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読書感想文:プロジェクト・ヘイル・メアリー

著者、アンディー・ウィアーの新作「プロジェクト・ヘイル・メアリー」を読んだ。彼の著書は「火星の人」(映画ではオデッセイというタイトル)が有名だろうか。
1人、宇宙船に残されていた主人公は記憶があやふやなまま地球の未来を救う深く寂しい宇宙の旅へ既に出ていた。ひとつずつゆっくりと記憶を思い出していく中で、既に地球は滅亡の危機にさらされていることを思い出し…
というのがネタバレ無しでわたしから語れる短いあらすじだ。

で、さらにネタバレ無しでどう良かったかを語ろうとすると「もう最高!!フィストバンプだ!」って感じだった。
SFといえば難しい用語が出て来たり、展開が急だったりと読むのに体力を使うことが多い。アンディー・ウィアーの作品では主人公の一人称視点で話が進むことが多いので難しい用語は主人公が心の中で整理する描写があったりする。そのおかげか、納得できる描写が多く、やや難しくても最悪理解できない単語は読み飛ばしても問題ない。
プロジェクト・ヘイル・メアリーではそんな難しい科学の話よりも衝撃的なドラマが待ち受けている。是非読んでほしい。

そもそも、SFはあまり読んだことが無い、とか、読んで見たけどイマイチだったという人にはアンディー・ウィアーの著書である「火星の人」がお勧めだ。この作品もSF入門にはうってつけでわたしが初めて読んだSFも火星の人だったけれどもとても面白く読めた。
何より、アンディー・ウィアーの作品は主人公がポジティブなことが多いので読んでいて楽しいのがお勧めできる。三体よりかは遥かに読みやすいと思う。(三体もすっごくおもしろかったんだよ!!!)

ゲームの話に寄り道してしまうが、各種プラットフォームで販売されている宇宙探索ゲーム「Outer Wilds」をプレイした皆様には是非とも、いや絶対読んで欲しい作品ともいえる。




ネタバレ有り感想

ロッキーが可愛すぎる!彼の独特な生態系はユニークでとても良いし、キャラクターとしての性格もとっても好きだ。
わたしはポジティブなキャラクターが大好きなのだ。クモみたいな見た目とのことでわたしが彼と仲良くできるには相当時間がかかりそうだけども。

主人公が徐々に記憶を思い出していくという構成は様々な作品で見られる作り方だけれども、プロジェクト・ヘイル・メアリーに関していえば話の腰を折るような作りにもなっておらず、現在進行しているストーリーと思い出したストーリーがうまくかみ合ってストレスが無いように読めた。
主人公のグレースは先述の通り、ポジティブで学校の教師を務めていたという設定も読みやすさに繋がっていて序盤はすっきりした読みごこちだった。

ロッキーとの邂逅は思わず読んでいて緊張してしまった。
直近で読んでいたのが「三体」だったのでここで地球外生命体と出会うのか!コンタクトがスムーズに進んでいる!というのも興奮混じりに読めたし、ロッキー含むエリディアンは地球よりも科学文明が遅れているという設定にも驚かされた。
ニワカなので、SFに出てくる地球外生命体は高度も高度な文明・技術を持っているものだと思っていたからだ。
(ここで、「侵略」しにわざわざ地球まで来れる技術があるならそうだよな…と読んでいるカテゴリの偏りを感じた…。)

放射線を理解していないエリディアンは無力にも倒れていき、ロッキーとしてもコミュニケートができる生命体が居て緊張しただろう。
ロッキーとグレースの邂逅は読んでいて二人の感情や友情が共有されるような、豊かな表現だったから下巻にて二人が負傷するトラブルの際には読んでいて心拍数が上がったし、最後の章へ突入した瞬間には「え”!!?!」
と思わず声をあげながらページを戻して読み直してしまった。

久しぶりに読書を通じて感情が文字によって動かされた素敵な作品だったので、是非読んでみてほしい。

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