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第14号:「奇跡のリンゴ」から「見えない世界」を学ぶ

タイトルに「奇跡」とついている本を読み「奇跡」を学ぶという記事を書いています。

今回は、木村秋則さんの人生を綴った「奇跡のリンゴ」という本を読み解きながら、「奇跡」とは何なのかを探っていきたいと思います。

幻冬舎

この「奇跡のリンゴ」という本は、絶対不可能といわれた無農薬でのリンゴ栽培を可能にさせた木村秋則さんの体験を石川拓治さんがまとめたものです。

この本を読み終えたあとには、地球が生み出す生態系の素晴らしさや、無農薬でリンゴを育てるということが奇跡ではないということを理解できるようになります。

また、この本に書かれている木村さんの経験から、私たちのこれから先の生き方を考えさせられる一冊だったりします。

第3回目の今回は、「奇跡のリンゴ」から「見えない世界」を学ぶということついて書いていきたいと思います。


この「奇跡のリンゴ」という本は、「土の中の世界について書かれた本」ということもできます。

土の中の世界とは、いわば目に見ることができない世界であり、土の中の世界を人の心の世界にあてはめるなら、私たちの潜在意識といえるかもしれません。

潜在意識は、私たちの顕在意識での経験を様々な要素に分解することで心を形成させるものです。

私たちがよい経験をたくさんすると心が豊かになっていくように、目に見える自然が豊かであれば、土の中の世界もそれが養分となって豊かになっていきます。

そういった意味では、私たちの心の構造と自然の構造は同じような仕組みでできていると考えることができます。

また私たちの身体を土に当てはめるなら、農薬が豊かな土壌を損なわせるように、添加物などの化合物の蓄積が私たちの身体を損なわせてしまうという類似性を見て取ることができます。

農薬を使えば効率的にたくさんの作物を生み出すことができますが、その一方で土は疲弊し、その疲弊した分の栄養を新たな農薬で養うことになります。

私たちの身体も同様であり、化合物の含む食品は保存が効いたり、調理の手間を省いて簡単に食べ物を口にすることができる反面、そういった簡易さと引き換えに、体に不必要なものを体内に取り入れて健康を損なわせ、損なわれた部分を薬で賄うようになっていきます。

農薬も化合物も短期的意味での効果が重視されたものでですが、長期的な見方に立つなら、どちらも土や人が本来持っている力を損なわせてしまうものです。

奇しくも、木村さんが無農薬でリンゴを育てるということを始めることになったのが、奥さんが農薬を散布すると体調を崩してしまうということでした。

そして、このことが土の中という目には見せない世界を知るきっかけになっていきます。

自分は今まで、リンゴの木の見える部分だけ、地上のことだけを考えていた。目には見えないリンゴの木の地下のことを考えていなかった。堆肥を与え、養分を奪われないように雑草を刈ることしか考えることしかしてこなかった。葉の状態ばかり気になって、リンゴの根のことを忘れていたのだ。

この柔らかな土は、人が作ったものではない。
この場所に棲む生きとし生けるものすべての合作なのだ。落ち葉と枯れた草が何年も積み重なり、それを虫や微生物が分解して土ができる。そこに落ちたドングリや草の種が、根を伸ばしながら、土の深い部分まで耕していく。土中にも、草や木の表面にも無数のカビや菌が存在しているだろう。その中にもいい菌も悪い菌もいるはずだ。

私たちの体内も土の中の複雑な生体システムも、同じような有機的な働きによって支えられています。

また土が健康でだと地上の草木が元気になるように、私たちの体内が健康であると、私たちも健康な身体で日々を過ごせるようになるものです。

自然や人の健康は、土の中や身体の中といった目には見えない世界が支えています。

私たちはリンゴの木と同様に自然によって生かされています。

木村さんの奥さんが農薬によって体調が損なわれていたということは、当然、リンゴの木も「木としての能力」が損なわれているということです。

失意の中、偶然、山の中で見つけたドングリの木の根元の土を知った木村さんは次のようなことを思います。

自然の中に、孤立して生きている命はないのだと思った。ここではすべての命が、他の命と関わり合い、支え合って生きていた。そんなことわかっていたはずなのに、リンゴを守ろうとするあまり、そのいちばん大切なことを忘れていた。

ドングリの木だって、害虫や病気の攻撃に晒されているはずなのだ。それでもこんなに元気なのは、農薬などなくても、本来の植物は自分の身を守ることが出来るからだ。それが自然の姿だ。そういう自然の強さを失っていたから、リンゴの木はあれほどまでに虫や病気に苦しめられたのだ。
自分のなすべきことは、その自然を取り戻してやることだ。

近年の人類は、目に見えることばかりを追い駆けて、目には見えないことに関心をおいていなかったといってもいいでしょう。

しかし、私たちの世界は目に見えないものによって目に見えるものが作られている世界で暮らしています。

そういった意味では、これからの私たちがすべきことは、目に見えることだけでなく、目には見えないことにも意識を向け、目には見えない世界の仕組みも理解していくことなのかもしれません。

自然は目に見える部分だけでなく目に見えない部分も含めてひとつである、そういった認識を持つことができるようになってはじめて、自然を正しく理解できるようになるのかもしれません。

この太極図にあるように、自然は陰と陽の二つの側面を持ち合わせていて、陰と陽が有機的に組み合わさってひとつになっています。

これまでの人類は、目に見える「陽」の世界ばかりに気を取られていたのかもしれません。

しかし、これから私たちが進化・発展していくためには、目には見せない「陰」の世界に注目し、目に見える世界と目には見えない世界のバランスを取っていく必要があるでしょう。

私たちの体調が優れなかったり、自然が乱れていたりするときは、目には見えない世界が乱れているという合図でもあります。

木村さんが、地中の世界の素晴らしさを知ることが出来たように、私たちも目には見せない世界の素晴らしさを知っていく時期なのでしょう。

本来の自然を取り戻すことが自分の使命だと木村さんはいっていますが、もしかすると、このことは私たち人類全体が持つ使命なのかもしれません。

木村さんが土の世界の素晴らしさに気付いたように、私たちも目には見えない世界の仕組みを観察し知っていく必要があります。

そして、私たちが目に見える世界と目には見えない世界の間に調和を保てるようになったとき、この世界に新たな奇跡を生み出せるようになるのかもしれません。




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