今井優(創作用)

(・∑・)→これはカエルです。TwitterであげたSSをちょこちょことあげていけたら…

今井優(創作用)

(・∑・)→これはカエルです。TwitterであげたSSをちょこちょことあげていけたらいいなと思っています。

マガジン

  • 問1. 「私」とは?

    自分好きなこと、嫌いなこと、過去のこと、今のこと、その他諸々。「私」がどういう人間かを相手に伝えるための記録。

  • 妄想執筆家と人形職人のおはなし【シリーズ】

    「妄想がある限りから私は書き続ける」と豪語するジャージ女の大原と、人形を黙々と作り続ける謎多き人の月夜里による日常の話。

記事一覧

「問1.私について」について

こんばんは、あるいはこんにちは、もしくはおはようございます。 初めましての方は初めまして、今井優です。 私は、2024年6月に無職になった人間です。半年前に抑うつ状態…

理解されたくない作品

僕がこの作品に出会ったのは中学生の頃だった。 多感なお年頃というか、刺激こそが全てだったと思っていたあの頃の僕。朝の会の前の読書タイム、「だるいなぁ」と思いなが…

おなじものさがし

プレパラートように砕けてしまった心を持った人間は焦っていた。頭の中が騒がしい。「このままではいけない」と急かす自分と、「でもどうしたらいいんだ」と急かす自分に怒…

おかえりなさい

一昔前、とある声真似するぬいぐるみが流行った。自分の声を録音した後、手をぎゅっと握るとふわふわしたぬいぐるみが体を左右にゆっくり揺らしながら、口をもごもごと動か…

居場所を失ったAのお話

夢を見た。胸糞悪い夢を見た。一ヶ月前に行方不明になったAの夢を見た。 一か月前、師走の忙しい時期にAからメッセージが一通届いた。「いってきます」とだけ書かれたメ…

干からびた蛙と僕

「春は出会いの季節にであり、別れの季節でもある」 嫌でも耳にし、目にする言葉。ああ春とはなんと素晴らしい季節だろうか。落ちた桜の花びらをスニーカの底で茶色く汚し…

小さくて凶暴な拳

「うーん、困ったね」 「どうしたんですか、先生」 「人間の世界でいう『良い子』の作り方を調べているんだけど、なかなかうまくいかないんだよ」 「良い子?」 「『相手に…

幸せになれなかったお話

あるところにという不香の花という娘がおりました。 娘は見た目は勿論のこと、口も剣技もたいそう立派でございました。 彼女を尊敬するものも多くおりましたが、彼女を妬…

名声なき私の素敵な遊び

最初はやけくそだった。自分の書きたいものを書いて書いてひたすら書いて。だけど貰えた評価は1だけ。 書いている数と評価は比例しないってか? これだから数学はやんな…

色の違う紫陽花の下に眠る死体

小さい頃、ハムスターを買っていた。 春の終わり頃、ハムスターが亡くなった。 シャベルで土を掘り起こし、 小さな穴の中に大好きなひまわりの種とかぼちゃの種を周りに散…

ペット(※胸糞悪い表現があります)

やあ、君は旅人さんかい? この国は食べ物は美味いし、生活に困ることもない。そして何より動物が可愛いんだ。今から俺のパートナーを迎えにいくんだが良かったら来るかい…

思春期⑴

「軽々しい気持ちで『猫を飼いたい』という人間を処す武器がほしいです」 「急にどうしたのですか」 「思春期なので感情の起伏が激しいのです」 「ちなみに犬は含まれな…

少年Aの記録

「手を貸して」と言われたので貸してあげた。あれから一年経つが私の手はまだ帰ってこない。 お友達が怪我をしたので「いたいのいたいのとんでけ」とおまじないをかけたら…

生きることが優先される生き物

「先生、何を見てるんですか?」 「君も覗いてみるかい?」 「ベットに寝かされた人間がもう一人の人間にご飯をあげてますね」 「これは介護っていうんだ。君はこれが何…

人間の石

僕の家には昔から居候が多かった。十年近く共にいた人もいたし、二週間で消えた人もいた。 彼は四十代過ぎのおじさんで、気分屋な性格に似合ったショートパーマの髪型をし…

