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「フィットネス業界を変える」を考える

「FITNESS BUSINESS様」の情報によると下記のようにフィットネスクラブ数は増加しているようです。

パーソナルトレーニングの特にマンションの1室で行われるようなマイクロジムを含めるとその数はさらに大きなものになるかと思います。

一気にその市場が広がりましたが、多くのジムができては撤退し「供給過多」とも言われ始めておりますが、コロナウイルスの影響もあり今後大きく変化していく市場でもあると感じております。

私はこの市場にもう10年以上おりますが、今回は

「日本のフィットネスを変える。」

この言葉について考えていきたいと思います。

「フィットネス人口と啓蒙」

日本のフィットネス参加率は3%と言われております。

変わってフィットネス大国アメリカは約20%を誇ります。これはもちろん国民1人1人の意識もあれば社会保障の制度の問題もありますので、一概にどちらが良い悪いというのは難しいですが、日本が3%であるという事は事実です。

現在日本の人口は2020年1月1日現在で約1億2700万人ですので、人数で換算すると381万人となります。

この人数は決して多い数字ではないかと思いますし、この比率を向上していくことは健康や医療費削減など様々な利益が個人にも国全体にあるということは想像に難くありません。

そして我々フィットネスサービス提供者のスローガンとしても最も多いのが

「日本のフィットネスを変える」

「フィットネス参加率を向上する」

ではないかと思います。

とても素晴らしいスローガンやビジョンであり、私も同じ想いで深く共感します。

一方でそのビジョンに対して、どういう施策やアクションをしていくのかということは再考の余地があるのではないかと感じております。

今回はここについて言及していきます。

「フィットネス業界の激化」

今現在様々なパーソナルトレーニングジムが誕生しています。

「ヒップアップ専門ジム」

「くびれ専門ジム」

「女性専用ダイエットジム」

「筋膜リリース・トレーニングジム」

「加圧トレーニングジム」

あげればキリがありません。そのすべてのジムがお客様にご満足頂くために様々な広告やサービスコンテンツ、自己研鑽を繰り返してサービスを提供しているかと思います。

私が以前所属していた会社は間違いなく世の中にパーソナルトレーニング、パーソナルトレーナー、変わることが出来る、これらを世の中に広め、業界内外に多大なインパクトを与えた会社だと感じております。

この会社を離れてから改めて「フィットネスを広げる」ということを再考した際に、自分の視座をどこにするかによって、フィットネス人口参加率向上のビジョンが「絵に描いた餅」になりかねないそんな風に感じました。

考えなければいけないのは、フィットネスに参加していない方の多くは運動に興味がなかったり、苦手であり、嫌いであり、でも健康でいたいと思っている方であるということを理解するということ。

「業界の変遷」

私たちトレーナーは知識やスキルを習得することが求められます。

今現在私も毎日の知識のアップデートは欠かしません。

一方でこの知識やスキルはなぜ必要なのかと問われればそれはお客様や選手のお悩みや理想をかなえる手段でしかありません。

つまり本当に必要なモノは「知識」ではなく「知恵」であると考えます。

これまでのトレーナー業界はいわゆる職人気質の業界、文化だったと感じます。そのニッチな業界の中で生きていくために知識やスキルを磨いていくことに美学があり、それを提供することにある種の幸福感と満足感がお客様と自身双方にあったかと思います。

この職人的で非常に高度な知識やスキルをマラソンに例えてみます。言うなればこれはフルマラソンを提供しているようなモノではないかと。

そしてフルマラソンを走れる方(お客様や選手)は非常に限られた層であり、当時は非常にハイエンドなサービスであったかと思います。

ここでRIZAPが誕生します。風雲児の様に登場したRIZAPが提供したのは体を劇的に変えて、その方の人生をより良くしていくことでした。

今までのトレーナーの業界は1回のトレーニングの質を高めてその1回の満足度を図るモノでしたが、

ここで提供物が「結果」に変わります。
サービスが点から線に移行しました。


そして特に世の中のボディメイクやダイエットにおいての最大の失敗原因は継続性であること。

その問題解決に着手したのがRIZAPではないかと思います。

これはとても革新的で私も今でも自身の大切にしている考え方にもなっていますが、ここでトレーナーに求められることが変わってきた様に感じます。

本質的なお客様の悩みに対してサービス提供することが主流になり、世の中のフィットネスクラブやパーソナルトレーニングジムでも「カウンセリング」が採用され始めたこともこれを象徴しているのではないかと思います。

