対する愛があふれた方でした。

ー面接を経て最終的にどのように決めましたか。

提案された販売プランやアイデアから判断し、最終的に製パンメーカー出身の方を選びました。既に定年退職されていましたが、その後もカフェ経営や新規事業の立ち上げ経験があり、単なるアドバイスに止まらず事業を牽引する力が期待できると思えたことが決め手になりました。2023年10月からお仕事を依頼しています。

ー依頼している業務について教えてください。

商品開発からプロモーション、営業戦略に至るまで幅広くアドバイスをいただいています。出店する地域のパン屋さんを一緒に調査し、地域住民の特性に合わせた商品展開や店舗の特色の出し方など具体的な提案を受けています。例えばクリームパンひとつとっても、「コンビニに置いてあるようなパンとは違う種類のクリームを使い冷やしながら売りましょう。そのためにはケーキ屋さんにおいてあるような冷蔵のショーケースが必要ですね」など。店舗のイメージやパンが並んでいる風景が想像できるほどです。

ーどのくらいの頻度で一緒にお仕事されているのですか。

月に1〜2回、電話やメールで打ち合わせしています。実際にお越しいただいたのは1度だけですが、お店がオープンする8月ごろにはもう一度見に来ていただく予定です。

ーいただいたアドバイスの中で最も印象的だったことはなんですか。

お客様目線を意識した提案に強く共感しました。例えばオープンに向けてクラウドファンディングを活用し話題作りと宣伝効果を考えた営業戦略を立てることですね。以前は「いいパンを置いてお店開けていますから来て下さい」としか考えていなくて、折り込み広告を使うくらいしか思いつきませんでした。そうではなくてお客様にまず1度足を運んでもらわないといけないので、「知ってもらう」ことに軸足をおいた戦略を学べたことは有益でした。

ー採用前と比べ、副業人材に対するイメージは変わりましたか。

採用前は副業人材に対して半信半疑でしたが、実際一緒に仕事をしてみると提案内容は非常に価値のあるものばかりでした。開店前のため収益に関してはまだこれからで具体的な結果は出ていませんが、既にリターンを得ている感覚です。お客様目線での見せ方や売り方に関する新しいアイデアがどんどん生まれ、事業の将来性に対して確信を持てています。

ー今後の展望について教えてください。

店舗のオープン後も、3カ月から半年は引き続きアドバイスを受けたいと考えています。外部の専門家の力によって自分には無かった考え方を学ばせてもらえたので、他の企業もこのような副業人材の活用を検討してみる価値はあると思います。

トーノー・ブレッドの事例は、新たな事業や商品開発の際に外部の知識やスキルを取り入れることの価値を明確に示しています。パン製造に関するノウハウが豊富な一方で、営業やマーケティング、プロモーションのスキルが不足していました。だからこそ、その部分に合致する副業人材の視点や豊富な経験を活用することで適切な戦略を立案し、事業の成功へ確信を持つことができました。副業人材の活用は、企業が新しい段階に進むための強力な推進力になることが、おわかりいただけたのではないでしょうか。