保健室の主

「先生、憂鬱で人は死にますか?」 とある生徒が保健医にかけた言葉だ。保健医はボールペンを2回ほどカチカチと鳴らした後に「何か悩みごと?」と優しく聞き直した。生…

「問1.私について」について

「問1.私について」について

こんばんは、あるいはこんにちは、もしくはおはようございます。
初めましての方は初めまして、今井優です。

私は、2024年6月に無職になった人間です。半年前に抑うつ状態と診断され、今は常に不安と隣り合わせで気を緩めると押しつぶされそうになることが多々な日々を過ごしております。なんとか生きております。

今回エッセイを書こうと思ったのは、社会人に戻るためにもう一度私という人間を見直そうと思ったからで

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理解されたくない作品

僕がこの作品に出会ったのは中学生の頃だった。

多感なお年頃というか、刺激こそが全てだったと思っていたあの頃の僕。朝の会の前の読書タイム、「だるいなぁ」と思いながらも教室にあった一冊の本を手にとった。

表紙絵が一つもない藍色の表紙、金色の箔が施されたタイトル、黄ばんだ小口。一目で昔の本だと分かった。何故この本を取ってしまったのだろう。僕は、よそ見をしながらこの本に手をかけた三秒の前の自分を呪った

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おなじものさがし

プレパラートように砕けてしまった心を持った人間は焦っていた。頭の中が騒がしい。「このままではいけない」と急かす自分と、「でもどうしたらいいんだ」と急かす自分に怒鳴り返す自分と、「どうせ自分は」と泣きじゃくる自分を必死に宥めていた。このままだと頭の中の自分に殺されると思った人間は、歩く気力があるうちに、気晴らしをするために外に出た。

〇〇〇

初めに入ったのは本屋だった。雑誌に漫画、文庫本にハード

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おかえりなさい

一昔前、とある声真似するぬいぐるみが流行った。自分の声を録音した後、手をぎゅっと握るとふわふわしたぬいぐるみが体を左右にゆっくり揺らしながら、口をもごもごと動かしながら少年か少女の声で録音した言葉を発するのだ。

どのぬいぐるみの見た目は人型二割動物八割のような姿をしている。私は猫が好きだったので、おさげがついた赤眼鏡の青い猫のものを買った。最初こそは変なことを言わせて楽しんでいたけど、最終的には

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居場所を失ったAのお話

夢を見た。胸糞悪い夢を見た。一ヶ月前に行方不明になったAの夢を見た。

一か月前、師走の忙しい時期にAからメッセージが一通届いた。「いってきます」とだけ書かれたメッセージだった。繁忙期ということもあり、「意味の分からないメッセージ送りやがって」と舌打ちをしたい気分になったが、一応「どした?」と送った。返事はなかった。

年が明け、三が日をゆっくりと過ごし、そろそろ仕事を頑張るかと思い始めた頃だった

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干からびた蛙と僕

「春は出会いの季節にであり、別れの季節でもある」
嫌でも耳にし、目にする言葉。ああ春とはなんと素晴らしい季節だろうか。落ちた桜の花びらをスニーカの底で茶色く汚していく。自分の中にあったちょっとした悪意を堪能した。

土と石と砂で出来た道から離れ、便利で味気のない近代的な道へと歩みを進める。僕はそこで干からびたアレと出会った。

春の温かい日差しで温められたアスファルトの道に体のものをぶちまけたアレ

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小さくて凶暴な拳

「うーん、困ったね」
「どうしたんですか、先生」
「人間の世界でいう『良い子』の作り方を調べているんだけど、なかなかうまくいかないんだよ」
「良い子?」
「『相手に暴力暴言をすることなく、他の個体を思いやることが出来る個体』と言ったほうが分かりやすかったかな?」
「なるほど、そういうことですか」
「この個体にとって暴力暴言に結びつくようなものは取り除いたはずなんだけどなぁ。無気力な個体か、周りに無

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幸せになれなかったお話

あるところにという不香の花という娘がおりました。
娘は見た目は勿論のこと、口も剣技もたいそう立派でございました。 彼女を尊敬するものも多くおりましたが、彼女を妬み僻む者の数も少なくなくありませんでした。

顔も頭も腕も良い彼女には一つだけ悩みがありました。それは好きなあまり、可愛いものや甘いものを残さずすべて食べてしまうことでした。
初恋の味は甘酸っぱいものだと言われていますが、彼女の初恋の味

