さえずり

あなたがいたこの場所で
今もさえずりを聞いている
思い出せないくらいの愛を
もらったことを忘れないように

そんなに僕を助けなくても
あなたは生きてゆけただろう
言葉にも仕草にも表れないけど
確かに僕は受け取ってる

悲しみを振りまきながら
苦難をかき消そうとする強い声
でも裏側で膝をついて
涙を流す僕を知っているのに

それでいいと言ってくれた
囁きにも似た音のない声を聞いた
たとえあなたがそう思っていなくても
僕にとってそれこそが救いだった

あなたがいたこの場所で
今もさえずりを聞いている
離れ離れになろうとも
一緒にいることを示すために

そんなにずっとここにいなくても
あなたは生きてゆけただろう
理由を聞いてもわからないこと
生まれる前から分かり切ってた

うまくいかないのが当たり前になって
でも諦めきれなくて
泥の匂いが体にしみこむまで走った
惨めだったでしょう でも

それがいいと言ってくれた
囁きにも似た優しい声を聞いた
今も遠い国から羽ばたいて
やってくるさえずりを守り抜くんだ

言葉なしでは形なしでは
伝えられないと思ってた
心にすっと流れてくる超音波が
いつか僕にも出せたらなと思う

あなたがいたこの場所で
今もさえずりを聞いている
柔らかな風の中をなぞって
君と同じ笑顔をつくった

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