RIZAPの登場でハーフマラソンという市場が開拓されました。

「本当の意味での参加率向上」

RIZAPの誕生で体を変える喜びや人生が変わる喜び、総じて幸せになる方はとても増えたと感じております。

そして世の中での認知も広がり、経済的な面も含めて市場が潤ったのも事実です。恩恵を受けたトレーナーさんはとても多いのではないかと思います。

RIZAPの総会員数は2020年9月末時点で15.5万人です。

(※https://ssl4.eir-parts.net/doc/2928/ir_material_for_fiscal_ym/89299/00.pdf引用)

日本のフィットネス参加人口が381万人ですので、数あるフィットネスクラブがある中でこの人数は驚異的な数字であると感じますしRIZAPの凄さを物語っています。

一方で忘れてはいけないのは残りの約1億2300万人(成人人数だけではないのであくまでも参考までに)はフィットネスに参加していない、もしくはやってみたけど継続していないという事実です。

前述した様に多くの方は運動に興味がなかったり、苦手であり、嫌いであり、でも健康でいたいと思っている方です。

ここからは私の考えを論じます。

こういう方々へフィットネスに参加していただくことは非常にハードルが高い様に感じます。

先ほどの業界の変遷のマラソンの例を再度考えます。

今までの私たちの職人的な業界はすべての方へフルマラソンを提供しようとしてましたので、多くの方はハードルが高く参加できずにいました。

そしてRIZAPが誕生し、ハーフマラソンを提供できる様になりました。(あくまでも比喩表現ですので、RIZAPのサービス価値を図るモノではありません。)

しかし、残りの多くの方は50m走すら走ったことがないという事に目を向けなければいけません。

多くのジムが「フィットネス参加率を向上する」という素晴らしいビジョンを持っているからこそ、

本当にそれを達成する為にはまずは「運動靴を履いてもらう方」を増やしていく施策が必要なのではないかと感じます。

その為に私たちができるアクションは様々ではあるかと思いますが、現実の課題はよりフィットネスレベルの高いサービスを提供するのではなく、

今はフィットネスとは呼べないかもしれない、些細なアクションの積み重ねではないかと思います。

フィットネスというものを「ジムに行く事」というイベントにしないこともひとつかもしれません。

今食べている食事内容を変えるのではなく、最大限肯定することから始めることかもしれません。

我々トレーナーが到底フィットネスとは思えないことから提供し始めることが、もしかするとフィットネス参加率を増やす一手になるかもしれない。

そう感じております。

あなたはフルマラソンを提供しますか?それとも一緒に運動靴を探しますか?

「あとがき」

今回はフィットネス人口の参加率に関して今の私の考えを投稿してみました。

私は日々のアップデートは欠かしません。それは自身がアップデートされる事によってお客様や選手に提供できる「幅」が広がり、より大きな価値を提供できる方が「増える」からです。

一方でRIZAPで学ばせていただいた本質的なお客様や選手、世の中のお悩みを俯瞰し、捉えることで今まで見えなかったことが見えることもあります。

運動靴を提供することは決して提供価値を下げるということではありません。

その方に合わせた価値を提供するというのが正しい理解です。

ある方から聞いた話です。

「エンジニアの人たちから見るとI phoneのスペックはAndroidと比較して全然低いけど、その価値はオレらには分からない」

提供価値はクオリティと比例しないということを痛感した言葉です。

まずは一歩踏み出すキッカケを作ること。そしてそれをフルマラソンにつなげていく。

最初は運動靴を履くことから始めた方でも、数年後、数十年後にフルマラソンを走ってみると大きな感動と新しい発見が待っている。
そう信じて今日もアップデートし続けます。



そして改めて言いたいこと。
それは。


「日本のフィットネスを変えたい!」

ということです。

Your Fitness.

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