はじけた美しさ~サヨナラ千ほさち
あれは何の時だったか、バウホールから降りる階段で花組のある若手の娘役と二言三言交わした時に、その隣にとんでもなく美しい生徒がいた。ああこれが噂の、と思ったが、それを確かめたり、隣に挨拶するのは彼女に酷だと思って黙っていた。それが千ほさちという娘役を見た、初めてのことであった。
月組には妙に縁がなく、新人公演は見たことがない。バウホールでは、明智小五郎に材をとった「結末のかなた」の彼女は、すごくきれいな人形が坐って、腹話術師が声を出しているような様子だったと覚えている。き