SKGのデザインの「遊び心」を探しに。「発酵で旅する東京の森」イベントレポート
東京・多摩エリアの発酵食をめぐる旅のイベントが開催!
発酵デザイナー「小倉ヒラク」さんをご存じでしょうか?「見えない発酵菌たちの働きをデザインを通して見えやすくする」をミッションに全国の醸造家や研究者たちと発酵・微生物をテーマにプロジェクトを展開する発酵デザイナーであり、下北沢にある「発酵デパートメント」のオーナーでもあります。
そんな小倉ヒラクさんがプロデューサーを務める多摩エリアの発酵食を巡る旅をテーマにした「発酵で旅する東京の森」が、2022年11月に東京都立川市にあるGREEN SPRINGS 2F TAKEOFF-SITEにて開催されました。
SKGはアートディレクション・デザインに携わっており、開催初日の内覧会にSKG広報が訪ねてきました。私自身も発酵食品で人生が救われた人間であり、小倉ヒラクさん著の『発酵文化人類学』はとても興味深い内容でした。多摩エリアにどんな発酵食とそのルーツがあるのか楽しみです。
東京の森・多摩には東京の食とものづくりの原点がある?
開催に先駆けてヒラクさんからご挨拶がありました。
「東京の西側は山間地、秩父、山梨の東京に接する山々から清水が湧いており、この水を生活用水として引いたのが多摩川浄水です。その地下には酒や醤油、発酵食品を醸す仕込み水が流れる隠れた水の道があります。伝統的な酒蔵はもちろん、チョコレートブランドやビール会社さんもみなさん口を揃えて『水が良いからここにお店を作った』と言うんです。」
「今回の企画で多摩エリアの発酵に関連する場所を周りましたが、森があり、神社やお寺があって、本当に素晴らしい景色に出会えました。その森に囲まれた場所に酒蔵、醤油蔵、お饅頭屋さん、納豆屋さんがあるんです。ということは東京の森を訪ねるということは、東京の発酵文化を訪ねるということ。もっと言うと東京の食やものづくりの現場を訪れるということなんだと気付き、『発酵で旅する東京の森』というタイトルをつけました。」と今回の展示のインスピレーションを熱く語られていました。
東京都民が飲んでいる水こそが多摩エリアの「発酵」の象徴
それでは、「発酵で旅する東京の森」でヒラクさんたちが出会った発酵食品たちの一部をご紹介していきます。
青梅の「小澤酒造」。実は戦国時代にもともと林業を営んでおり、山の管理をしていたところ多摩の水の良さに気付き酒蔵に転じたそう。
「多摩の水はピュアで毒がなくて、同時に微生物の栄養になるミネラルを適度に含んだ森の仕込み水なんです。東京の人たちが当たり前に飲んでいる水ですが、すごく大事な資産ですよね。この仕込み水というものが多摩の『発酵』の象徴なんです!」とヒラクさん。
会場では、日替わりで3種類のお酒を80ml 500円で量り売りしています。もちろん小澤酒造さんの日本酒もありますので、日本酒好きな方はぜひお試しください。
羽村の郷土料理「打ちいれ」はまさにヒラクさん著の「発酵文化人類学」を辿るような発酵料理です。
戦後から高度経済成長の時代まで羽村の人たちはお米がなかなか食べられなかったそう。そこで、小麦粉を水と塩で打ち、畑でとれた野菜と一緒に自家製の味噌で煮込み、「打ちいれ」を食べていました。
いまでは羽村でももう食べることはなくなってしまったそうですが、ヒラクさんたちが取材をしていた中で建設現場のおじさんから子供のころの思い出話として教えてもらい再発見をしたとのことでした。隣のカフェでは「打ちいれ」を現代風にアレンジしたパスタも食べることができます。
全国47都道府県のユニークな発酵食がずらりと並ぶ発酵デパートメントが出張出店
下北沢の発酵デパートメントが会場に出張出店しており、全国47都道府県の発酵食品が並びます。みなさんも知っている定番からニッチなものまで歴史や文化を知れるユニークな発酵食品が並びます。
ヒラクさん著の「発酵文化人類学」に登場する「碁石茶(ごいしちゃ)」も発見。最澄が中国から運び、いまでは高知県の山奥でたった一軒の農家さんが作っている「幻の発酵茶」です。
「東京・伊豆諸島の新島で生まれた『くさや』。島で塩が貴重だった江戸時代に魚の塩漬けの塩汁をリサイクルする方法で生まれた発酵食です。では、どなたか嗅いでいただきましょう!」とヒラクさん。SKG広報メンバーが勇気を持って挑戦しました。
さらに多摩はもちろん日本中の発酵食品を揃えた物販コーナーもあります。昔ながらの伝統的な発酵食品、チョコレートなどユニークな商品も揃っています。発酵食品の魅力を知ると「自分でも食べてみたい…」と興味をそそります。
SKGの遊び心を発見!「山」をモチーフにしたロゴデザイン
今回のイベントで、SKGはロゴ、パンフレットや展示物のアートディレクション・デザインを担当しております。助川はヒラクさんたちと一緒に多摩エリアの取材に同行したり、下北沢の発酵デパートメントを訪れ、デザインのインスピレーションを見つけたそうです。
ぜひ目を向けて欲しいポイントは「山」のモチーフ。ロゴやパンフレット、展示会場にあるキャプションなどいろいろなところで「山」を発見でき、SKGの「遊び心」が随所で感じられます。
「発酵」いうと味噌や醤油、日本酒など伝統的なものを想像しますが、ヒラクさんの紹介する「発酵」は私たち若い世代でも興味を持つようにデザインされており、古いものから新しいものまでワクワクする発酵食品に出会うことができました。
SKGのデザインもヒラクさんの思いに寄り添うように、老若男女に響くキャッチーさと発酵文化の面白さを引き立てる「遊び心」を取り入れています。
次回はSKG代表の助川と今回のイベントのクリエイティブディレクションを担当した永井史威さんから、デザイン視点で今回の展示の見どころをお届けいたします。