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デジタル・シティズンシップ教育を教科の授業で

Google for Education認定トレーナーの笠原です。

今年度は、私学教育研究所委託研究員の仕事もしていまして、特に教科の授業の中でのデジタル・シティズンシップ教育が出来ないかという観点で色々と考えています。

6月に入ってやっと少し授業での実践を始めています。

宿題をやっと始める

去年までもCommon Sense Educationのレッスンプランを使って、いくつかの実践を行っていました。

実践を行ったとはいえ、年に数度、単発で試行的に行ってみたくらいのものであり、なかなか日常的にとは実践が追いついていません。

今年度から新しい高校の学習指導要領が実施になることもあって、「現代の国語」のカリキュラムの中にデジタル・シティズンシップ教育を組み込み、活かすことが出来ないかということを考えています。

考えています……とはいえ、なかなか週2単位科目になってしまうと、授業が行事などで潰れることも多く、1学期の授業数が十数回しかないため、新入生に対してのオリエンテーションなども含めると、なかなか身動きが取れずにここまで来ていました。いかんいかん。

やっと新入生たちも落ち着き、年間のカリキュラムとしても無理なくデジタル・シティズンシップ教育を組み込めそうな単元となっているので、手を付け始めました。

生徒の実態把握から

基本的に教科の授業で展開しようとするときには、生徒にあらかじめシラバスを示していることもあり、教科書の題材と上手く関連させながら考えなければいけないと思っています。

教科書の題材とは無関係に、投げ込み教材として扱ってしまっても問題はないのですが、投げ込み教材としてしまうと単発の授業になってしまい、日常的な教育にはつながりにくい印象があり、また、新しいものを足し算のように扱うことは苦しい場合もあるように感じます。

だからこそ、既存のカリキュラムの中に組み込めるような形を考えて……身動きが取れなくなっていますが(笑)。

さて、そのような考えで始めた単元ですが、まずは生徒の実態把握をするところから展開しています。

単元のはじめに「デジタル社会」に関わる単語を説明できるかどうかを尋ねてみました。

すると、ぼんやりと意味は把握しているけど、どのような仕組みになっていて、どのようなよい面と悪い面が起こるのかということのイメージが持てていないと感じる意見が多く出てきました。

デジタル・シティズンシップ教育では、はじめにきちんと必要な単語や知識を教えることを大切にしていますが、その意味がよく分かります。

生徒がぼんやりと「わかったつもり」になっていることで、イメージがあいまいになり、上手く現実と向き合ったり、議論を深めたりすることが難しいのだと感じます。

「ぼんやりするだろう」ということは予想できていましたが、想像以上にぼんやりとしていたので、これはなかなか危機感を覚えました。改めて、単語の定義や考え方を教えると、「あー、なるほど」という表情をしていたのもなかなか印象的です。

今後の展開

最初にデジタル・シティズンシップのための用語の確認を始めましたが、この後は、その用語と関連付けながら教科書の本文を読解するという、国語に寄せた授業を展開していきます。

「現代の国語」の学習指導要領の「読むこと」の指導事項は以下の通りです。

ア 文章の種類を踏まえて,内容や構成,論理の展開などについて叙述を基に的確に捉え,要旨や要点を把握すること。
イ 目的に応じて,文章や図表などに含まれている情報を相互に関係付けながら,内容や書き手の意図を解釈したり,文章の構成や論理の展開などについて評価したりするとともに,自分の考えを深めること。

高等学校学習指導要領(平成 30 年告示)より

アの目標の方は、国語科の読解力としてきちんと練習しつつ、イの目標については、デジタル・シティズンシップを意識して展開していく予定です。

「目的に応じて」という部分が、「デジタル・シティズンシップ」という文脈と相性がよく、「情報を相互に関連付けながら」「自分の考えを深める」ということに対応する単元の展開を目指していきます。

ただ、今回はそれほど無茶はせずに、単元のまとめの部分はSTEAMライブラリーを存分に活用する予定です。

デジタル・シティズンシップのためのワークシートも、授業案も非常に「現代の国語」とは相性がよいと感じます。

「読むこと」偏重からの脱却!という今回の学習指導要領の内容を考えると、このSTEAMライブラリーの題材を使ってきちんと「話すこと・聞くこと」や「書くこと」を展開することで、かなり面白い可能性があると感じます。

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