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日々雑感

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#読書感想文

「読み終えたくない」という想い

「読み終えたくない」という想い

読みすすむにつれ、結末が近づくにつれ、このまま読み終えてしまうのが惜しいような、だんだんと残りが少なくなっていくのが寂しいような、そんな切ない読書体験をしたのは、果たしていつ以来だったろうか?

谷崎潤一郎の『細雪』を読みながら、そんな感慨を味わった。

昭和11年から16年にかけて、戦争の影が次第にしのび寄る世相を背景として、大阪船場の旧家・蒔岡家に生まれた美しい四姉妹の日常を描いた物語である。

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日本人はなぜ「きりしたん」になったか

日本人はなぜ「きりしたん」になったか

若桑みどり著『クアトロ・ラガッツイ』を読んでいる。

副題に「天正少年使節と世界帝国」とあるとおり、16世紀末に、極東の島国からはるかなヨーロッパのローマ教皇のもとへと派遣された4人の少年使節をめぐる物語である。

もともと日本におけるキリスト教の布教史に興味があったのだが、読み始めた直接のきっかけは、のりまきさんの記事に興味をそそられたことだ。

単行本は2003年に集英社から刊行された。私は、

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