『協働する探究のデザイン』を読むために
Google for Education認定トレーナー&コーチの笠原です。
職場で以下の本を読書会しようという話をしています。
探究についての論理をコンパクトに一覧した良書だと感じます。
ただ、藤原さとさんの前著に比べて、論理の話が多いので慣れていないと読みこなしが難しいように感じます。
『協働する探究のデザイン』をざっと読んでみて、この本を理解するために併せて読んでみるとよい本を挙げてみます。
最も重要な理解のためには
本書の中で比較的、多く言及され、そして探究的な学びの支柱として大きな役割を果たしているのが、以下の本で紹介されている「概念型カリキュラム」だと思います。
この本は藤原さんの本よりも読むハードルは高いです。翻訳書なので言い回しにややクセがありますし、実践よりは論理の説明なので慣れていないと難易度は上がります。これを読むと藤原さんがどれだけ上手にまとめて紹介してくれているかがよく分かります…。
ただ、本書を読んでみると『協働する探究のデザイン』の中で掴んだ概要を、もう一歩掘り下げて様々な単元や授業の中の技術を読み深めることが出来るため、より「概念型カリキュラム」の手触りが分かるようになるかと感じます。
おそらく『協働する探究のデザイン』の一番、根幹的なところに踏み込んで理解しようとするならば、この本がもっとも優先度を上げて読んだ方がよい一冊だと思われます。
本書はページ数は250ページくらいありますが、約100ページくらいは資料編なので、本論は150ページくらいです。難易度はやや高めでも何とか粘って読める範囲かと思います。
評価と授業の設計として
評価に関する議論としては、「逆向き設計」が外せない論点になっています。
本来はこれを読むことができればよいのですが、A4サイズで400ページ以上みっちりと書かれているので、これはおそらく独学で読むのは厳しいです。
そのため、『理解をもたらす…』の要点をまとめたこちらのガイドブックで確認するのがお勧めです。
「重大な概念」や「本質的な問い」という言葉や概念の位置づけを確認するとかなり見通しが良くなるのではないかと思います。
もう少し我慢して読めそうならば、ここまで読むとより理解が具体的になるかと思います。
学校の変化を進めるという観点では
上記の二つは『協働する探究のデザイン』の授業やカリキュラムづくりにおいて中心になる概念の参考資料でした。
以下に紹介するのは「探究型の学び」を「実際に学校で受け入れる」という議論を進めるときに、どのような語り方があるかの参考になる本です。
『協働する探究のデザイン』の理念に近く、日本の事例として職員室にイメージとして伝えやすいと思います。
これもまた分厚くて読むのに体力を使うんだ…。
おそらく、『協働する探究のデザイン』につながりやすいのは「序章」「2章」「4章」なので、せめてこの辺りに目を通すだけでもよいかもしれません。
これは比較的読みやすいので通読がよいかと思いますが、『協働する探究のデザイン』とのつながりでいえば「第3章」の授業についての議論と、「第8章」の変化の難しさをめぐる議論がよいかと思います。
いくら手法を学んでも、学校の風土、教員のマインドセットの問題は非常に大きいですからね。
本書を深読みするならば…
最後に『協働する探究のデザイン』を読んで抱いた印象を紹介しておきます。
本書の構成は基本的には1章から9章まで強い意図を持った構成になっているので、順番に読み進めていくのがよいと感じます。
ただ、実際にこれだけの情報量をかみ砕いて理解していこうとすると、本書の最も重要な概念がどういうものなのかということをつかめないと難しいでしょう。
その観点から言えば、実は「9 探究の究極の目的」をよく読んでいくことが大切だろうと思います。なぜ、探究学習なのか、なぜ、探究学習に期待したいのかという、そういう根本的なところを理解したいと思いながら読むことが大切かと思います。
本当は藤原さとさんが「なぜ探究なのか」ということを赤裸々に自己開示しながら語っている「あとがき」についても大切だと思うのですが、ここはそれぞれの読者がどう受け止めるかが大切だろうと思います。
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