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知財みらい会主催の知財みらい勉強会へ参加して感じた知財業界

前書き

 あれは2024年4月の中頃だったか、たまたまXのタイムラインをみていると東京にて知財関連の勉強会があるとの情報をいただいた。知的資産と知的財産を扱っていこうと考えている身として、非常に興味が沸き、是非これは一度参加したいということで、遠路はるばる東京へ向かうこととした。

 知的財産、略して知財の業務は一般的には弁理士や弁護士の業務というイメージが強いが、実は一部の業務を行政書士でも扱えたりする。

知的資産・知的財産 | 日本行政書士会連合会 (gyosei.or.jp)

 特に種苗法に基づく品種登録については、現状行政書士のみが行える。(もっとも、弁理士の方は事務所要件等を満たし登録費用等を支払えば無試験で行政書士登録をすることができる上、品種登録した農作物等の商標登録となると、弁理士の専門業務となる)

なお、知財みらい会の概要については、主宰者の方の記事があるためそちらをご確認いただきたく。

知財みらい会について|tomo (note.com)


今回の勉強会のテーマ

今回参加した勉強会のテーマは下記の二つであった。

  1. 知財人材市場からみるキャリア戦略

  2. 若手知財人材のキャリア形成

勉強会から垣間見た知財業界の抱える課題

 知財業界というのはハードルが高いという印象があった。知的財産権の登録は主に弁理士の業務であるし、知財部が存在する会社といえば、基本的には大企業である。誰でもおいそれといけるような気軽な業界には思えない。

 そもそも、知財業界、というのは日本の産業分類上現状存在しない狭間の業界である。商業・工業・農業の中全てに知的財産の視点の領域があり、独立して知財業界の事業所、というのはほとんどない印象である。私の拙い情報量の想像で純粋な知財業界の事業所を強いて挙げるとすれば、特許事務所か知的財産に重きを置いたコンサルティング会社、ゲームを筆頭したある種のプログラムを作成するぐらいなものか。もっとも情報サービス業という分類になるだろうし、実際に総務省の日本標準産業分類を「知的財産」という言葉で検索しても何も引っかからない。ちなみに弁護士の属する法律事務所、弁理士の属する特許事務所、行政書士の属する行政書士事務所はいずれも大分類L 学術研究、専門・技術サービス業の専門サービス業(他に分類されないもの)に属する。法律事務所と特許事務所は小分類まで同じである。

 なお、弁理士の数は2024年3月現在で約12,000人である。弁護士約46,000人、行政書士約52、000人に比べるとかなり少ない。
 さらに20代の弁理士は100人にも満たないということは勉強会を通じて学びを得た。士業によってはある職業で実務経験何十年といった例外ルートはいくつかあるものの、基本的に厳しい試験を突破しなければならない。いずれにせよ勉強と研鑽の果てにようやくなれるものであり、基本的にいわゆる士業という世界は年齢層が高めの業界である。

勉強会を通じて考えさせられたこと

 勉強会の内容は、今まさに私自身が課題として感じていることであった。改めてここからどう具体的に落とし込んでいくのか?を考えねばならないと痛感するに至った。

 また、勉強会の中で、知財業界は理系が向いているのか?文系が向いているのか?という議論があった。理系の方が向いているのでは?という意見が多かったが、契約関連の部分に重きを置けば文系ではないか?という意見もあった。もっとも、法律の勉強をしていていると、契約書の文面というのは割とプログラムに近いものを感じるので、結局のところは両方それなりに必要になってくるのだと思う。ある程度以上の大学に行けばそういう人は割といるものだという印象があったが、広い世間で考えてみれば割と希少である。
 後から興味が沸いてそのときになったら勉強しなおせばよい、というのはそれはそうではある。しかし学生の時期を終えてしまうと、生活のことが割と重くのしかかりがちになるので、後から勉強する、というのは体が追い付かない以上に割とリソースを使うこととなる。私の場合は仕事を辞めて勉強の時間を捻出したわけだが、家のローンや猫や家族のこともいろいろあるわけで、正直人にあまりおすすめできるものではないし、正気な人は躊躇するところだと思う。
 何の因果か、行政書士としてどう稼いでいくか?をいろいろ考えていた時に、知的財産よりもさらに広い概念の知的資産にたどり着き、「つよみ」を見出すという数少ない手持ちのカードが使えそうな上、非常におもしろそうという理由で一旦そこを軸に考えつつなんとかやってみようかというところまでは腹が決まった。

知的資産と知的財産はちょっと違う

 知的財産・知的資産という観点を行政書士の資格を使ってどうビジネスに活かしていくか?というところは、日々加速度を増して地面に向かって墜落しつつある中で全力で模索しているところであるが、今回の勉強会で少しだけ何かみえたような気がする。行政書士とはなんぞや?というのは、世間一般の認識であり、ちょっとわかる人で何かしらの手続きの時にお世話になったことがある程度のものかもしれないが、

『人の代わりに全力で勉強して調べて資料や書類にまとめる』
『公と私をつなぐ』

という普遍的な点から何か従来的なものぶっこわせそうな気がする。
行政書士ではどうやら知的財産・知的資産の分野をメインにされている方はあまりいるような感じではなく、他の分野と隣接する形でされている方がおられるようにみえる。まだまだこの分野におられる先生方にもお会いできておらず、営業先開拓や勉強も含めてがまるで何もかも足りていない状況ではある。

 とはいえこの知財みらい勉強会、非常に面白かったのでまたなんとか参加してみたいところである。関西におられた方もちらほらおられたので、なんとか関西でも開催をお願いしたいところであるし、なんとかお膳立てできないものかと帰りの新幹線でいろいろ考えていた。
※なお、往路は前日に日中の遠距離バスを利用した。

 という具合で唐突に大阪から開業したての謎の行政書士に暖かく興味を持ってくださった皆様には本当に感謝の念を禁じ得ない。

貴重なお話を聞かせていただき、本当にありがとうございました。

アイアンバード行政書士事務所 – 人と人、人と情報をつなぎ、未来への礎を築く (ironbird.jp)



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