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名声なき私の素敵な遊び

最初はやけくそだった。自分の書きたいものを書いて書いてひたすら書いて。だけど貰えた評価は1だけ。

書いている数と評価は比例しないってか? これだから数学はやんなっちゃうな。でもこうなると逆に興奮してくるというか、意地でも自分の作品でこの場を染めたくなっちゃうな。

生み出す作品の数をさらに重ねていく。その速度は日に日に増していく。今思い返してみると狂っていたなって思う。でも狂っている時ほど楽しい

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色の違う紫陽花の下に眠る死体

小さい頃、ハムスターを買っていた。 春の終わり頃、ハムスターが亡くなった。
シャベルで土を掘り起こし、 小さな穴の中に大好きなひまわりの種とかぼちゃの種を周りに散らし、その真ん中にハムスターを入れてあげた。 眠るハムスターの上に土をかぶせる。お墓の場所が分かるように、あの子に似た色のシロツメクサを添えた。

隣で見ていた幼馴染の兄弟が不思議そうな顔で私を見つめていた。 弟が尋ねる。

「これは何を

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ペット(※胸糞悪い表現があります)

やあ、君は旅人さんかい? この国は食べ物は美味いし、生活に困ることもない。そして何より動物が可愛いんだ。今から俺のパートナーを迎えにいくんだが良かったら来るかい?

いやぁ、マロンはとても可愛くてお利口さんなんだ。この前なんか私が名前を呼んであげたら可愛い声を出してさ。だけどこの前怪我をしてしまってね。
ほらこの子だ。可愛いだろ? ああこんな可愛いおててにかさぶたが出来てしまって。おーよしよし、も

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思春期⑴

「軽々しい気持ちで『猫を飼いたい』という人間を処す武器がほしいです」
「急にどうしたのですか」
「思春期なので感情の起伏が激しいのです」
「ちなみに犬は含まれないのですか?」
「今回は猫の話をしている。犬はそこらへんに置いておけ」
「さようですか」
「大人は『子育てする気がないなら無責任な性行為はやめなさい』と同じくらい『猫のゲロや糞尿で出来た道を毎日掃除する覚悟がないやつは猫を飼うな』を

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少年Aの記録

「手を貸して」と言われたので貸してあげた。あれから一年経つが私の手はまだ帰ってこない。

お友達が怪我をしたので「いたいのいたいのとんでけ」とおまじないをかけたら、お友達が木っ端微塵になりました。

「猫の手も借りたい」と先生が言ってたので朝早くから収穫したのに「いらない」と言われた。箱にいっぱい詰めたのに残念。

「尻に火がつきそう」と先生は言っていたけど全然つきそうになかったので代わりにつけと

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生きることが優先される生き物

「先生、何を見てるんですか?」
「君も覗いてみるかい?」
「ベットに寝かされた人間がもう一人の人間にご飯をあげてますね」
「これは介護っていうんだ。君はこれが何日続くと思うかい?」
「え? どういう意味ですか?」
「まあまあ細かいことはまだ考えなくていいよ。で、何日くらいだと思う?」
「そんなの『死ぬ』までじゃないんですか?」
「それは『寿命』のという意味で間違いないかい?」
「あ

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人間の石

僕の家には昔から居候が多かった。十年近く共にいた人もいたし、二週間で消えた人もいた。
彼は四十代過ぎのおじさんで、気分屋な性格に似合ったショートパーマの髪型をしていた。片目にはお洒落なモノクルをしており、猛暑でもジャケットを脱がなかったので「ジャケットおじさん」と呼んでいた。

彼はよく石の断面を見ていた。「そんな石なんか毎日見て何が楽しいの?」と呆れながら尋ねると、「『そんな石』なんて心外だな。

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保健室の主

「先生、憂鬱で人は死にますか?」

とある生徒が保健医にかけた言葉だ。保健医はボールペンを2回ほどカチカチと鳴らした後に「何か悩みごと?」と優しく聞き直した。生徒は「やっぱりいいです」と席を立つ。先生は扉に手をかけた生徒に慌ててこう言った。

「明日なら君の欲しい答えがもらえるかも」

翌日、生徒は昨日と全く同じ時間に保健室を訪れた。そこにいたのは黒い保険医だった。生徒は知っている。彼女は保健室

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