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⑩3点セットから読む人間模様

私が最近、読み物として気に入ってるのが「不動産競売物件情報サイト(BIT)」 だ。このサイトでは、裁判所が絡んだいわくつきの物件情報を誰もが自由に閲覧できる。

各物件につき「物件明細書」「現況調査報告書」「評価書」が1つのPDFに纏まっている。これは数十ページにもなり、関係者の並々ならぬ労力が凝縮されている。

私はこのPDFを「タダで読ませてもらっていいの?!」と感激するが、所詮は不動産・法律の門外漢なので、素人なりに興味深かった記述を抜粋引用したいと思う。

引用元はすべて「不動産競売物件情報サイト(BIT)」であるが、PDFは特定の期間のみ公開されているので、現在は閲覧できない可能性がある。

なお、都道府県以下の情報は伏せるが、当事者(物件所有者)への配慮としてご理解いただきたい。

❶とあるマンション(地方都市)

執行官の意見
本件建物内にはゴミ等が山積みになっており、著しい臭気が漂っている
 令和3年7月16日の臨場時、強制解錠により本件建物内の調査を行なったが、その際熱気のこもったベッド上に初老と思われる女性が横臥して、当職の方を見つめており、当職らが何度も呼びかけなどを行なったが、何ら応答せず動くこともなかったことから、熱中症の疑いもあるので119番通報し、本件建物に救急隊員及び警察官が到着した。
救急隊員らが、同人に呼び掛けなどを行なったが、同人は名前を名乗らず、何ら言葉を発することもなく、立ち上がって貴重品と思われるバッグを別の部屋に取りに行って、再びベッドに横臥してしまった。結局、救急隊員の血圧測定などによって、この女性について、救急の病状はないものとされた。

私はこの執行官の目線で、ありありと状況を想像した。
PDFに掲載された室内の写真から、より具体的なイメージが浮かんでしまう。

❷居宅・事務所(元ホテル、地方都市)

関係人の陳述等】
階下で不自然死があったことがあり、そこで発生したハエが配管を通って物件1建物に入ってきた
ことがあります。917号室を私が使用していますが、ユニットバスの排水管を通ってハエが湧いてきましたので、ハエ取り紙を付けています

物件の一室を利用する住民のコメントだ。
私がこの人の立場だったら、ハエ取り紙ではメンタルが持ちそうにない。どこに泣きつけば良いのだろう。
ちなみに不自然死とは、病死・自殺などと違い、「死因がはっきりしない」死を意味する。

❸8部屋のアパート1棟(首都圏)

債務者兼所有者の妻A
債務者兼所有者は、102号室を妻である私ではなく親戚の者に貸していると述べたそうですが、債務者兼所有者は、以前に親族間で財産関係で問題になったことがあり、それ以降、突飛なことを述べることがあり、そのように述べたのだと思います。103号室に荷物を置いているのは、離れた場所で別居している私たちの息子であるBです。

執行官の意見
102号室と103号室の占有者等についての債務者兼所有者とAの陳述内容が一部異なっているが、債務者兼所有者は、一呼吸おいて考えてから陳述したり、詳細を確認しようとすると感情的になって陳述を一部拒むなどの態度を見せており、理由は不明だが、陳述内容の一部については真実を述べてない疑いがある。

このケースは、101号室に住む債務者兼所有者が、「102号室は親戚に、103号室は親戚のDに物置として、それぞれ無償で貸している」と主張したものの、言動が疑わしいのでAの陳述が認定材料とされたようだ。

終わりに

競売物件という響きに小難しさを感じていたが、物件情報には人間臭さも十分に詰め込まれているので、物語のように世界観にハマってしまうのだ。

私は定期的にサイトをチェックし、気に入った内容はキャプチャで保存しているので、今後も他の物件に描かれる人間模様を紹介していきたいと思う。

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この記事は30分で書くことを目標に続けているシリーズなので、内容が緩いと思いますが、他の記事もよかったらどうぞ!


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