孤独・孤立対策のフォーラムに参加してきた話

前書き

 3月上旬のことだったか、たまたまGbizアカウントでできること一覧を調べているうちに大阪府の行政オンラインにふらっとやってきてしまったわけだが、参加費無料のフォーラムを発見した。

大阪府/孤独・孤立対策について (osaka.lg.jp)

 ちなみに、Gbizアカウントというのはひらたくいえば国の行政サービスをオンライン上でできるようになるためのアカウントである。都道府県や市町村の一部のサービスにも対応しており、今後対応サービスは増えてくるのではないかと思う。主に事業者向けではあるが、登録しておくと後々役に立つことがあるかもしれない。

なお、記録や記述については個人的主観に基づくものである。

当日のおおまかな流れ

ざっくりと以下のような感じであった。

  1. 大学教授による基調講演(30分)

  2. 取り組み事例その1
    『ゆめ伴プロジェクト』

  3. 取り組み事例その2
    『スクール端末でできるSNS相談アプリ』

  4. 取り組み事例その3
    『地域共生社会。エコシステム社会の構築』

  5. 質問を記入して集めたものを集約して登壇者にて回答

  6. 参加者の感想等発表、名刺交換会

ポイント

基調講演

社会的孤立とは、社会とのつながりや交流が少ないことであり、孤独とは孤立についての主観的な認識である。つまり、孤立≠孤独、である。
したがって、社会的に孤立していない人であっても、孤独感を感じることは少なくない。
『事後的対応型福祉』から『事前予防型福祉』

折り鶴プロジェクト

コロナ渦でデイサービスにいけなくなってしまった認知症の母のために娘が折り鶴を折ったことがきっかけで、スーパーの一角で折り鶴ステーションが開設されるようになり、最終的に街全体に広がっていった。
ちなみに4月1日~13日に大阪モノレールに折り鶴列車が走るとのこと。

枚方市の取り組み(スクールアプリに相談端末を搭載)

公立小中学校で一人一人に貸与されているスクール端末に相談アプリを搭載。市の健康福祉部と教育機関で対応。市の職員と学校の先生とで意見交換も実施とのこと。

地域共生社会とは。

誰でも何らかのかかわりが得られる社会づくり。福祉だけの話ではなく、まちづくりや地域産業等他の要素にも絡んでくる。

アミタによるMEGURUステーション

互助共助コミュニティ型の資源回収ステーションの概要説明。古着ショップとのコラボ等。

印象的だった内容

  • 状況により波のように状態がよくなったり悪くなったりするので、孤立・孤独の支援にゴールというものはない。

  • 立場の違う者同士での連携して会合を行う際は、なぜ相手がその視点でみているのか?という視点の違いを意識する。

  • 多くの参加者が福祉関係のお仕事をされていたり、NPO法人を運営されていたりする方が多かった。業務の一環での研修と考えればたしかにそうである。なお、福祉関係の方以外とおぼしき方はご挨拶をさせていただいた限り他に見当たらなかった。

  • 大阪万博までもう少しということで、ミャクミャク様が挨拶に来られ、
    市の職員による翻訳が行われた。

孤独・孤立への支援に対する個人的私見

『孤独』は外的要因だけではなく自発的な要因で自ら生じる場合もあり、必ずしも悪いことではないと考える。孤独だから支援が必要、というのは場合によっては押しつけになりうるのではないか。今はネットが発達したことによって、仕事を選べば自室から引きこもったまま仕事をすることができ、地域によっては出前や宅配で生活することもできないことはない。もっとも、人と顔を合わせていないだけでネット上でやりとりをしている以上、完全な孤独というわけではないだろう。そういえば昔どこかのテレビ番組で田舎の海沿いで一人で全裸で暮らす男性のレポートがあったようななかったような…つまり一人で生活というのは決してできないことはない。『孤独になる自由』もあるのではないだろうか。
 無論、孤独であることを自発的な要因たらしめるきっかけとなった過程が外的要因として存在する可能性がある点は留意する必要はある。しかしながら試験勉強に専念するため等の理由で自発的に孤独になる人もいれば、生来の気質から人と群れることをあまり好まないタイプの人等、必ずしも悪い方向の孤独と決めつけるには早計な場合もある。
 私もどちらかというと集団行動が昔からあまり好きではないタイプである。一人のほうが誰かに気を遣わずに済み、気が楽というのもある。だからといって集団行動ができないわけではないし、そういう場面でそれなりに仕事はしてきた。人と会うのが嫌いというわけでもないし、むしろ今まで面識のなかった人と会って刺激を貰うのは楽しいとさえ感じる。根底にあるのは、他の人には理解してもらえないという考えであるが、いつしか『理解してもらえない』というタイプであることを『理解してもらう』こととするようになった。

 一方で『孤立』とは、一般的に外的要因で生じる状態である。自らの意に反して生じるものであり、こちらの場合は支援が必要なのは理解できる。公的な支援の場合、福祉部門の出番である。では、そもそも、福祉とは何か。

公的配慮・サービスによって社会成員が等しく受けることのできる充足や安心。幸福な生活環境を公的扶助よって作り出そうとすること。「公共—」「—事業」

goo辞典 「福祉」より

引用の通り、本来は全ての方が対象となるものである。しかしながら私の場合は福祉と聞けば、高齢者・障がい者、子育て、児童等といったワードが連想される。そういう方のための支援は実際充実してはいる。実際ニュース等で目にする機会は多い。基本的には社会的弱者と呼ばれる層に向いているように思える。
 では、働いていて一応生活ができていないことはない方は、社会的弱者足りえないのか?最近でこそ、過労死が取り沙汰されるようになり、ただ働いて金銭的には問題がない場合であってもそれは幸せとはいえないのではないかという視点が注目されるようになったが、そういった方への支援というのはある意味で社会的弱者と呼ばれる層の支援よりもまだまだ不十分であるように感じる。もっとも、多忙すぎて声を上げる暇も心のゆとりもないというのもあるだろうし、そういった方の声を拾う、又はみつける側の人の数が少ないというのもあるかもしれない。本来的な意味では福祉の領域であるはずだが、実際には福祉部門が動きが追いついていないか、いわゆるキャパオーバー状態になってしまっているのではないかとみえる。

 フォーラムにて紹介された取り組み例はあくまでほんの一例であり、さまざまな視点で捉えることができるはずであり、他にも事例があるはずである。個人的には、無理に集団活動に放り込むのではなく、ネット上で個性や技能を発揮してもらい、そこに焦点があてられる仕組みの支援、もしくはビジネスがもっと公的にも注目されてもよい気がする。社会性が現状欠如しているのと、必要とされる能力が足りていないのとではまた話が違うし、どんな能力も使いようである。

最後に

 都道府県や市町村のWebサイトは内容が多岐にわたり、実際情報量が非常に多い。そしてみえないみえにくいところでいろいろ動いておられたりする。成果を出すというのは何事においても難しいことであるし、関わる人が多ければ多いほど時間がかかるものである。少しずつ、少しずつ。

平日の日中であるため参加のハードルが非常に高いところではあるが、こういったイベントもあったりするので興味があれば是非。




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