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#ロシア文学

『大尉の娘』と「翻訳」について

『大尉の娘』と「翻訳」について

ロシア近代文学の創始者と呼ばれるアレクサンドル・プーシキンの代表作『大尉の娘』(1836)を40年ぶりに読み返してみた。

昔読んだ本は家に残っていなかったので、いちばん入手しやすかった光文社の古典新訳文庫(坂庭淳史訳)を購入した。
丁寧な注釈がついた読みやすい文章で、魅力的な登場人物たちが繰り広げる波乱に満ちた物語を久しぶりに堪能した。

『大尉の娘』は、歴史上名高い18世紀ロシアの民衆暴動であ

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『アンナ・カレーニナ』を読みながら

『アンナ・カレーニナ』を読みながら

理由(わけ)あって、四十年ぶり?くらいにトルストイの『アンナ・カレーニナ』を再読している。

周知のとおり、若くて美しく生命力にあふれた既婚女性アンナ・カレーニナと軽薄だが情熱的で魅力的な青年将校ヴロンスキーとの不倫の物語だ。

古い文庫本。奥付を見ると、昭和四十七年二月発行、昭和五十年二月六刷版、よくぞ手元に残っていたものだと思うと感慨深い。
上中下の三巻本で、ようやく上巻を読み終えようというと

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